“夏休み明けの変化”を見逃すな!地域社会で見守る体制を
イメージ 今日から新学期。子どもたちの賑やかな声が学校に戻ってきました。
 内閣府が18歳以下の自殺を日付別に分析したところ、夏休み明けの9月1日が最も多くなっている事が分かりました。
 内閣府が今年6月、公表した自殺対策白書では、2013年までの42年間で、子どもの自殺を日別に調べると、9月1日が最多の131人で、4月11日が99人、4月8日95人、9月2日94人と続いています。
 新学期前後に、自殺が多発するのは、生活環境の大きな変化に伴い、児童・生徒がプレッシャーを感じたり、精神的動揺が生じるのでは、と分析されています。今の時期は、危機に直面している子どもがいることを認識すべきです。
 自殺対策白書によると小学生の自殺の原因・動機は「家族からのしつけ、叱責」「親子関係の不和」など家庭生活に起因するものが多くなっています。中学生になると「学業不振」や「学友との不和」「いじめ」が増えます。高校生では「進路」や「学業不振」「うつ病」が目立ってきます。
 しかし、10代前半では、周囲が兆候に気付かないうちに、自ら命を絶つ場合が少なくありません。行為に及ぶ前には、悩み、苦しんで、救いを求める懸命の叫びを上げているのです。
 落ち込んだり、好きなものに興味を失う、不眠や食欲不振……。これという決定的なものではありませんが、行動や心に“微妙な変化”が表れます。教育現場はいうまでもなく、家庭や地域で、子どものシグナルを、より敏感に受け止める必要があります。
 不安を感じる時には、「あなたはかけがえのない存在だ」と言葉に出して心配することが大切です。子どもの気持ちを傾聴し、独りにしないよう寄り添うべきです。ただし、親や教師が一人で抱え込むことは困難です。秘密を守り、子どもとの信頼を築きながら、相談機関や医療機関と積極的に連携することも必要なのです。
 ソーシャルメディアによるいじめの陰湿化、虐待や貧困など、子どもが「生きづらい」時代です。社会全体で、子どもが悩みを話しやすい環境、安心できる居場所づくりへ、知恵を出し合っていきたいと思います。

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