大地の芸術祭
 9月8日、井手よしひろ県議は、新潟県の十日町市と津南町を中心に開催されている「大地の芸術祭・越後妻有(えちごつまり)アートトリエンナーン2015」を訪れ、芸術イベントが地域活性化にどのよう貢献しているかを、具に視察しました。大地の芸術祭は、3年に1度開催されるアートイベントです。東京ドームの1.2倍という760キロ平方メートルの広大なフィールドに、380点のアート作品が展示されています。6回目を迎えた今回は、過去に制作された作品約200点(恒久作品)と、新らたに制作された作品180点が加わりました。参加しているアーティストは約350組。日本をはじめ35の国と地域のトップアーチストが出展しています。

空き家や廃校などを活用し地域の魅力を発信
 屋内に展示されている作品、野外の豊かな自然の中に展示されている作品とがあります。室内の展示作品の多くが、民間の空き家や廃校となった小中学校が使われています。2メートルを越える豪雪地帯で、その厳しい自然環境に耐えた民家は、それ自体芸術作品ともいえます。こうした古民家を活用した作品群は、地域の歴史や自然とあいまって素晴らしい魅力を発揮しています。
 「鉢&田島征三、絵本と木の実の美術館」やクリスチャン・ホルタンスキー+ジャン・カルマンの「最後の教室」などの人気の展示は小学校、中学校の廃校を活用したものです。パフォーマンスの拠点として期待される「上郷クローブ座」や新らたに開設された「清津倉庫美術館」なども、使われなくなった校舎の再利用です。
 特に、絵本と木の実の美術館は非常に印象に残りました。里山の自然の中、なつかしい校舎に異次元の空間が広がっています。水の力でやさしく動くオブジェクト、楽しげな音楽を奏でる自転車、食事のできる校長室など、一日でも楽しめる美術館となっています。
大地の芸術祭
地元住民の理解と協力がイベント成功の原動力
 大地の芸術祭を語る際に、忘れてはならないのが地域のボランティア「こへび隊」の活動です。制作や運営のために、延べ数千人規模のボランティアが汗を流しています。井手県議は、各会場で受付担当のボランティアの方に、様々なお話しを聞くことが出来ました。いずれも担当の作品への思い込れが深く、妻有という地域への深い愛情が感じられました。大地の芸術祭が、地元住民の皆様の自慢のイベントに育っていることが実感できました。我がまちに世界に誇れるイベントがあることは本当に幸せなことです。今回の大地の芸術祭には50万人を越える観光客が訪れたとみられます。国内だけではなく、中国や台湾などのアジア各国や欧米の観光客も目立っているようです。
 イベントが始まって15年という歴史の積み重ねされねも、集客につながっていますが、ネットによる情報の拡散は大きなインパクトになっているのではないかと考えます。大地の芸術祭の作品は室内でも、屋外の作品でも、ほとんど自由に写真や動画を撮ることが出来ます。デシカメやスマモ、ビデオが普及した現在では、ブログやSNSを通して、観客ひとリー人が情報の発信者となります。作品が写真や動画によって拡散され、更に別の作品として再発信されるということが、現実に行われています。
 大地の芸術祭は、地域のブランド力を高める大きな力になっているようです。現に、アート・トリエンナートを通して役場に試聴したり、香港からこの地域に就農したりする若物が増えています。

大地の芸術祭
芸術イベントが地域経済に大きな波及効果
 この大地の芸術祭が地域経済にもたらす、経済効果も大いに気になる所です。前回2012年の総括報告書によると、収入は4億8900万円あまりで、十日町市が8700万円、津南町が1200万円、国が1億800万円あまりを負担しています。パスポートや鑑賞券の販売が1億6100万円余りの売上げとなっています。寄付金や協賛金、約1億円あります。美術館の整備など、自治体の関連予算を含んだ総事業費は8億6300万円余りとなっています。
 そして、このイベントの経済波及効果は、総額で46億5000万円と計算されています。かかった費用の5倍以上の効果が上がったことになります。来場者の宿泊や飲食費などの消費支出が29億6500万円で波及効果は40億6700万円。実行委員会の準備、運営などの支出による波及の効果が約2億100万円、などとなっています。
 以上の総括は3年前2012年の結果です。2012年の入場者数(地域内の交流人口の増加)は48万88848人とされています。今年は、前半は猛暑に、後半は不順な天候に悩まされた大地の芸術祭ですが、認知度の高まりから、50万人を超える来場者があると思われ、経済効果もより高まっていると期待されます。

いばらき県北アートフェスティバル開催に向けて
 平成28年秋、茨城県の県北地域(日立市、高萩市、北茨城市、常陸太田市、常陸大宮市、大子町)で、アートフェステイバルが開催されます。橋本昌知事の県北振興策の目玉施策となっています。現在、東京森美術館の館長・南條史生氏を総合プロデューサーに迎え、実行委員会が組織され開催準備が進められています。
 大地の芸術祭を視察して、こうした成功例を県北国際アートフェスティバルにも活かしてくべきだと感じました。具体的に次の5点を提案したいと考えます。
  • 3年に一度の開催するイベントをトリエンナーレ。2年に一度をビエンナーレと呼んでいますが、来秋行われれる県北国際アートフェステドルを定期開催の端緒とすることが重要です。一過性のイベントに終わらせることなく、継続的に開催していくべきです。
  • 県北の6地域は、海、里山、そして山と数多くの特徴をもっています。また、産業も、農業、漁業、林業、そして製造業と地域特色にあふれています。市町村ごとの特性とをいかしたイベントを、地元市町中心に展開すべきです。
  • 空き屋や家や発校舎などを活用して、プロ、アマを問わず、両多くのアーティストが艇にできるプラットフォームを県と市町が準備すべきです。
    県北国際アートフェスティバルについては、イベントの目玉となる著名なアーティストを国内外から招聘することも必要ですが、それよりも既に地元で地道に活動しているアーティストなどを積極的に登用すべきです。
  • 単に現代美術の領域にとどまらず、地域の文化資源を総動員するイベントをめざすべきです。日立には市民オペラの文化が根ざしています。この夏には1万人近くの市民が参加して、シェークスピアの悲劇"マクベス"を全幕上演しました。北茨城の五浦の地は、岡倉天心が活躍して近代日本美術の復興の地です。大子のよさこい舞りには、毎年多くの観客が押し寄せています。日立風流物(ふりゅうもの)はユネスコの文化遺産です。北茨城の御船祭りは本物の魚船が街中をねり走くという奇祭です。こうしたすばらし地域文化を全国、全世界に発信する場をめざすべきです。