境町の洪水現場  10月4日、井手よしひろ県議は境町を訪れ、台風18号に伴う記録的豪雨により、大きな被害を受けた畜産業者の被災状況を調査。支援に向けて要望を聴取しました。茨城県のブランド牛「常陸牛」を肥育する境町の(株)シバサキ(柴崎哲夫社長)では、牛舎が水没し、飼育している215頭のうち6割以上の144頭が犠牲になるなど甚大な被害が出ました。柴崎社長は「先行きはまったく不透明ですが、子どもや孫のためにも必ず再建したい。境町のふるさと納税でも人気を得ているので、町のためにももう一度やり直したい」と再建への決意を語りました。
 9月10日午後3時ごろ、境町長井戸の牛舎に濁流が押し寄せました。「午前中は膝丈くらいだったが、水かさがどんどん増して、ピーク時には高さ4メートルの屋根の部分までつかった」と、柴崎社長と当時の状況を説明。辺り一面が湖のようになる中、取り残された牛を安全な場所に移す懸命の救出作業は、13日まで4日間にわたて続きました。地元のバイク専門店が声掛けをしてボランティアで集まった8輪の水陸両用車で、牛をけん引するなどしてその大半の救出に成功しました。
 しかし、大量の水を飲んで肺炎にかかったり、ストレスなどで衰弱し、死亡する牛が続出。結果的には144頭が亡くなりました。
 生き残った71頭の牛は町内の別の牛舎に移され、衰弱していた牛も次第に元気を取り戻しつつあります。

畜舎の片づけ現場 柴崎社長が肉牛生産を始めたのは2005年。経営の安定と生産の効率化を図るため、10年かけて和牛の繁殖から肥育まで行う一貫経営に取り組んできました。育てた牛の9割は「常陸牛」に育て上げ、境町のふるさと納税の返礼品にも採用されています。
 再建への道は遠く厳しいものがあります。家畜共済(家畜の保険)で得られる補償額は、1頭当たりの評価額の4分の1。販売額では10分の1以下になってしまいます。販売額を仮に1頭100万円(実際は100〜150万円)と仮定すると、死んだ牛の被害額は1億4000万円以上となります。当面の餌代や死んだ牛の処分費用、敷き藁、たい肥や流されてきた土砂などが一緒になった泥の処分などの負担が重くのしかかっています。
 そのうえで、施設の再建や土地の購入、子牛購入などの再建資金は、億単位になると見込まれています。
 境町の調査による被害額は、1億8122万円となっています。

 こうした自然災害への行政の支援では、一昨年(平成25年3月)の豪雪被害の事例があります。国の制度である「農業経営体育成支援事業」を拡大適用して、施設再建については9割(国5割、県2割、市町村2割)を国と県、市町村が助成しました。ただし、土地の購入には助成がありません。井手県議ら公明党では、被災の深刻度から、この制度と同等以上の枠組みでの支援を行うよう、国に対して強く要望しています。