常総市高杉市長への要望書提出
 10月14日、井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党議員会(田村けい子県議、八島功男県議)と常総市議会公明党議員会(中島亨一市議、遠藤正信市議)は、常総市役所に高杉徹市長を訪ね、18項目に及ぶ「平成27年9月関東・東北豪雨 被災者の支援充実に関する要望」を提出しました。
 井手県議は、市職員関係者の不眠不休の公務遂行に感謝を述べると共に、「市町村行政は市民生活を守る最後の防塁であり、市民の復興、新たなまちづくりの牽引力として、その責任は重い」と指摘しました。
 その上で、床上浸水の被害にあった住宅の再建支援を充実させることと、鬼怒川が決壊・越水した三坂町や若宮戸などの住宅地(市有地)を公費による再建することの2点を特に強く求めました。
 井手県議は、京都府の支援制度などを紹介しながら、金銭的な支援充実を訴えました。
 要望書を受け取った高杉市長からは、「財政調整基金などの活用も検討して、支援の充実を検討したい」との回答がありました。
京都府の住宅再建への支援策
 豪雨災害の被災者支援策としては、京都府の住宅再建支援制度が注目されます。現在は国の「被災者生活再建支援法」があります。全壊家屋は300万円、大規模半壊には250万円の助成がありますが、京都府はこれに全壊150万円、大規模半壊に100万円を上乗せしています。これで助成額は全壊が合計450万円、大規模半壊が350万円になります。
 更に、国の制度ではカバーされていない半壊家屋へ、独自に150万円、床上浸水等に50万円を助成します。
 また、産業復興支援として中小企業や農家への支援も行っています。
 中小企業復興支援としては、大規模な設備更新が必要な場合最大100万円、災害が続いた場合には最大150万円を助成します。浸水による機器修繕は最大10万円を助成します。
 農家にも大規模設備更新に最大100万円、連年被災の場合150万円を助成。農機具修繕や出荷額回復につながる取り組みに最大10万円を助成します。
 昨年8月に大規模な洪水被害が出た福知山市への住宅支援の実績を、井手県議が京都府に問い合わせたところ、675件に3億3700万円余りが助成されました。(内訳は全壊1件、大規模半壊3件、半壊134件、床上浸水537件)
 この助成制度は、京都府が3分の2、市町村が3分の1の費用を負担しています。

【平成27年9月関東・東北豪雨】被災者の支援充実に関する要望
2015年10月14日
常総市長 高杉 徹 殿
茨城県議会公明党    
県議会議員 井手義弘
県議会議員 田村佳子
県議会議員 高崎 進
県議会議員 八島功男
常総市議会公明党     
市議会議員 中島亨一
市議会議員 遠藤正信

 平成27年9月関東・東北豪雨の復旧・復興と被災者支援活動につきましては、高杉徹市長を先頭とした常総市関係者の不眠不休の公務遂行に、心から敬意を表します。
 今回の災害は、まさに百年に一度という規模であり、過去の想定を遙かに超えた大規模災害でした。しかし、市町村行政は市民生活を守る最後の防塁であり、市民の復興、新たなまちづくりの牽引力として、大きな役割を担っています。
 豪雨被害の対応について、市民から多くの要望が寄せられ、課題が多く指摘されています。私ども公明党は、国会議員と地方議員、そして地域の党員、支持者の皆さまが強靱なネットワークで結ばれた現場に根ざした政党です。災害の復旧活動から得た様々な声をもとに、「平成27年9月関東・東北豪雨 被災に関する要望書」を取りまとめました。
 貴職にありましては、以下の要望事項の趣旨をご理解いただき、常総市の復興のため、被災者の支援のため、なお一層、ご尽力いただけることを強く望みます。

要望事項1.被災者支援の充実
  1. り災証明の早期発行。被災者支援システムを再構築し、災害救助法の応急修理、被災者生活再建支援法の支援金、義援金の配分、諸税の控除などに活用する被災者の支援の均霑化、効率化を図ること。
  2. 半壊認定世帯(床上浸水世帯)への財政的支援の拡充。被災者生活再建支援法の対象から外れる世帯が約4分の3に及ぶことが想定される。市の災害見舞金制度の創設、または別の上乗せ制度の創設を検討すること。
  3. 避難所の環境改善と避難住民のQOL確保。
    ●レンタル方式による冬期仕様の布団一式の貸し出し。
    ●おにぎりとパンの食事から温かい食事の提供。
    ●移動手段確保のため市内巡回バスの運行、またはカーシェアリングの導入。
  4. 市町村等に設置が望まれる福祉避難所が未設置であることから、要支援者への支援体制に問題がある。至急、福祉避難所を立ち上げるべきである。
  5. 避難所に保健師や看護師などの医療関係者を常駐させること。掛かり付け医への送迎体制を整備すること。
  6. 避難所に居住する独居高齢者の自宅の清掃・補修などの整備を市の責任で行うこと。
  7. 見なし仮設住宅(民間賃貸住宅)の確保に努力すること。見なし仮設住宅に関しては、東日本大震災の際に採用した被災者自身が契約し、賃貸代金を公費負担する方式を早期に導入すること。
  8. 市有地に取り残された災害廃棄物、がれき、流された車両などの撤去を公費で行うこと。

要望事項2.被災地の早期復興
  1. 深刻な住宅地被害が起こった三坂町、若宮戸地区などでは、公費投入による住宅地の基盤再建を検討すること。
  2. 三坂町の県道不通箇所の仮復旧を今年中に完了させること。
  3. 商業や工業などに携わる中小企業者の復興を支援する東日本大震災で実施された"グループ補助金"などの制度創設を国に求めること。
  4. 鬼怒医師会病院など地域医療の拠点施設(診療所なども含む)の復旧に財政的支援を検討すること。

要望事項3.防災・減災体制の整備
  1. 鬼怒川や八間堀川の堤防が決壊、越水に至った経過・原因を徹底的に調査し、市民への説明責任を果たすこと。
  2. 市民への防災情報の伝達で瑕疵が指摘されており、その原因や対策、地域防災計画の抜本的な見直しを早急に行うこと。
  3. 防災無線の戸別受信機の配備を進めること。
  4. 市役所の防災機能を高めること。特に、非常用発電機の浸水対策を早急に行うこと。災害対策本部の代替機能をもつ施設を整備すること。
  5. 地域ごとの防災体制を抜本的に整備し直すこと(地域防災組織の整備、地域防災組織への無線・通信体制の配備、避難所開設責任者の明確化、防災資機材の地域への配備など)。
  6. 市役所内に防災・危機管理担当責任者の配備。平時からの県や他市町村、NPO、ボランティア団体、各諸団体との連携強化。