イメージ 最近、ネット上の書き込みで間違った事実を公開されたというご相談を受けました。インターネットには、掲示板やSNS(twitterやfacebook、LINE)などコミュニケーションの輪を広げる便利な機能があります。その利用が進む一方で、その利用に際して、他人の人権を侵害してしまう事件が発生しています。
 安易な書き込みでほかの人の人権を傷つけないために、インターネットの特性を踏まえた上で、インターネット上で起こり得る人権侵害について理解を深め、ルールやモラルを守って利用することが大事です。
 また、もしも、インターネット上で人権侵害の被害を受けたときは、一人で悩まず行政や弁護士などに相談することが大事です。そのなかでも、頼りになるのが法務省の人権擁護機関です。

インターネットで他人の個人情報を流したり、誹謗中傷や無責任なうわさを広めたりすることは、人権侵害につながります。
 インターネットでは、簡単には自分の名前や顔を知られることなく発言することができます。これを匿名性といっています。この匿名性を悪用した人権侵害が多発しています。最近では、いじめなどの問題をきっかけに、インターネット上にその事件の関係者とされる人たちに関して、ひどい言葉を用いた書き込みや不確かな情報に基づく無責任な書き込みがされたり、誤った情報に基づいて全く関係のない人たちを誹謗中傷(根拠のない嫌がらせや悪口)する書き込みがされたりしていると報道されています。
 インターネットでは、いったん掲示板などに書き込みを行うと、その内容がすぐに広まってしまいます(拡散)。また、その書き込みをネット上から完全に消すことは容易ではありません。誹謗中傷や他人に知られたくない事実、個人情報などが不特定多数の人々の目にさらされ、そのような情報を書き込まれた人の尊厳を傷つけ、社会的評価を低下させてしまうなど、被害の回復が困難なほど重大な損害を与える危険があります。
 また、このような人権侵害は、名誉毀損の罪に問われることもあります。
 先日の常総市の洪水被害の際も、外国人による窃盗事件が起きたとのうわさが流れ、全く関係のない外国人の方の写真がSNSに掲載されてしまいました。治安の悪化を心配するあまり、うわさがうわさを呼び、写真掲載に至ってしまいました。善意が深刻な人権侵害に結びついてしまうこともあります。(この写真は、自主的に速やかに削除されました)
 平成23年中に全国の法務局が処理したインターネットを利用した人権侵犯事件の数は624件ありました。その内訳は、特定の個人について、根拠のないうわさや悪口を書き込むなどして、その人の社会的評価を低下させるといった名誉毀損に関する事柄が約3割、個人情報や私生活の事実にかかわる内容などを本人に無断で掲載するといったプライバシー侵害に関する事柄が約5割となっており、この二つの事柄だけで全体の約8割を占めています。

インターネットを利用するときも、ルールやモラルを守り、相手の人権を尊重しましょう
 インターネットを利用するときも、直接人と接するときと同じようにルールやモラルを守り、相手の人権を尊重することが基本中の基本となります。お互いの顔は見えなくても、インターネットでつながった先にいるのは、心をもつ生身の人間であるということを忘れずにコミュニケーションをとることが大事です。
 発信者が特定できないから何を書いても構わないと思うのは間違いです。捜査機関による発信者の特定は可能です。匿名の書き込みであっても、責任が生じ得るということを認識しなくてはいけません。
インターネット上の人権侵害を防ぐために、他人を誹謗中傷する内容を書き込まない、差別的な発言を書き込まない、安易にあいまいな情報を書き込まない、他人のプライバシーに関わる情報を書き込まない、書き込みが不特定多数の人に見られる可能性があるということを意識することが重要です。

インターネット上で人権侵害があったときは、プロバイダなどに情報の削除依頼を
 インターネット上に自分の名誉を毀損したり、プライバシーを侵害したりする情報が掲載されても、発信者がだれか分からないため、被害者が被害を回復するのは困難です。掲示板やSNSであれば、被害者は、その運営者(管理人)に削除を求めることができます。
 さらに「プロバイダ責任制限法」という法律などにより、被害者は、プロバイダやサーバの管理・運営者など(以下、「プロバイダ」と言います)に対し、人権侵害情報の発信者(掲示板やSNSなどに書き込んだ人)の情報の開示を請求したり、人権侵害情報の削除を依頼したりすることができるようになっています。
 開示請求や削除依頼は、証拠として保存するために、メールや文書で行うようにしましょう。ただし、掲示板などに直接削除依頼を書き込むことは、掲示板上の議論に巻き込まれたりすることがあるので、注意が必要です。
 被害者自らが削除を求めることが困難な場合は、法務省の人権擁護機関(法務局)に削除を要請できます。
 法務局では、まず、プロバイダへの発信者情報の開示請求や人権侵害情報の削除依頼の方法について助言を行うなど、被害者自らが被害を回復・予防を図るための手助けをします。
 また、このような手助けをしても被害者自らが被害の回復・予防を図ることが困難な場合や被害者からの削除依頼にプロバイダが応じないなどの場合は、法務局が、プロバイダへの削除の要請を行います。法務局からの削除要請は、被害者からの被害申告を受けて、被害者が受けたインターネット上での人権侵害について法務局が調査を行い、名誉毀損やプライバシー侵害に該当する場合などに行います。
 平成23年に処理したインターネットを利用した人権侵犯事件624件中、法務省の人権擁護機関がプロバイダなどに対し削除要請を行ったものは62件ありました。

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