橋本昌知事への要望
洪水被害の“半壊”世帯の生活再建支援を
 10月27日、井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党議員会は、橋本昌知事に鬼怒川洪水被害被災者支援について、2回目の要望を行いました。
 今回は、被災者の生活再建のために、“半壊”認定者への金銭的な支援を求めることがポイントです。災害救助法の応急修理制度には、半壊家屋には所得制限あります。所得制限で応急修理制度の対象とならない方に、県独自の仕組みを創設することが必要です。被災者生活再建支援法の支援金の対象とならない半壊家屋への独自支援制度を作ることを要望しました。
 また、今日決定された農業分野、中小企業分野の国の支援策を受けて、農家の施設や機械、設備などへの助成の充実も求めました。(国が3割を助成しますので、県と市町村が3割ずつを負担すれば、9割まで助成できます。ただし、常総市のそこまでの負担を求めることは不可能です)
 さらに、今回の水害を教訓として防災科研との防災協定の締結も提案しました。
【平成27年9月関東・東北豪雨】
被災者の生活再建および防災体制強化に関する要望書
2015年10月27日
茨城県知事 橋本 昌 殿
茨城県議会公明党    
県議会議員 井手義弘
県議会議員 田村佳子
県議会議員 高崎 進
県議会議員 八島功男

 平成27年9月関東・東北豪雨の復旧・復興と被災者支援活動につきましては、橋本昌知事のリーダシップによる茨城県関係者の不眠不休の公務遂行に、心から敬意を表します。
 今回の災害は、まさに百年に一度という規模であり、過去の想定を遙かに超えた大規模災害でした。しかし、地方自治体行政は住民の生活を守る最後の防塁であり、被災者の生活再建、地域の復興、今後の防災体制整備の主体として、大きな役割を担っており、その責任は重大です。
 豪雨被害の対応について、地域住民から多くの要望が寄せられ、課題が多く指摘されています。私ども公明党は、国会議員と地方議員、そして地域の党員、支持者の皆さまが強靱なネットワークで結ばれた現場に根ざした政党です。災害の復旧活動から得た様々な声をもとに、「平成27年9月関東・東北豪雨被災者の生活再建および防災体制強化に関する要望書」を取りまとめました。
 貴職にありましては、以下の要望事項の趣旨をご理解いただき、被災地の復興のため、被災者の生活再建のため、安心安全の県土づくりのため、なお一層、ご尽力いただけることを強く望みます。

要望事項1.被災者支援の充実
  1. 市町村における「り災証明書」の早期発行体制の整備を支援すること。
    「被災者支援システム」(被災者台帳システム)を再構築し、災害救助法の応急修理、被災者生活再建支援法の支援金、義援金の配分、災害廃棄物の処分、諸税の控除などに活用する被災者の支援の均霑化、効率化を図ること。
    マイナンバー(個人番号)を活用した「被災者支援システム」の制度設計を、国と共に早急に行うこと。
  2. "半壊"に認定された世帯(床上浸水世帯)への財政的支援の拡充を行うこと。
  3. 被災者生活再建支援法の対象から外れる世帯が約4分の3に及ぶことが想定されており、京都府や新潟県などの先進事例をもとに、茨城県独自の生活再建支援制度を創設すること。
  4. 使い勝手が悪い指摘されている「災害救助法の応急修理制度」の見直しを、国に働きかけること。
    特に、"半壊"家屋の所得制限の撤廃を求めること。または、県独自の支援制度を創設すること。
  5. 農林水産業者の支援策を拡充すること。
    収穫したコメの補償制度を検討するよう国に強く求めること。農業機械、設備、施設に対する再建補助を26年豪雪被害時の支援レベルで行うこと。
  6. 常総市、境町などでは、設置が望まれる福祉避難所が未設置であることから、要支援者への支援体制に問題が発生した。今後、福祉避難所の設置を強く指導すること。
    要支援者の全戸訪問体制をシステム化し、支援体制の充実を図ること。

要望事項2.被災地の早期復興
  1. 深刻な住宅地被害が起こった三坂町、若宮戸地区などでは、公費投入による住宅地の基盤再建を検討すること。
  2. 三坂町の県道不通箇所の仮復旧を今年中に完了させること。
  3. 商業や工業などに携わる中小企業者の復興を支援する東日本大震災で実施された"グループ補助金"などの制度創設を国に求めること。
    直接的、金銭的な支援制度がない中小企業者、農業従事者への支援制度の創設を国に求めること。
  4. 鬼怒医師会病院など地域医療の拠点施設(診療所なども含む)の復旧に財政的支援を検討すること。

要望事項3.防災・減災体制の整備
  1. 県内河川の堤防整備の状況を調査し、国、市町村と連携の上、緊急性の高い河川から整備を行うこと。
  2. 鬼怒川や八間堀川の堤防が決壊、越水に至った経過・原因を徹底的に調査し、住民への説明責任を市とともに果たすこと。
  3. 住民への防災情報の伝達で瑕疵が指摘されており、その原因や対策、地域防災計画の抜本的な見直しを市町村とともに行うこと。
  4. 市役所、町村役場の防災機能を高めるための支援を行うこと。
    特に、庁舎の立地状況の再検証、非常用発電機の浸水対策を早急に行うこと。災害対策本部の代替機能をもつ施設の整備を助言すること。
  5. 地域ごとの防災体制を抜本的に整備し直すこと(地域防災組織の整備、地域防災組織への無線・通信体制の配備、避難所開設責任者の明確化、防災資機材の地域への配備など)。
  6. 防災体制の強化のため、平時からの市町村や社会福祉協議会、NPO、ボランティア団体、各諸団体との連携強化すること。
  7. 大規模自然災害時の県、および市町村の被災者支援体制整備のため、国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研)などと包括的な防災協定を締結すること。