茨城県総合教育会議 茨城県の前教育委員が、橋本知事が主催する茨城県総合教育会議で、障がい者を差別する発言を行い、辞任するという不祥事が発生し、12月県議会でも知事の任命責任を問う質問が相次ぎました。
 発言の場となった総合教育会議は、11月18日に開催されました。予定されていた議題が終了し、議長を務めていた橋本知事が、「何か発言は」と促したことに対応して、問題の委員が発言しました。特別支援学校を視察した感想を話す形で、「妊娠の初期にもっと(障がいの有無が)分かるようにできないか。生まれてきてからは本当に大変」「県としても大変な予算だろう」などと発言しました。
 この発言は、県議会議員で唯一人、会議を傍聴していた公明党の八島功男県議から、茨城県議会公明党に伝えられました。会派としてはただちに発言の撤回を申し入れしました。
 会議終了後、マスコミから発言への感想を求められた橋本知事は「事実を知って産むかどうかを判断する機会も、得られることは悪いことではない。そういう意味では、それ程問題があるとは言えない」とコメントしました。この知事の発言は「障害者差別の発言は問題ない」との主旨で受けとられるものであり、不本意なものと言わざるをえません。
 結果的に発言した前教育委員は、11月24日に行われた教育委員会で辞任が認められ、知事も発言を全面的に発言を撤回し、陳謝しました。

 妊娠から出産するまでの間に、胎児の血液検査を行い障害の有無を調べるのが出生前診断です。
 この出生前診断でわかる障害は、染色体異常、特定の遺伝性疾患など一部の障害です。視覚障害や聴覚障害、発達障害などはわかりません。問題発言をした前教育員は長くフランスで生活していたと聞いています。日本の出生前記断のとらえ方とフランスでの考え方は大きく違うのかもしれませんが、とうてい容認できるものではありません。
 今回の発言の舞台となった総合教育会議は、教育に関する首長の関与を強める国の教育改革のキモとして始わったばかりの制度です。この4月議会では、県議会の全会一致で「障害のある人もない人も共に歩み幸せに暮らすための茨城県づくり条件」も定められたところです。
 発言した委員が辞めたから、知事が容認発言を撤回、謝罪したから一件落着という問題ではありません。私たち県議会議員も教育委員の同意人事を認めた責任を深く反省しなくてはな りません。こうした自省の上に、障がい者福祉の充実に援別支援の充実に全力を挙げていきたいと思います。
 問題となった前教育委員の発言の記録を、後日の戒めのため掲載いたします。なお、すでに前教育委員は辞任しているため氏名は伏せ字とさせてのいただきました。

茨城県総合教育会議2015/11/18

橋本知事 特に何かありましたらどうぞ。必ずしも総合教育会議や大綱に関係しないことでも結構ですし、知事部局で教育についてこんなこと考えてはどうかということでも。

◯◯委員 この間、見学させて頂いた特別支援学校。すごい人数がいらっしゃることに驚いて、いわゆる3か月の妊娠の初期に、もっとわかるようにできないんでしょうかねと思いましたね、一番。産まれる前、4か月から以降になると堕ろせないですから。早い時期に問題がありそうだっていうのが、お医者様と(相談できれば)、あまりにも多いので。それに従事してる方たちもほんとに良くやってらっしゃるんですよね。ものすごい人数の方が従事してらっしゃるし。県としてもあれは大変な予算だろうと思いました。

橋本知事 医療も発達してきてるんで、そういう方たちがどんどん増えてきてるんですけれども、ただそこで、じゃあ堕ろすのが、堕胎がいいのかどうかっていう、そういう倫理的な問題まで入ってきてしまう。

◯◯委員 意識改革しないと。3か月以内のほんとに初期じゃないと無理だと思うんですね。遺伝子のあれとかそういうのでわかれば一番いいなと思いました。産まれてきてからではほんとに大変ですね。