151210tyousa 12月9日、厚生労働省は「2014年国民健康・栄養調査」の結果を公表しました。
 その結果、世帯所得が低いほど米やパンなど穀類の摂取量が増え、肉や野菜は減少する傾向があること明らかになりました。
 厚生労働省は「おかずをそろえ、食事内容のバランスを整える余裕が少ない可能性がある」とし、健康面の格差拡大に懸念を示しています。
 この調査は毎年行われ、今回は昨年11月に実施されました。全国約5400世帯を無作為抽出し、約3600世帯から有効回答を得ました。摂取品目を詳しく尋ね、所得と食生活の関係を調べたのは、今回の調査が初めてです。
 その結果、米やパン、麺など穀類の1日当たり平均摂取量は、世帯所得が600万円以上の男性は494グラムだったのに対し、200万〜600万円未満は520グラム、200万円未満は535グラムでした。女性もそれぞれ352グラム、359グラム、372グラムで低所得ほど多くなる傾向が明らかになりました。
 野菜の摂取量は所得600万円以上は男性322グラム、女性313グラムでしたが、200万円未満では男性253グラム、女性271グラムでした。肉の摂取量も低所得ほど少い傾向が見られました。
参考:平成26年国民健康・栄養調査結果の概要
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000106405.html
2014年国民健康・栄養調査結果のポイント
<所得と生活習慣等に関する状況>
・ 生活習慣等の状況について、所得の低い世帯では、所得の高い世帯と比較して、穀類の摂取量が多く野菜類や肉類の摂取量が少ない、習慣的に喫煙している者の割合が高い、健診の未受診者の割合が高い、歯の本数が20歯未満の者の割合が高いなど、世帯の所得の違いにより差がみられた。
<健診の受診に関する状況>
・ 健診を受診していない者では、健診を受診している者と比較して、男女ともに現在習慣的に喫煙している者の割合、運動習慣がない者の割合、血圧の平均値が高く、女性に関しては肥満者の割合も高かった。
<基本項目に関する状況>
・ 肥満者の割合、糖尿病が強く疑われる者の割合は、男女ともに増加せず推移し、収縮期血圧の平均値は経年的にみて男女ともに低下傾向にあるなど、生活習慣病の予防対策に一定の効果がみられている。
・ 一方で、喫煙している者の割合は平成22年以降男女とも減少しておらず、このうち、たばこをやめたいと思う者の割合が男性26.5%、女性38.2%にとどまるなど、引き続き対策が必要である。

所得と生活習慣等に関する状況
世帯の所得別(200万円未満、200万円以上〜600万円未満、600万円以上)に、世帯員の生活習慣等(食生活、運動、たばこ、飲酒、睡眠、健診、体型、歯の本数)の状況を比較した結果は、以下のとおり。
  1. 穀類摂取量は、世帯の所得が600万円以上の世帯員に比較して、男性では200万円未満と200〜600万円未満の世帯員で有意に多く、女性では200万円未満の世帯員で有意に多かった。また、野菜類及び肉類摂取量は、男女とも世帯の所得が600万円以上の世帯員に比較して、200万円未満と200〜600万円未満の世帯員で有意に少なかった。
  2. 運動習慣のない者の割合は、男女とも有意な差はみられなかった。また、歩数の平均値は、男女とも世帯の所得が600万円以上の世帯員に比較して、200万円未満の世帯員で有意に少なかった。
  3. 現在習慣的に喫煙している者の割合は、世帯の所得が600万円以上の世帯員に比較して、男女とも200万円未満と200〜600万円未満の世帯員で有意に高かった。
  4. 健診等の未受診者の割合は、世帯の所得が600万円以上の世帯員に比較して、男性では200万円未満と200〜600万円未満の世帯員で有意に高く、女性では200万円未満の世帯員で有意に高かった。
  5. 肥満者の割合は、男女とも世帯の所得が600万円以上の世帯員に比較して、200万円未満の世帯員で有意に高かった。
  6. 歯の本数が20歯未満の者の割合は、世帯の所得が600万円以上の世帯員に比較して、男女とも200万円未満と200〜600万円未満の世帯員で有意に高かった。