与党幹事長 12月12日、自民・谷垣禎一、公明・井上義久の両党幹事長は、2017年4月の消費税率10%への引き上げと同時に導入する軽減税率について、生鮮食品と加工食品を含めた食品全般(酒類、外食を除く)を対象とすることなど制度の大枠で合意しました。
 消費税率が10%に引き上げられても、食品全般の税率は8%に据え置かれます。近く自公両党は合意内容を盛り込んだ2016年度与党税制改正大綱を決定します。
与党合意の骨子
◎2017年4月1日に軽減税率を導入
◎対象品目は生鮮食品および加工食品(酒類・外食を除く)。税率は8%
◎財政健全化目標を堅持し、16年度末までに安定的な恒久財源を確保
◎2021年4月にインボイス制度を導入。それまでは簡素な経理方法とする
◎導入に当たり混乱が生じないよう、政府・与党一体で万全の準備

 会談では、「軽減税率制度についての大枠」として、5項目で合意されました。
 具体的には、2017年4月から軽減税率を導入することを確認。対象品目については、生鮮食品と加工食品を含めた食品全般(酒類、外食を除く)とし、適用する税率は8%としました。
 軽減税率導入に必要な財源(約1兆円)については、財政健全化目標を堅持し、安定的な恒久財源の確保に自公両党が責任を持って対応すると記しました。
 これを踏まえ、2016年度税制改正法案では、16年度末までに歳入、歳出に関する法制上の措置を講じ、安定的な恒久財源を確保すると規定。財政健全化目標との関係や18年度の「経済・財政再生計画」の中間評価を踏まえ、消費税を含む税制の構造改革や社会保障制度改革など歳入、歳出のあり方について検討し、必要な措置を講じる方針も示しました。
 事業者の経理手法については、2021年4月からインボイス(適格請求書)制度を導入し、それまでは、現行の請求書等保存方式からの変更を少なくした簡素な方法とするとしました。
 また、軽減税率の導入に当たっては、政府・与党が一体となって万全の準備を進めるため、体制を整備するとともに、必要に応じて、円滑な導入、運用に向けた措置を講じると定めました。
 会談後、記者団に対し井上幹事長は、軽減税率の対象品目について、「消費税の持つ逆進性や痛税感の緩和という観点から、国民の理解を得られる制度にするため、加工食品を含めた食料品を対象にすべきだと一貫して訴えてきた」と述べ、今回の合意内容に公明党の主張が反映されたことを強調。谷垣幹事長は、「現段階では、最もいい案で合意できたのではないかと考えている」と語りました。

消費税の逆進性を緩和する“軽減税率”、公明党が一貫して主張
 公明党は、軽減税率の導入を公約に掲げ、その実現に向けて一環して取り組んできました。
 2012年、当時野党だった公明党は、民主党、自民党両党との社会保障と税の一体改革協議で「消費税率の引き上げに際しては低所得者対策が必要だ」と強く主張しました。その選択肢の1つとして3党合意の中に軽減税率を盛り込ませたのです。
 自公政権の再出発の、2014年度の与党税制改正大綱に「軽減税率を消費税率10%時に導入する」ことを明記しました。さらに翌年2015年度対抗には、消費税率を10%に引き上げる「2017年度からの導入を目指して」と記し、導入時期を着実に固めていきました。
 2014年末の衆院選では、自民、公明の与党両党の共通公約にも軽減税率の実現を掲げて戦い、大勝利しました。
 こうした国民との公約実現を目指して、自民、公明の与党両党は、軽減税率の制度設計について協議を加速。公明党は経理方式に関して、事業者の負担が重くならないよう、現行方式をベースにした党独自案を発表しました。これが与党協議のたたき台となって具体化されました。
 対象品目を「生鮮食品に限定すべき」と言う意見が出た際は、多くの国民がスーパーの惣菜など加工食品を日常的に利用しており、所得の低い人ほどその傾向が強いと強く主張しました。「対象を幅広くすべきだと」と訴えてきました。