イメージ 1月14日、国会では衆議院本会議を平成27年度の補正予算が賛成多数で通過し、参議院に送られました。この補正予算と28年度予算案には、公明党が強く訴えた子どもの貧困対策についての予算が計上されています。

36年ぶりの児童扶養手当拡充などでひとり親世帯サービスを充実
 新年度予算案には、児童扶養手当の充実が盛り込まれました。これまで月額5000円だった第2子加算額を1万円に、月額1人当たり3000円だった第3子以降加算額を6000円に、それぞれ倍増させる制度改正が盛り込まれています。児童扶養手当は、ひとり親家庭などでの子育て支援として50年以上前に始まった制度です。子どもが1人だけの家庭(手当額は最大月額4万2000円)に比べ、2人以上いる家庭の1人当たりの手当額が制度上、低すぎて改善が求められていました。
 実現すれば、第2子加算は36年ぶり、第3子以降加算は22年ぶりの引き上げになります。
 また、公明党が強く推進してきた、幼児教育無償化を段階的に進める一環として、多子世帯やひとり親世帯への保育料負担軽減策も盛り込まれました。

無利子奨学金や奨学給付金拡充
 教育支援では、無利子奨学金枠が1万4000人分拡大して47万4000人分になります。経済的に就学困難となった学生への授業料減免制度も拡充されます。
 高校生を持つ低所得世帯に給付し、返還の必要のない高校生等奨学給付金も、16年度は全学年が制度の対象となり、対象者も47.8万人になります。また非課税世帯で全日制高校に通う第1子について大幅増額されることになります。国公立が3万7400円から5万9500円、私立3万9800円から6万7200円です。
学習支援や保護者支援など幅広く
 また、子どもの貧困対策推進法や生活困窮者自立支援法などに基づく施策も拡充されます。
 地球未来塾という形で地域のボランティアやNPO法人などとも連携し、困窮家庭などの子どもたちの学習の場や居場所づくりが進んでいます。それを1100カ所増やして3100カ所にする予算が計上されました。新たに高校生も対象にして、高校中退も防ごぐ取り組みも始まります。家庭訪問による学習支援も拡充すします。
 経済的なものも含めさまざまな課題を抱えた子どもたちや保護者などに対する支援を学校や地域社会と連携して行うスクールソーシャルワーカーの配置も800人増やして3000人を超えることになります。
 事情があって親元で暮らせなかった子どもが生活する児童養護施設を退所した青年に対する自立支援の充実や、教育支援資金(生活福祉資金)の貸し付け上限引き上げ、ひとり親を対象にした就職に有利な資格取得を促進するための貸し付け事業、ひきこもりサポーターの養成や派遣事業なども推進します。たらい回しを防ぐ生活相談の窓口のワンストップ化もさらに進みます。

地方の取り組みが急務
 こうした国の制度拡充策があっても、現場で子どもの貧困対策に携わる地方の行政が本気を出さなくては、制度も予算も活きません。国からのメニューを消化するだけではなく、現状をしっかり把握したうえでの市町村の取り組みが期待されます。さらに、住民に一番近いボランティアやNPO、地域のコミュニティなど民間の力をどう活かすかも重要な視点となってきます。
 国の制度や予算が充実すればするほど、市町村の格差が拡大するといった皮肉な結果になってしまします。