関東東北豪雨被害の現場で井手よしひろ県議 阪神・淡路大震災から21年、東日本大震災から5年が経ちました。そして、昨年、茨城県は関東・東北豪雨被害を経験しました。
 阪神・淡路大震災の犠牲者は6434人とされ、そのうち建物の下敷きや火災で亡くなった人(直接死)は5502人で、残りの932人は震災がおさまってからの震災関連死でした。さらに、仮設住宅や復興住宅で孤独死した人は1097人に上るとされています。
 東日本大震災では、死者1万5891人、行方不明者2584人となっています。震災関連死は3364人にのぼっています。茨城県でも、死者24名、行方不明1人、震災関連死が41名に上っています。
 その他、家族や地域コミュニティーが崩壊したための孤独死も多数出ています。
 こうした震災関連死や孤独死は、ある意味で防ぐことが出来た災害の犠牲者なのです。なぜ、このようなことが起こるのかといえば、日本の災害復興に対する理念の希薄さがその根底にあるとの指摘があります。
 これまで災害に対して、国は私有財産自己責任という原則のもと、被災地の「復旧」には力を尽くすが、個々人の「復興」はあくまで自助努力によるという考え方を前提にしてきました。今までの復興策は、都市空間が復興すれば経済が循環して人も復興するという、いわば「統治的復興」政策でした。 公共工事による復興策であったと思います。基本的にはその考え方が、今も連綿と受け継がれています。右肩上がりの経済が終わり、高齢者など社会的弱者との格差が広がっている今の時代では、復興できない人があふれかえってしまいます。そこに新たに、個々人の復興に焦点を当てた「市民的復興」の理念に基づいた支援が不可欠になっていると考えています。
 また、日本の災害復興は、被災地域を軸に考える「属地主義」であり、被災者の生活再建等に光を当てた「属人主義」でないところに問題があります。余りにも災害復旧や復興の主体者を市町村に限定しすぎていると考えます。
 こうした旧態依然とした感覚は、今回の関東・東北被害現場での行政対応の節々にも垣間見られました。被災した自治体のホームページ(例えば常総市)には、市の義援金や見舞金の対象を「被災時、常総市民で災害により住んでいる住居に半壊以上の被害を受けた世帯の世帯主および貸家・アパートなどの所有者」に限定するとの表記が未だに見られます。ここでいう「市民」とは、住民基本台帳に掲載された市民を指します。まさにこれが「属地主義」です。しかし、たとえ住民登録がなくても、実際にその地域内に居住し水害の被害に遭った被災者であるという見方をすれば、行政として万全の手立てを講ずるのが「属人主義」的な行政対応です。
 大規模自然災害からの復興に当たって、私たちはどのようなビジョン、理念をもつ必要があるのでしょうか。まず重要なのは、災害は脆弱な地域社会に、より大きなダメージを与え、復興を困難にするということです。昨年9月の発災以来、常総市では人口流出に歯止めがききません。地域経済を支えてきた中小商店が再建できません。地方創生の重要性が叫ばれる中で、洪水という自然災害をキッカケに、地域の崩壊が始まっていると言っても過言ではないのです。
 復興への意欲そのものが失われかねない状況の中で、被災者に寄り添う伴走型の支援とともに、身近なコミュニティーなどを通し、あの手この手を尽くして、失われた「人と人のつながり」を復元していくことが大切です。そして、一人一人が生活を再建し、復興の主体者となって街づくりやコミュニティーづくりにも参加できるように、支援していかなくてはなりません。

3月3日代表質問する井手県議 こうした問題意識を基本として、3月議会の代表質問では、国の災害救助法や被災者生活再建支援法を抜本的に見直すこと、県の独自の支援策を恒常化すること、市町村支援のための組織作りについて、橋本知事に質問しました。このブログでは、まず、知事の制度改正にかかわる答弁を整理して掲載します。

橋本知事:大規模災害に係る被災地復興の考え方
 大規模災害からの復興に当たっては、被災者一人ひとりに目を向けるとともに、市町村の復旧・復興対策を支援し、被災地が一日も早く元気な姿に戻れるよう、全力で取りくんでいく必要があると考えております。
 このため、まずは上下水道や道路、港湾などの復旧に努め、市民の日常生活や産業活動が、一日も早く元に戻るための社会基盤の整備を進めていくことが大切であると考えています。
 また、同時に、被災者一人ひとりの生活に目を向けた支援策を講ずることが大切であり、県におきましては、被災者の生活再建を支援するため、今回の関東・東北豪雨災害に際し、国の支援金の対象とならない半壊世帯への支援金の支給など、県独自の支援策を講じることにしました。
 また、併せて、大規模災害後も地域社会を維持していけるようにするためには、農業や中小企業の再建による働く場の確保、あるいは地域に必要不可欠な医療機関、福祉施設の早期再開などが喫緊の課題となってまいります。
 このため、県独自の支援策や農業への上乗せ補助を行うとともに、国とともに、病院や保育所等の医療・福祉施設などが存続していけるような支援に努めたところです。
 また、被災者が孤立しないよう、議会、市町村など様々な主体が連携し、ボランティア活動の強化や地域活動への参加促進、さらには、地元を離れた方々へのフォローなどの対策を講ずることなどを支援してきたところであります。
 
災害救助法、被災者生活再建支援法見直と半壊世帯に対する県独自の取組について
 まず、制度見直しに係る国への提案についてです。昨年11月の臨時会において井手よしひろ議員から、住宅の応急修理を現金払い制度に変更すること、被災者生活再建支援金を半壊まで拡大すること及び浸水による住家の被害認定基準を見直すことの3点について、ご提案をいただきました。
 これらについては、直ちに国に要望してまいりましたところ、1点目について、「災害等により、金銭があっても必要な対応ができない被災者に代わり、自治体が応急修理作を行う制度であるため、難しい」との回答でありました。
 しかしながら、今回の豪雨災害のような広域的な災害が発生した場合には、被災対応に追われる自治体においてこそ、すみやかな工事発注業務ができなくなります。今後、県市町村とで協力して災害時の市町村の負担軽減や被災者の利便性の向上が図られるよう、現金払い制度への変更を更に強く要望してまいります。
 また、2点目の被災者生活再建支援金を半壊まで拡大することにつきましては、「現行制度は全都道府県が拠出した基金により支援金を支給するものであるため、難しい」との見解が示されましたので、国を動かすには他の都道府県との連携が効果的であることとから、本県と同様要請を行っている他県とも連携しながら、全国知事会を通して働きかけてまいります。
 さらに、3点目の浸水による住家の被害認定基準の見直につきましては、「床上浸水以上を大規模半壊と認定すると、被災者生活再建支援金の支給額が増大するため、難しい」との回答でありました。この見直しは災害の規模が大きい場合、都道府県にとって極めて大きな負担となるところから、他県では要望を行っておらず、実現することは大変厳しい状況にもありますことから、半壊世帯に対する県独自の取組も進めていかなければならないと考えております。
 今回の豪雨災害における県独自の特例措置につきましては、半壊世帯に対し25万円を支給する被災者生活再建支援補助事業では、1月末現在で2721件、所得要件により災害救助法の対象外となる半壊世帯に対する住宅の応急修理では、2月12日現在で722件と、多くの方々にご利用いただいているところです。今後、こうした状況も踏まえ、市長会や町村会などを通じて、市町村との意見交換を進め、大方の理解が得られれば、恒常化してまいりたいと考えております。