県議会代表質問(2016/3/3) 3月3日の県議会代表質問で、井手よしひろ県議は、東日本大震災や関東・東北豪雨などの大規模な自然災害を受けた自治体の支援のあり方について提案しました。このブログでは、その質問の内容と橋本知事からは大変具体的な答弁が行われましたので、ご紹介します。

 大規模な災害時には行政組織自体が機能不全に陥ったり、応急対応に追われ、復興への取り組みが遅れることも明らかになりました。本来、市町村は大きなダメージを受けた我が街をどのように復興させていくかに最大限の労力を払うべきです。災害発生時においては、被災自治体は、他の自治体からの支援を積極的に受け入れるべきです。行政に代わり、市民ボランティアやNPO、医療・福祉関係者、専門家や有識者、研究機関などから、災害復旧のための支援を全面的に受け入れるべきです。
 そのためには、他の自治体や民間組織、団体などを束ねられる中間的な支援組織の存在が重要になって来ると考えます。
 県内市町村に大規模災害が発生した場合は、県や県内各自治体、全国の防災先進自治体の専門職員を募ります。り災証明書の受付や避難所の運営などは、その自治体の職員が全てやる必要は本来ありません。共通のマニュアルを整備しさえすれば、守秘義務を有する全国の自治体職員は、被災自治体の職員以上にマンパワーを発揮できるはずです。
 また、福祉・介護や医療の専門家は、その分野で被災者の支援に当たるのが、一番価値的です。特に今回の洪水被害では、在宅での要支援者の支援に、他地域からの福祉・介護や医療の専門家に当たっていただける体制を整備することは、ほんとうに重要だと感じました。
 私ども県議会公明党は、これを仮に大規模災害時の「総務タスクフォース」「福祉医療タスクフォース」と呼びたいと思います。
 大規模災害発生時に被災市町村を支援する、「総務タスクフォース」「福祉医療タスクフォース」の整備について、知事はどのようにお考えかお伺いいたします。
橋本知事の答弁:市町村支援のタスクフォースを整備
常総ボラセンでの受付風景 まず、「総務タスクフォース」についてでございます。
 昨年9月の関東・東北豪雨災害では、被災者支援業務が大量かつ短期間に集中して発生したため、県では市町村と連携して、常総市に職員を派遣しましたが、限られた時間の中で人材を選ぶのに大変苦労したところであり、被災市町村を速やかに支援できる体制を準備しておくことは重要であると考えております。
 そこで、災害が起きた場合に発生する、例えば擢災証明書の発行業務、住家の被害認定、廃棄物対策などについて、県庁内や市町村、団体などから業務に精通している人材を募集して登録を行い、実際に災害が起きた場合には、登録された方々を速やかに被災市町村に派遣し、被災者支援業務を応援する仕組みを整備してまいります。
 なお、今回の常総市の例を見ますと、被災市町村において派遣職員の受入体制をあらかじめ考えておくことも重要ですので、「災害対応勉強会」などにおいて、市町村と連携し、派遣職員の受入体制のあり方についても検討してまいります。
 このほど、県と防災科学技術研究所と包括連携協定を結ぶことになりましたので、今後は、防災科学技術研究所の罹災証明書発行システムなどを活用し、派遣登録された方々や市町村の関係職員がシステムを習熟できるよう、操作訓練を行ってまいります。

県ボラセンでの受付風景 次に「福祉医療タスクフフォース」についてでございます。
 医療分野につきましては、災害発生直後から、DMATによる医療救護活動を実施するとともに、避難所等おいては、県災害医療コーディーネーターの調整のもと、JMAT茨城やこころのケアチーム、リハビリ専門職、多職種連携による支援活動を行ってまいりました。
 今回の支援活動を踏まえ、「災害派遣精神医療チーム」いわゆるDPATを国に登録したところであり、今後、活動要綱や必要な機材の整備を行うなど体制の充実に努めてまいります。

 一方、福祉分野では、災害時における基本協定に基づき、福祉団体と連携して、被災した福祉施設を支援します。とともに、茨城社会福祉協議会が中心となって構築している「防災ボランティアネットワーク」の構成団体体等により、被災した外国人への多言語による情報提供・通訳支援や、避難所における高齢者・障害者への入浴介助等の支援活動も行われました。
 さらに、在宅の要支援者につきましでは、常総市において福祉避難所が設置されなかったことを踏まえ、避難行動要支援者名簿の早期作成と福祉避難所の指定拡大を市町村に働きかけ、被災市町村が県や周辺市町村と連携しながら支援できるよう努めてまいります。
 県といたしましては、このように、市町村や関係団体と連携して、被災市町村を支援する体制を強化し、災害時に速やかに支援してまいります。