日立の特注ランドセル 今日から4月。ここ日立でも桜の花もほころび始め、真新しいランドセルを背負った子どもたちの姿をもうすぐ見ることができます。
 ランドセルと言えば、男の子は黒、女の子は赤と決まっていたのは、遙か昔の話し。ピンク、ブルー、紫、花の刺しゅう入りなどなど、ランドセルは今や個性豊かな品揃え。素材も一般的なクラリーノ(合成皮革)から牛革まで揃っています。
 ランドセルの通販サイトによれば売れ筋の価格帯は、1位が4万円台、2位3万円台、3位2万円台、4位5万円以上だそうです。しかし、鞄の専門店などでは、安いもので4万円、最高値は12万円。売れ筋は5万〜6万円の商品といわれています。
 少子化の流れで、おじいちゃん、おばあちゃんが孫のために奮発するというのが一般的な傾向のようです。
 反面、その負担に苦悩する保護者も少なくありません。先日も水戸市内に住むシングルマザーからご相談を受けました。「毎年この時期になると、テレビで児童養護施設の前に、タイガーマスク(伊達直人)と名乗る人物がランドセルを置いていくニュースが流れます。こうしたランドセルをいただくにはどうすれば良いのでしょうか。どのお店でも3万円以上するみたいで、これだけの出費は出来ません。知り合いから譲ってもらえるのですが、みんな新品のランドセルを背負って登校するのに、うちの娘だけお下がりではかわいそうで…」との内容でした。幸いネットで検索し1万円台の商品を見つけることが出来、喜んでいただくことが出来ました。

昭和50年より日立市ではランドセルを無償配布
 子育ての負担を軽くしたい、子どもたちが差別感を持たず学校に通ってもらいたいとの思いで、日立市では昭和50年から特注ランドセルの支給を始めました。この軽くて便利なファスナー式薄型ランドセルは、毎年すべての新入生に入学式当日に贈呈されています。色は赤と黒の2色、男女とも自由に選べます。サイズはA4サイズのものがゆったりと入る大きさ(高さ34センチ×ヨコ25センチ×マチ10センチ)。重さは約550グラムで、驚くほど軽く出来ています。素材等は、合成皮革・表面はウレタン加工が施され、色落ち、すれ傷、ひっかき傷に強く、撥水・防水性に優れています。
 このンドセル購入予算は、平成28年度当初予算で約1000万円(単価7800×消費税×新入生数1265人=1065万6360円)。なお、このランドセルは6年間の保証付が付いており、ファスナーの故障やベルトの破損など、無償で修理が可能です。
 転入してきた子どもは、同じ特注のランドセルが支給されいため、前の学校で使っていたランドセルを引き続き使うことになります。ランドセルをみると転入生だということが一目瞭然となり、いじめの要因にもなると言うことから、1年生の内に転入した児童には新たなランドセルが支給されます。
 転入生や破損などによって新しいランドセルを欲しい人は、1万円で指定店舗(市内に5店舗)で購入することも出来ます。
 井手よしひろ県議ら公明党は、新たに転入してきた子どもたちを歓迎する気持ちを込めて、希望者全員に贈呈することを日立市に求めています。

日立市の特注ランドセル取扱店
プリンセス:日立市鹿島町1−11−11:0294-21-6880
イエローハウス:日立市鹿島町1−4−13:0294-23-1114
スミヤカバン店:日立市千石町1−11−23:0294-34-2930
取り寄せ可能店舗
ファミリーショップカミヤ:日立市十王町友部17:0294-39-2003
おしゃれの店山貴:日立市十王町友部1−1−10:0294-39-4129



茨城県では10市町がランドセル無償配布
 こうした日立市の取組によって、茨城県内では44市町村中10市町でランドセルの無償配布が行われています。茨城県内において、ランドセルの無償配布を行っている市町(日立市、北茨城市、高萩市、小美玉市、桜川市、筑西市、土浦市、鹿嶋市、石岡市、利根町)
 石岡市は、平成24年に初当選した今泉文彦市長が選挙公約の一つとして、ランドセルの無償配布を取り上げました。今年度から始まった無償配布事業では、オレンジやブルーなども加え5色のランドセルが配られます。新入生に、事前に希望を把握したうえで、小学校ごとに開かれた新入生の保護者説明会で計約580個を配りました。
 小美玉市では、入学前の秋に子どもたちを集めて「七つの祝いの式典」を開き、その場でランドセルを渡しています。旧玉里村が贈っていたのを引き継ぎ、合併後から全市に拡大しました。今年度は約460個を配布しました。
 今春からランドセルを贈ることにした利根町は、男女で各4種類、計36色のランドセルと取りそろえました。昨年秋に展示会を開き、希望する種類や色に応じて約120個配りました。今回は町制施行60周年の記念事業の一環で行いましたが、今後も継続する予定です。

京都中心に1万以下の「ランリック」が普及
ランリック 子ども貧困が話題となり、ランドセルの見直しを検討すべきとの声を高まっています。
 京都府南部および滋賀県・大阪府・奈良県の一部では、公立小学校約120校以上の小学生が、「ランリック」という布製のリュックサック状の鞄を通学に利用しています。「ランリック」は、ランドセルの丈夫さとリュックサックの軽さを合わせ持つ、機能性重視の鞄です。交通安全のために、道路の危険標識を意識したデザインで、黄色いランドセルとして、昭和43年、京都で誕生しました。その後、「青」と「赤」が追加され、現在は3色あります。
 ランドセルに比べ、かなり多くのものが入るといいます。ただ、このランリックは無償配布ではありません。ランドセルよりはかなり安めですが、1万円以下で販売されています。
参考:ランリック(マルヤス株式会社)http://ranrick.com/