所得に応じて返還可能、卒業後の負担を軽減、「給付型」とともに公明が提案
 安倍晋三首相は3月29日、予算成立に際しての記者会見で、「可能な限り速やかに、必要とする全ての子供たちが利子の無い奨学金を受けられるようにしてまいります。返済額についても、社会に出た後の所得に応じて変化させることで、過度な負担とならないように配慮します」と述べました。
 学生が安心して学べる環境づくりを進めるため公明党が導入を強く求めていた、卒業後の所得に応じて返還額が変わる「所得連動返還型奨学金」について、文部科学省の有識者会議は3月24日、最終案をまとめました。貸与開始は2017年4月の新入学生からで、募集は今年4月から始まります。
所得連動返還型奨学金
月額2000円を最低返還額に設定
 所得連動型による奨学金の返還例同奨学金は、日本学生支援機構の無利子奨学金を受ける大学、短大、大学院生などが対象となります。月額2000円を最低返還額とし、マイナンバーを基に住民税の課税所得の9%を返還額とします。最も利用者の多い貸与額約260万円の私立学生のケースで、年収300万円だと返還月額は現行の1万4400円から8900円に下がります。
 また、保証人による返還保証ではなく、在学中に月数千円の保証料を払う機関保証を原則とします。定額制度も継続し、申込時に方式を選択。卒業まで変更可能としました。返還猶予制度も維持します。
 有利子奨学金については、所得連動返還型の場合、返還期間が長くなる可能性があるため、無利子奨学金の運用状況を見つつ「将来的に導入を検討」(文科省)とします。
 これまでの奨学金は、年収300万円以下の人が最長10年間返還を猶予される以外は原則定額で、低所得者ほど負担が重くのしかかっていました。卒業後に返還を3カ月以上、延滞する人は約17万人(2014年度)に上ります。
 なお、所得連動返還型奨学金の詳細は、学生支援機構のホームページに載せるほか、同省が高校の進路指導担当などに周知されます。

公明党が奨学金の充実を他党に先駆け主張
 公明党は、学生や卒業生からの「将来の返還が不安」「毎月の負担が重く生活が苦しい」などとの声を受け、返還の必要がない給付型の導入を他党に先駆けて主張するとともに、無理のない返還が可能な「所得連動」の導入を提案し、政府への提言や国会質問などで繰り返し訴え続けてきました。
 これまで公明党は教育機会の均等を訴え、奨学金制度の充実に力を注いできました。今回、所得連動返還型が導入されるのは、負担が少ない奨学金制度を進める上での第一歩となります。今後も、所得連動の既卒者への適用や無利子枠の拡大、給付型の創設を進めてまいります。

【重要な更新】給付型奨学金 返還免除で検討
2016/4/5 更新
 馳文部科学大臣は、4月5日、閣議の後の記者会見で、自民・公明両党がそれぞれ創設を求める提言をまとめた、返済のいらない「給付型奨学金」について、入学前に支給するのではなく、卒業後に奨学金の返還を免除する仕組みを軸に検討を進めたいという考えを示しました。
 自民・公明両党は、貧困家庭から大学などに進学する道を閉ざさないことや、学費などの教育支出により卒業後に多額の借金を背負わないよう、返済のいらない「給付型奨学金」を創設することを求める提言をそれぞれまとめ、5日安倍総理大臣に提出しました。
 これについて馳文部科学大臣は、閣議の後の記者会見で「給付型奨学金をめぐる明確な提言が安倍総理大臣に出されたことは重く受け止めたい。政府内で合意を取りながら、水面下で煮詰めるところは煮詰めていきたい」と述べました。
 その上で、馳大臣は「給付のあり方を考えた場合、最初から4年間分の奨学金をどうぞというのは課題が大きい。進学や単位の取得を踏まえて判断される必要があり、返済免除型の方が理屈に合い、モラルにも沿っているのではないか」と述べ、入学前に支給するのではなく、卒業後に奨学金の返還を免除する仕組みを軸に検討を進めたいという考えを示しました。