生活保護、児童養護施設のこともの進路
 日本における子どもの貧困率は先進諸国と比較しても深刻な状況にあり、平成24年においては、16.3%(6人に1人)が平均的な所得の半分以下の世帯で生活しています。子どもの貧困対策は、国を挙げて対応すべき喫緊の課題となっています。
 平成26年8月、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」に基づき、子供の貧困対策に関する大綱が閣議決定され、国としての対策の方針が示されました。
 茨城県では、従来から各種福祉施策の中で個別に貧困対策に取り組んできましたが、子どもの貧困対策という視点から、各施策を捉え直し、子どもの貧困問題に対して、より効果的・総合的に対応していくため、茨城県子どもの貧困対策に関する計画を策定し、3月30日に公表しました。
 茨城県では、生活保護世帯やひとり親世帯が増加傾向にあります。これらの世帯では、就労収入が低い傾向にあります。大人が一人の世帯員(ひとり親家庭)の貧困率は非常に高く、茨城県では生活保護世帯におけるひとり親世帯数は平成24年度まで増加しています。
 子どもの進路について、本県全体と比べると、生活保護世帯の子どもと児童養護施設の子どもの高等学校等進学率や大学等進学率は低い状況にあります。また、全国の児童養護施設の子どもの大学等進学率などと茨城県を比較すると、本県は低い水準にあります。
 このようなことから、茨城県においては、家庭の経済状況など、子どもが生まれ育った環境により、高等教育を受ける機会が損なわれる等の影響が生じていることがうかがわれます。
教育支援、生活支援、就労支援、経済的支援の4本柱
 茨城県では子どもの貧困対策に4つの柱を立てました。家庭の経済状況にかかわらず、全ての子どもがその意欲と能力に応じた教育を十分に受けることができるよう、教育支援が必要です。貧困の状況にある家庭が孤立せずに、安心して生活することができるよう、生活支援が必要です。職に就いていない等により貧困の状況にある家庭が、安定した収入を得るためには、就労機会を確保することや、保護者の学び直しが重要であり、就労支援が必要です。貧困の状況にある家庭が安心して暮らすことができるよう、安定した生活の基礎の確保のために経済的支援が必要です。
 その上で、県がまとめた計画では、既存の無利子奨学金の支給や生活困窮者の自立支援事業を継続すること。今年度新規事業として、ひとり親家庭支援を強化し、県が委託したNPO法人が公民館などで学習支援や食事の提供など居場所づくりを行うモデル事業を2カ所で実施すること。ひとり親が職業訓練に関わる学校に入学する際や、就職準備金の貸付制度(上限50万円)を設立。県内で5年以上就労を継続すれば返還が免除され制度を創設すること。高校卒業程度認定試験の受験支援や費用の一部支給も行うこと。などの新たな政策を展開するとしています。
 4月13日、井手よしひろ県議は県子ども家庭課から、大綱の内容についてヒアリングすると共に、学習支援や子ども食堂の支援などについて意見交換を行いました。今、注目を集めているのが『子ども食堂』です。子どもたちに、無料または格安で食事を提供している『子ども食堂』が全国に広がっています。 貧困に悩む子どもたちの食を支え、子どもの居場所を提供しています。
 茨城県内でも『子ども食堂』を展開したいと検討している団体があります。県や市町村の行政がどのような支援ができるか、検討するよう要望しました。
参考:茨城県子どもの貧困対策に関する計画の策定について
http://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/kodomo/shintyaku/280330press_release.html