がんの10年生存率
 公明党の主導で2006年に「がん対策基本法」が成立し、国の対策が本格化してから今年で10年。がん患者の生存率は飛躍的に高まっています。
 全国32のがん専門病院でつくる「全国がんセンター協議会」が、今年1月に公表したデータによると、全てのがん患者の10年後の生存率は平均で約6割まで上昇。かつての死に至る“怖い病”であるとのがんのイメージは薄れ、長く付き合う病気へと変わりつつあります。
 働きながらがん治療を受けている人は全国で約32万人に上ります。しかし、厚生労働省の調査では、がんと診断された後、患者の34.6%が依願退職、または解雇されています。
 生存率の上昇とともに、がんになっても社会生活に復帰する患者が増えている現状を踏まえ、厚労省は4月から「支持療法」に関する診療ガイドラインの作成に向け、必要な調査や研究を始めました。
 抗がん剤による副作用などが、がん患者の就労継続の妨げとなっています。厚労省によると、抗がん剤による脱毛やしびれなどの副作用に苦しむがん患者は約4割に上る。また、例えば、胃がん患者が胃切除術後、食欲不振に陥るなどの手術後の後遺症も問題であると指摘しています。
 がん患者のこうした苦しみの軽減をめざす治療が支持療法です。国内では、支持療法に関する研究が少なく、欧米諸国に比べて診療ガイドラインの整備も遅れています。
 例えば、フランスをはじめとする欧米諸国では、クロノテラピー(時間治療)という抗がん剤の副作用を軽減する治療法が行われています。
 抗がん剤を投与する時間帯には、効果が大きく副作用が小さい時間帯と、効果が小さく副作用が大きい時間帯があります。投与時間を工夫することで、薬の効果を上げ、副作用を抑える治療法です。
 支持療法の普及は、がん患者の痛みなどの症状や精神的苦痛、悩みを和らげる緩和ケアにも資すると期待されているのです。
 また、公明党の議員も参加する超党派の議員連盟が今国会での提出をめざす、がん対策基本法改正案では、企業側にがん患者の雇用継続に配慮するよう求める規定を盛り込む予定です。治療しながら社会で活躍できるよう、がん患者を支援していくべきです。