り災証明は生活再建の第一歩
 熊本地震では、住宅に大きな被害を受けた住民が、公的な支援を受けるために必要となる「り災証明書」の申請に、市区町村が開設した窓口に訪れています。
 生活再建の第一歩となる「り災証明」についてまとめました。
 今回最も甚大な被害を受けた益城町でも5月1日から、町内9カ所で罹災証明書の申請受付が始まりました。町内最大の避難所・町総合体育館に隣接する「交流情報センター ミナテラス」でも受け付けています。
 一方熊本市では、熊本地震発生翌日の4月15日から受け付けを続いています。中央区役所1階ロビーの一角には朝から罹災証明を申請する人たちが続々と訪れ、「最後尾」を示すプラカードが掲げられる中で順番を待っていす。
 申請に必要なのは写真と印鑑。まずは被害の状況を写真に撮っておくことが大切です。熊本市では、外観は全景と各方向、内部は特に被害がある場所を4〜5枚用意するよう案内しています。
 さて、実際の申請ですが、熊本市と他の市町村では申し込み方法に違いがあるようです。
 熊本市の案内を以下に引用します。
今回の熊本地震に伴うり災証明書の発行手続きを行います。
【窓口】各区役所福祉課及び総合出張所 受付時間 平日8:30〜17:15
※り災状況確認のため、後日郵送により発行させていただく場合があります。
※り災証明書に申請期限はありません。
【対象となる方】
「住家」(店舗兼住宅を含む)に被害を受けられた方(カーポート、倉庫、門扉等は対象外です。)
【手続き】
〜寛、大規模半壊、半壊
・印鑑(印鑑なくても対応可)を窓口にご持参ください。
・被害状況確認のため、各区税務課が家屋調査を実施します。
・家屋調査を実施した上で発行します。
※1 遠方への避難等で窓口にお越しいただけない方はお問い合わせください。
一部損壊
・被害状況が分かる写真又は修理見積書等及び印鑑(印鑑なくても対応可)を窓口にご持参ください。
・写真等の確認により発行が可能です。
 ここで問題なのは、「全壊、大規模半壊、半壊」と「一部損壊」を分けて申請を受け付けているところです。現場の窓口に確認しましたが「一部損壊なら写真だけで即日交付」されるそうです。
 り災証明書は、生活再建の第一歩と言いましたが、実は、「全壊、大規模半壊、半壊」と判定されるか、「一部損壊」と判定されるかで、その後支援策は大きく異なってしまいます。一部損壊では、ほとんど公的支援は受けられないと言っても過言ではありません。大変な事務量となることは考えられますが、「一部損壊」を入り口で、それも被災者の自己申告で分別してしまってよいのか大いに疑問です。
 後々、被災者からの認定見直しの訴えがでた際にどのように対応するのか心配です。
 南阿蘇村や益城町では、り災証明書は申請を全て受け付けて、現地調査をして判定します。火災保険や共済保険などの支払いに証明が必要な被災者は「被災証明」を即日発行します。このやり方が、茨城県などでも一般的で、被災された方にも結果的に親切です。
 熊本市の場合も、半壊以上の被害があるかもしれないことを想定して、「全壊、大規模半壊、半壊」との申請をされることを強くお勧めします。
 なお、写真の添付や詳しい記録が必要と説明してる自治体もあります。益城町のHPには「建物被害認定調査のトリセツ」という資料が掲載されていますが、ここまで詳細な資料がり災証明書の提出時に必要な訳ではありません。出来れば、被災した住家の外見(4方向)と内部の写真(使い捨てカメラ、デジカメ、スマホ、携帯どれでも大丈夫です)を撮って、申請書に添付してください。
 さらに、一部マスコミなどの報道により、「生活保護を受けている世帯は、義援金などをもらうと保護が打ち切られるので、り災証明書保申し込まない方が良い」といった誤解が生じているようです。生活保護を受けている世帯でも、自立更生計画を作成・提出することで、義援金などは収入から除外することが出来ます。安心して、り災証明の申請を行ってください。

行政から支援を受けるためには「り災証明書」が必要
 今後の生活再建のために重要な公的な支援を受けるために必要な書類が「り災証明書」です。こわれた住宅の応急修理、生活再建支援金などの申請には必ず必要となります。また、全国から寄せられる募金(義援金)の配分も「り災証明」によります。その他、大学や専門学校などの学費の減免、日本学生支援機構の緊急奨学金の申請にも使われます。
 り災証明の申請書は、該当の市役所、町役場で受け付けています。被災した住宅の住所、所有者名、連絡先などを記入します。
 申請の後、調査(第一次、第二次)が行われ、その結果が証明書として自宅に郵送されます。

市区町村の調査で「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」などと判定
 り災証明書とは、地方自治法第2条に定める自治事務として、市町村が地震や火災などの被災状況の現地調査等を行い、確認した事実に基づき発行する証明書です。各種の被災者支援制度の適用を受けるにあたって必要とされる家屋等の被害程度について証明するものです。
 り災証明書により証明される被害程度としては、全壊、大規模半壊、半壊、一部損壊、床上浸水、床下浸水、全焼、半焼等があり、「災害の被害認定基準について」(平成13年6月28日府政防第518号内閣府政策統括官通知)等に基づき被害程度の認定が、市町村によって行われます。
全壊住家がその居住のための基本的機能を喪失したもの。住家全部が倒壊、流失、埋没、焼失したもの、又は住家の損壊が甚だしく、補修により元通りに再使用することが困難なもので、具体的には、住家の損壊、焼失もしくは流失した部分の床面積がその住家の延床面積の70%以上に達した程度のもの、又は住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が50%以上に達した程度のものとする。
半壊住家がその居住のための基本的機能の一部を喪失したもの、すなわち、住家の損壊が甚だしいが、補修すれば元通りに再使用できる程度のもので、具体的には、損壊部分がその住家の延床面積の20%以上70%未満のもの、又は住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が20%以上50%未満のものとする。
大規模半壊「半壊」の基準のうち、損壊部分がその住家の延床面積の50%以上70%未満のもの、又は住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が40%以上50%未満のものとする。


住宅の再建に使える公的支援
 住宅の再建に使える公的支援は、「災害救助法の応急修理制度」「被災者生活再建支援法の支援金」「茨城県災害見舞金」「県や市、赤十字社に届けられた義援金(募金)」などです。
大規模自然災害の公的支援
 これらは、り災証明書に記載された「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」の判定にしたがって、支援を受けられる金額が決まります。また、被災した住宅を解体して新築するか、修繕して使うか、賃貸物件に転居するかによって支援の額が異なります。被災者生活再建支援金は、単身者の場合は4分の3になります。借家、マンション、アパートでも同様の扱いです。
 「災害救助法の応急修理制度」「被災者生活再建支援法の支援金」「茨城県災害見舞金」などは、被災した人が行政に申請をしなくてはいけません。
 特に、応急修理制度は、市が業者に委託して行いますので、修理をする前に市に相談・申請してください。
 外国人の方は、外国人登録証明書で申請が出来ます。いずれも申請は市役所・町役場の窓口です。住家以外は、これらの対象になりません。
 調査が終わると「り災証明書」が自宅に送られてきます。なお、り災証明書は複数発行してもらうことが出来ます。役所に提出する分、学校に提出する分、銀行に提出する分など多めに請求しておいても良いと思います。後日再発行も可能です。

り災証明書の申請時に住基台帳との地図での照合を
 熊本地震災害のような大規模災害になると、被災家屋の調査はり災証明の申請とは別に始まります。場所によっては地盤の崩壊等が発生しているために、みなし全壊といった判定が行われる場合もあります。一方、り災証明書の申請の際は現住所での申請が行われますが、その情報が住民基本台帳の情報と一致しない事例が数多く発生します。代理の方が申請する場合も多いのが現状です。
 家屋調査は住民基本台帳に基づいて行われますので、調査結果と申請の情報が一意しないという事例が、昨年の関東・東北豪雨被害の常総市などでは大きな問題となりました。その突合作業に1週間以上掛かりました。
 被災自治体は、り災証明書の受付時点で、住基台帳の地図と照合できるシステムを最低限整備すべきです。