石塚観光ボラバス<石巻市>025
 NPOなどがボランティアを被災地にバスで派遣する「ボランティアバス」で、公募した参加者から参加費を直接集めるのは実費だけでも旅行業法違反として、所管する観光庁が5月末、業者への委託など是正を求める通知を全都道府県に発出しました。
 ボランティアバスは東日本大震災以降、全国で広がり、NPO団体等が直接バスを運行することが、事実上“黙認”されてきましたが、一転して厳格化の方針が打ち出されたことになります。
 旅行業法では、主催者が報酬を得て運送や宿泊を行う場合、国や都道府県への事前登録を義務づけています。旅行業法の施行要領では、旅行者から金銭を受け取れば、「報酬」と認定されます。観光庁の5月25日付の通知によれば、「登録を受けていないNPOや社会福祉協議会が主催者となり、参加代金を収受してボランティアツァーを実施する事例が見受けられる」と参加費の徴収を問題視しています。主催団体に対し、旅行業者として都道府県や国から登録を受けている業者にツアー自体や参加費の徴収を委託するなどを指導するよう都道府県に求めています。  
 この通達の発端は、今年のゴールデンウィーク、熊本地震の被災地に向かうボランティアバスを巡り、各県や国に「旅行業法に抵触しているのではないか」との指摘が複数あったことといわれています。観光庁は「参加者を公募し、参加費を収受した時点で旅行業法に抵触する」とし、主催団体が利益を得ない場合も徴収は認められないと判断しています。
旧大川小学校の清掃作業 ボランティアバスを適法に運用するためには、社会福祉協議会やNPO、ボランティア団体がボラバスの運行を、旅行業者として登録された業者に委託することが必要です。その他の手法は、参加費を徴収しない、または広く参加者を募集せず顔見知りだけで実施することです。
 一部のNPO関係者からは「被災地のボランティア活動を続けるためにも何らかの支援策が必要だ」との声が出ています。観光バスを巡って軽井沢での重大事故が発生してい状況を見ると、たとえ被災地支援といっても、”暗黙の了解”を続けていくことはできないと思います。

 茨城県内では、東日本大震災の発生以来、県社協などと協力して旅行業の登録を持つ正規のバス事業者が数多くのボランティアバスを運行してきました。その草分けが石塚観光。井手よしひろ県議は、2011年5月5日、石塚観光と県社協共催の“宮城県災害ボランティアバス”に参加し、石巻市を訪れました。このボラバスは、日帰りで宮城県内の被災地を訪問し、被災地の復興の手伝いを行おうという企画です。日帰りで3000円(当時:往復バス料金と昼食代、県内参加者はボランティア保険付き。現在は大人4000円+ボランティア保険430円)という圧倒的な安さと、運営を行っている石塚観光、県社協と宮城県内災害ボランティアとのしっかりとした連携が人気を呼び、全国から希望者が殺到していました。

 6月16日、井手県議は石塚観光の綿引薫社長を本社に訪ね、現状を調査するとともに、意見交換を行いました。
 東日本大震災から5年が経過した現在も
、石塚観光のボラバスは継続されています。延べ2万5000人が参加し、700台以上のボラバスが運行されました。この間、バス料金は高騰し、実質の運航は赤字になっていると説明を受けています。旅行業者とバス事業者が一体的な運営ができているために継続できている好事例だと思います。
 現在、石塚観光のボラバスには、多くの中高生も参加するようになってきたとのことです。
 石巻の旧大川小学校などを訪れ、清掃ボランティアを行い、遺族会の方との交流もあるそうです。大川小学校で亡くなった子供たちと参加する高校生はほぼ同年代です。黙々と作業をする高校生たちの姿を想像すると、胸が熱くなります。
 写真は石塚観光の活動ブログより掲載させていただきました。
参考:東北復興ボランティアバス募集要項http://www.ishitsuka.co.jp/pdf/20160428180416.pdf

 大規模自然災害の復旧・復興は、ボランティアの力に負うところが、非常に大です。国や地方自治体(特に都道府県)は、ボラバスの健全の運行に資する財政的な支援を検討すべきです。社会福祉協議会、NPOなどが正規の旅行業者にボラバスの運行を委託でき、ボランティアの安全な活動を保証できる仕組みづくりを行うべきです。