北海道新幹線
 7月15日、井手よしひろ県議ら総務企画委員会の県外調査の最終日は、北海道渡島総合振興局を訪れ、地域の課題や北海道新幹線の開通後の状況などについて調査しました。
 函館を中心とする渡島地域は、人口減少が著しく、その人の流れも東京や仙台に向いているようです。こうした状況の中、北海道新幹線の開通に期待することは大きく、関東東北地域からの観光客の入り込みなどに期待をかけています。

 一方、北海道新幹線には多大な地元負担が伴っています。井手県議は、新幹線整備と地元負担について質問しました。
 北海道新幹線は、「整備新幹線」として整備が進められています。整備新幹線の建設費には、営業主体であるJR北海道から鉄道・運輸機構に支払われる貸付料が充当され、残りが国と地方の負担分になります。国と地方の負担分のうち、3分の2を国が負担し、残りの3分の1を地方が負担することになっています。地方は一括ではその負担金を払うことができませんので、地方負担額の90%は地方債の発行(借金)が認められています。そして、その地方債の半分(条件によっては最大70%)が地方交付税として、国からの支援が受けられます。そのため、地方の実質的な負担額は、全体工事費のおおよそ18%程度になります。
 なお、新青森・新函館北斗間のうち、青森県内の区間(新青森駅から69km地点まで)は青森県が負担することとなっています。
北海道新幹線
 北海道新幹線の工事費は、国土交通省の試算によると、新青森・新函館北斗間で約5,500億円、新函館北斗・札幌間で約1兆6,700億円、合計で約2兆2,200億円という莫大な費用がかかります。
 このうち、新函館北斗・札幌間の建設にかかる北海道全体の実質的な負担額は2,900億円程度と見込まれています。こうした直接的な負担が地元自治体には発生しています。

 また、新幹線が開通することによって、従来線はJR北海道から第3セクターの鉄道に移行されます。それに伴う、自治体の負担なども無視することはできず、新幹線が開通して単純にめでたし、めでたしとはならないようです。

 さらに、従来の新幹線とは北海道新幹線は色合いを事にしている麺があります。今回の函館までの開業ではビジネス需要よりも観光利用が大半で、まだまだ札幌の企業に大きな影響があるとは考えられません。観光産業は意外と裾野が広く、土産物などの需要が高まれば一定のプラスの効果を否定するわけではありませんが、企業誘致や産業の活性化にはどの程度繋がるのかという疑問が残ります。15年後2030年には札幌まで延伸されることになります。札幌〜函館などのビジネス需要は大きくなることが予想されます。しかし、そもそも航空機による人の移動が定着し、時間的にも費用的にもアドバンテージが小さい、新幹線に過大な期待を寄せることはいかがなものなのでしょうか。

北海道新幹線
 北海道新幹線の終着駅「新函館北斗駅」。この先、札幌までレールが繋がるのは15年後となります。

北海道新幹線
 新函館北斗駅周辺は、広大な区画整理事業が進んでいます。現在は、駅に隣接しているホテルの建設工事とレンターカーの店舗が数社営業している程度です。