マシk待ちの被害状況
 7月28日、井手よしひろ県議は、熊本県議会を訪れ、熊本県の担当者から震災復興の現状について聴き取り調査および意見交換を行いました。
 今回の主な調査項目は、1,仮設住宅の建設・入居状況(またみなし仮設住宅の指定状況)、2,避難所の設置・運営(特に福祉避難所の運用状況、トレーラーハウスを活用した福祉避難所の期間延長、ペットとの同行避難の現状)、3,国の災害救助法や被災者生活再建支援法の課題と見直しの要望、の3点です。
 また意見交換では、●宅地や地盤の崩壊対策(住宅宅地の滑動崩落対策)、●復興基金の造成とその活用について、などをテーマに行いました。
 熊本県では、震災からの復旧・復興、被災者の支援充実のために、国に対して災害救助法や被災者生活再建支援法に特別措置を盛り込むように要望を繰り返しています。この要望は、単に熊本県の事例だけの留まらず、他の地域でも課題となっており、国にはその実現を具体的に検討していただきたい内容です。
 特に被災者生活再建支援法の拡充は最重要なポイントです。熊本県では支援金の額を倍増させるよう申し入れています。また、宅地や土地の崩落に対しても100万円の支援を訴えています。また、災害救助法を時代にあ合わせて改善することも重要です。
 要望は、非常に広範囲、多数に上っているために、その重要と思われる項目を抜き出してみます。なお、すでに要望が実現している箇所も確認のため掲載しました。
熊本県庁で聞き取り調査を行う井手県議
  • 災害救助法の適用外の学用品の購入についての国庫補助制度の創設【要望実現】
    被災した生徒の学校再開後の不安を解消するためには、災害救助法の適用外の学用品等についても、支援を行う必要があります。
    しかし、現行制度では、国の支援メニューがなく、災害救助法の適用外の学用品等を被災者が購入することができず、実質授業が受けられない事態となることも想定されます。
    そのため、被災者が必要な学用品を購入することができるよう、学用品の購入についての国庫補助制度の創設を求めます。

  • 建設が進む仮設住宅(益城町テクノセンター付近)
  • 応急仮設住宅入居者に係るライフラインの被災状況等に応じた柔軟な取扱い 【要望実現】
    今回の地震により、南阿蘇村では大規模な土砂崩れ等により地域のライフラインが分断されるなど、長期にわたり自らの住居に居住できない地域があります。このような地域からの避難者は、応急仮設住宅を提供する必要がある者と同等とみなす必要があると考えられるため、災害救助法の対象者条件などの運用における柔軟な取扱いができるよう配慮を求めます。

  • 応急仮設住宅の建設費用の限度額の引上げ等
    応急仮設住宅については、建設費用の限度額が定められていますが、実際には建設資材及び職人等の人員の確保が難しいなどにより、建設に係るコストが増嵩し、建設費用が限度額を超えることが明らかです。そのため、建設に必要な額までの建築費用限度額の引上げとともに、補助率の嵩上げを求めます。【要望実現】
    (1)夏場における衛生管理及び食中毒の防止のため、生活必需品である家電(冷蔵庫、洗濯機等)を応急仮設住宅の建設費用対象とすること。
    (2)現行制度上、リース契約の場合は応急仮設住宅の解体撤去費用が災害救助費として認められるのと同様、購入した場合についても災害救助費の対象とすること。【要望実現】
    (3)応急仮設住宅に係る住宅建設資材等の円滑な調達を支援すること。【要望実現】

  • 被災者等に対する支援に係る財政措置等の拡充【要望実現】
    今回の地震により多くの方々が住居を失い、応急仮設住宅の整備とともに居住者の方々に安らぎを提供する場として集会所や談話室の整備は欠かせません。
    しかし、その整備費(設計費、工事費)については、内閣府告示により「災害救助法による救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償の基準」が示されていますが、居住者の方々の意見を反映させた結果、補助限度額を上回ることが考えられます。
    そのため、集会所、談話室の整備に係る財政措置の拡充及び支援制度の柔軟な対応を求めます。

  • 被災者生活再建支援制度の拡充等
    今回の地震により、住家被害全体で159,222棟(H28.7.19現在)に上っています。
    (1)半壊世帯は20,000 件を超え住家被害も深刻であることから、災害救助法における応急仮設住宅への入所要件が緩和され、半壊世帯にも適用されることとなりました。
    そこで、被災者生活再建支援法においても同様に、半壊世帯への柔軟な対応(50万円の基礎支援金の支給対象とする)を求めます。
    (2)現行の被災者生活再建支援制度では、半壊(一部)や一部損壊等が制度対象外となっているとともに、再建に対する支援金の額も少ない状況(最大300万円)です。
    そのため、家屋被害を受けた全ての者に対し、同制度が適用できるよう制度拡充を行うとともに、生活に最低必要な住居の建設費を生活再建支援金で全て充当できるよう支援金額の増額(最大30万円→600万円)を求めます。
    (3)住宅被害だけでなく、宅地にも甚大な被害が生じており(H28.6.15 現在の被災宅地危険度判定調査の結果では、2,700 件以上が「危険」判定)、迅速を要する被災者の住宅再建の大きな障害となっています。
    そのため、住宅の建築・購入等の場合の加算金支給とは別に、宅地の復旧に対しても加算金の支給(100万円)を求めます。
    (4)地域の実情に応じて、住民生活の安定やコミュニティの再生、地域経済の進行・雇用維持等に取り組むため、東日本大震災と同様、全額国庫による被災者生活再建支援制度に係る特例基金の創設を求めます。

  • 罹災証明に係る被害判定の弾力的運用
    今回の地震による住家被害は14万棟を超えていますが、余震活動が未だ活発であり、被害の状況が悪化する場合も想定されます。
    そのため、家屋等の罹災証明については、再判定も含めた判定事務の弾力的な運用が行えるよう、 適宜、通知を発出するなどの取組みをしていただいています。【要望実現】
    ただ、罹災証明を前提とする被災者生活再建支援の長期化や、同様の事態の発生を踏まえ、「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」の簡略化、国による罹災証明制度の統一化など、罹災証明の発行をはじめ被災者支援に関する一連の業務を迅速かつ的確に行うことができる仕組みづくりを求めます。

参考:平成28年熊本地震からの復旧・復興に係る特別の措置を求める要望(個別項目・PDF版)