イメージ 「住み慣れた自宅で逝きたい」。こう願っている人は、55歳以上の男女の半数に上るという内閣府の調査があります。しかし、自宅で最期を迎える「在宅死」の割合は、死亡者全体の約12%に過ぎず、しかも年々低下しているのが現実です。
 願望と現実に大きな差が生じている理由の一つは、自宅で医療を受ける在宅医療の体制が不十分なことにあります。  
 団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年には、在宅医療で療養する高齢者が現在よりも30万人以上増えると予想されています。超高齢化社会に続き多死社会が到来すると言われる中、医療機関だけでは高齢患者の受け入れに限界があるだけに、在宅医療の体制整備は喫緊の課題です。  
 このため厚生労働省は2016年6月、「全国在宅医療会議」を設置し、今後の普及策について議論を開始しました。来年3月にかけて重点分野ごとに詳細の議論が行われる予定です。
 論点の一つは、訪問診療医の増加です。訪問診療は一部の医師らが先駆的に取り組んできた段階にとどまり、効果的な手法や考え方が共有されていません。また、往診に積極的でない医師も多く、在宅医療の遅れが「在宅死」の少なさにも反映しています。自治体が地域の医師会などと幅広く連携できる体制の整備を急ぎ、先進事例の周知に努める必要があります。
 訪問看護サービスも在宅医療では重要な役割を担いますが、十分に普及している状況とは言えません。その背景には担い手不足があり、免許を持ちながらも結婚や出産を機に離職した潜在看護師の発掘や、看護師の処遇改善が不可欠です。
 在宅医療を利用する家族の心情への配慮も必要です。自宅で亡くなった場合に主治医の死亡確認がスムーズにいかないと、「異常死」として警察の検案(死因やその他の状況を判断すること)が必要になるケースもあります。
 超高齢化社会に伴って重みが増している在宅医療。その普及においては、自宅での「みとり」に対する家族の不安解消という視点も必要です。
参考:在宅医療の推進についてhttp://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html