茨城県のインターシップ説明会
 「将来は地元に戻って就職したいが、魅力的な企業があるのか不安だ」―。こうした声に応えようと、東京など大都市圏に進学した地方出身の大学生や卒業生に地元での就業体験を促す「地方創生インターンシップ」事業が動き始めました。
 政府は、東京など1都3県を除く各道府県や全国の大学に参加を呼び掛けており、関連情報を発信するポータルサイトの立ち上げを急いでいます。この事業は、「大都市圏から地方へ」という若者の流れを国が後押しするものであり、実効性の高い取り組みとなることが期待されます。
 「両親の近くで就職したい」「地元に愛着がある」「実家から通えば経済的に楽」といった理由から、出身地での就職を希望するケースは少なくありません。地方出身の学生の約半数が故郷での就職を考えているという調査もあります。
 反面、就職活動にかかる費用や時間を考えると、大都市圏の企業を優先し、地方の企業まで手が回らないのが実情です。また、大手求人サイトに情報を掲載するコストは地方企業にとって負担が大きく、都市部の企業に比べて発信力が弱いといわれています。
 現在も大学や自治体の中には独自にインターンシップ事業を実施しているところがありますが、全国的な普及には至っていません。
 このため今回の事業では、自治体や大学側に対し、学生が地方企業の魅力に触れられるような取り組みを国の制度として支援します。
 具体的には、1.産学官の連携により地域でインターンシップを推進する運営組織の整備、2.就業体験の単位認定を検討するなど学生が参加しやすい環境づくり、3.セミナーなどを通じた受け入れ企業へのアドバイス―などを進めていくことになります。
 出身地の企業の就業体験の機会を増やすことは、学生らの選択肢を広げることになります。人口減少に悩む自治体の関心も高まるに違いありません。

茨城県は平成25年からアイデア提案型インターンシップ事業スタート
 すでに茨城県では、県の北部地域に若者を受け入れ、地元の優れた特長ある企業を知ってもらいことを目的に、アイデア提案型インターンシップ事業をスタートとさせています。
 従来型のインターンシップは、数日間の短期間で、職場体験が目的です。一方、アイデア提案型インターンシップは、春休みや夏休みを利用した1カ月や半年〜1年間の長期間行い、企業や団体のプロジェクトに参加してもらいます。
 長期間インターンを行うことで、学生は社会人としてのスキルアップができ、企業や団体も学生の力を活用してプロジェクトが推進できます。
 茨城県の北部地域内の企業・団体に、大学生等が一定期間取り組むことで、経営の活性化や創意工夫を触発します。
 結果的に、卒業後UIJターンの学生を含め、地元企業への就職を誘導することが目的です。
(写真は、平成27年12月水戸市内で行われたで茨城県のインターンシップフェア。県内外から23名の学生が参加しました)