常磐線の看板特急E657
 茨城県の大動脈であるJR常磐線、水戸線、水郡線の乗降客数は、この10年間減り続けています。その要因は主に、一つに少子高継化や人口減少による移
動人口減少や宅配便やネット環境の充実により、そもそも移動する必要性が減ったことが考えられます。二つ目は、平成17年に開通したつくばエクスプレスの影響が考えられます。TXの乗降客は順調に伸び続けています。3つ目が、高速バスへの利用者流出です。高速バスは渋滞にまき込まれ、定時性が確保できないという欠点がありますが、安い利用料と便数が多くなり利便性が増していることもあり、毎年利用者数が伸びています。
 JR東日本も手をこまねいているわけではありません。平成27年春から導入された特急「ひたち」、「ときわ」は最新型車両(E657系)であり、全席指定、全席電源コンセット完備、WiFi導入などビジネスユースを重視した戦略を進めています。また、上野・東京ラインの開通により、優先列車(特急列車)の品川駅乗り入れも、利便性の拡大に大きく資しています。
 しかし、こうした対策を講じても、なお、利用者減には歯止めがかかりません。
 むしろ、特急列車の全席指定席化により、実質的な運賃値上げや、雨や風が吹くとすぐに遅れる常磐線と揶揄される輸送障害の多発がその背影にあります。
 今年は先のプログでも指摘したように、台風10号、11号などの影響によって運行ダイヤが大幅に乱れました。8月17日夕の停電の影響で常磐線22本が運休、36本に最大4時間4分の遅れがでました。また、17日夜から18日午前にかけての再停電では、常磐線は特急を含む上下96本が運休、34本に最大14時間39分の遅れが出ました。停車した列車内で一夜を明かした人も約3800人に上りました。 水戸線の運休や遅延と合わせ2日間で計約9万4千人の足が乱れたことになります。
 井手よしひろ県議は、県を通してJR東日本に対して、茨城県内のJRの事故輸送障害について、その情報を公開するように求めました。
 その結果、過去10年間の鉄道運転事故・踏切障害事故、輸送障害について、県内の常磐線水戸線、水郡線での発生件数が開示されました。それによると、30分以上の遅延および1本以上の運休が発生した件数は総数で524件でした。今年度は7月末日までに21件発生しています。その内、自然災害が原因のものは、総数118件、今年度は5件でした。7月末までに発生した件数としては、10年間の平均をやや上回わっているようです。(8月の数字は含まれていません)
 ちなみに同時期のTXの輸送障害の数は総数20件。今年度2件にとどまっています。両差が信頼感の差につながっています。
 もう一つのJRの課題は、障害が発生した場合の危機管理・危機対応のあり方です。特に情報の伝達、車内にとじ込められる乗客への対応などに問題があります。台風の被害が事前に予想される場合は、いわゆるタイムラインを地元自治体との連係により積極的に活用し、運転中止などを早目に決断し告知する必要もあります。
 駅と駅の間に停車せざるを得ない場合は、速やかに乗客を降ろす体制を構築するべきです。
 今回の一連の列車遅延では、乗客に配布した食糧に一部に賞味期限切れのものが粉ぎれていたことが明らかになっています。
 JRは危機管理能力を一層高め、信頼回腹に努めるべきです。
 輸送障害を減少させるためには、踏切の立体化や安全施設の充実などが不可欠です。橋梁部の風の影響を減少させる改修や倒木などを防ぐために、線路両側の安全確保に努めなくてはなりません。
 いずれにせよ、安全への投資を惜しんではならないと主張します。