大規模津波防災訓練
 11月5日は「世界津波の日」。石井啓一国土交通大臣出席の下、高知県の高知新港で平成28年度大規模津波防災総合訓練が行われました。今回の訓練は、土佐湾を震源とするマグニチュード9.1の巨大地震が発生し、大津波警報が出されたという想定で行われ、高知県や国土交通省の職員それに地域の住民などおよそ3000人が参加しました。このうち高知新港では津波によって海に流された人を救助する訓練が行われ、自衛隊や海上保安庁のヘリコプターが捜索で人を見つけると、つり上げて船まで搬送する手順を確認していました。また、地震による亀裂などで道路が通れなくなったことを想定した訓練では、国土交通省や自衛隊が立ち往生した車両をレッカー車で移動させたり、土のうを積んで道路の段差を解消させたりして緊急車両が通行できるようにしていました。
 石井国交大臣は「このような実践的な訓練を日常的に行って、地震や津波に備えていきたい」と話しました。
“稲むらの火”の逸話に由来して制定された「世界津波の日」
 「全てを一瞬で奪われてしまった……」。東日本大震災の津波被災者が悲しみに立ち尽くす姿は今もって忘れることはできません。人や街を容赦なくのみ込んでいく津波。歴史上、その脅威を幾度となく経験してきた日本こそ、津波被害を少しでも食い止める取り組みの先頭に立たなければなりません。
 「世界津波の日」は、安政南海地震(1854年11月5日)で津波が発生した際、稲束の火を目印に住民が避難した“稲むらの火”の逸話に由来します。昨年12月に日本を含む142カ国が制定決議案を共同提案し、共通記念日に採択されました。
 日本は、昨年3月の国連防災世界会議で制定を訴えて以来、政府関係者や国会議員が各国大使館などに実現を働き掛け、安倍晋三首相も外遊時に各国首脳から支持を取り付けていました。
 この日に前後して、日本各地をはじめ米国やインドネシアなどで啓発イベントや避難訓練が行われます。単なる記念日に終わらせない取り組みは重要であり、とりわけ胸に刻むべきは東日本大震災で学んだ「一刻も早く避難する」との教訓に他なりません。1分1秒の差が生死を分けるからです。
 今月25、26日には、高知県で30カ国の高校生が一堂に会する「高校生サミット」が開かれ、地震や津波の脅威に備えるべき視点などをテーマに議論が交わされます。若い世代への防災教育の活発化は、教訓伝承の面でも意義深いものがあります。
 記念日制定の国連決議では、津波被害の回避に向けて地球規模の警戒システムの必要性が指摘されました。防災戦略を議論する「世界防災フォーラム」が仙台市で来年開催されることになっており、国際的な津波対策の進展に向けた議論を加速させるべきです。
 防災に貢献する人材育成も一段と進めなければなりません。政府は昨年から、地震や津波の被害が多い南米チリと共同で防災専門家の育成に着手しました。津波に限らず近年の自然災害は、想定外の規模で発生することが多くなっています。日本の知見や経験を生かしながら、国際的な連携をさらにリードしていくべきです。

稲むらの火