子どもの貧困率
 平均的な所得の半分を下回る世帯で生活する18歳未満の子どもの割合を示す「子どもの相対的貧困率」が調査開始以来、初めて減少に転じました。
 総務省が2016年10月末に公表した2014年「全国消費実態調査」によると、「子どもの相対的貧困率」は5年前の前回より2ポイント減の7.9%に改善しました。1999年に貧困率に関する統計を取り始めて以来、初の減少となり、数値も最低を記録しました。
 子どもの相対的貧困率の低下について安倍晋三首相は、自公政権の経済政策で雇用が大きく増加するなど「経済が好転する中で、子育て世帯の収入が増加したことによるもの」と分析。公明党の山口那津男代表も「経済政策が着実に成果を表しつつある状況が証明できた」と評価しています。
 事実、9月の有効求人倍率は25年ぶりの高水準となったほか、最低賃金も10月までの4年間で74円上昇。女性の社会進出も進み、就業者、正規雇用者ともに4年前(7〜9月期)と比べて増えています。
 一方、子どもの貧困対策も充実しつつあります。公明党の主導で2013年に成立した「子どもの貧困対策推進法」に基づき、政府は教育、生活、経済支援などを進める「子供の貧困対策に関する大綱」を14年に決定。ひとり親家庭の就業支援など具体的な対策が進んでいます。
 さらに公明党の力強い推進で、低所得のひとり親家庭を支援する児童扶養手当が今年8月分から拡充され、複数の子どもがいる世帯への手当加算額が倍増しました。今回の2014年調査には反映されていないものの、「今後の子どもの相対的貧困率低下に寄与する」(総務省統計局消費統計課)とみられています。
 「貧困の連鎖を断ち切る教育支援」を掲げ、給付型奨学金の創設など教育費負担の軽減もリードしてきた公明党は、これからも子どもの貧困対策を着実に進めてまいります。

改善を評価、包括支援さらに自治体は未来応援交付金の活用を
湯浅誠法政大学教授の話し(公明新聞2016/11/22付けより引用)
――今回の調査結果をどう受け止めるか。
 子どもの貧困が深刻な問題となる中、5年間で子どもの相対的貧困率が2ポイントも改善したことは大変に喜ばしい。
 詳しい分析が必要だが、最低賃金の大幅な上昇に加え、リーマン・ショックや東日本大震災からの立ち直りによる雇用状況の改善、人口減少による人手不足などが寄与した可能性がある。
 来年発表される国民生活基礎調査の結果にも、併せて注目したい。
――ひとり親世帯の相対的貧困率も大きく改善した。
 最低賃金の上昇に加え、母子家庭では政府が進める女性の活躍推進が所得を押し上げたと見ている。ただ、子育てと仕事の両立で悩み、低収入で不安定な非正規の仕事を掛け持ちするひとり親が依然として多いのも実情だ。
――国や地方の取り組みをどう評価するか。
 政府は「子どもの貧困対策推進法」に基づき、厳しい財政状況の下、できる限りの対策を進めていると思う。例えば「子供の未来応援国民運動」を立ち上げ、企業を巻き込んで寄付を集め、民間団体を支援する回路を設けた。さらに「地域子供の未来応援交付金」を創設し、自治体の取り組みを支える枠組みもつくった。
 一方、自治体にはさらなる奮起を求めたい。未来応援交付金は現時点で64自治体に交付されているが、まだまだ申請が少ない。交付金には貧困に関する実態調査を後押しするメニューもある。自治体が効果的な施策を進めるために、ぜひ活用を広げてほしい。
――問題解消への視点は。
 対策には二通りのアプローチがある。一つは困っている家庭へのピンポイントの支援、もう一つは子どもたち全体を社会で支える視点だ。ピンポイント型だけでは差別の助長にもつながりかねず、限界もある。地域の声掛けや居場所づくりなど、広く支え合う共生社会の構築という包括的なアプローチも併せて行うべきだ。
 国はひとり親家庭の支援へ、親への教育・職業訓練を後押ししているが、こうした情報を貧困家庭にくまなく届ける工夫も求められる。その意味で、行政と子ども食堂などを提供する民間を“橋渡し”する存在も必要だろう。
――公明党への期待は。
 連立政権の中で、子どもの貧困対策など社会的弱者への支援を重視してきたのが公明党だ。教育を受ける機会の減少による「貧困の連鎖」を断ち切る観点からも、公明党が創設を主導してきた給付型奨学金を早期に実現し充実させてほしい。
 さらに、公明党の国・地方議員のネットワークを生かして各地方議会で未来応援交付金の活用を促すなど、貧困に悩む子どもや親を地域全体で支える社会実現を後押ししてもらいたい。