益城町の被災現場
 10月24日付のブログ「『二重ローン』問題にかかわるガイドライン:共済組合からの借り入れがあると適用されず」http://blog.hitachi-net.jp/archives/51640918.htmlで指摘した、公務員が加入する共済組合から借り入れに対して、債権整理のガイドラインが適用されない問題が、公明党の国会議員との連携で解決しました。
 政府は、熊本地震の被災者に適用していた「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に基づくローンの減免措置について、公務員などが加盟する共済組合から借り入れがある被災者も適用するよう、12月9日までに関係する共済組合などへ通知を出しました。
 債務整理のガイドラインは、東日本大震災の被災者を対象とした「個人版私的整理ガイドライン」の減免措置を踏まえ、他の自然災害時にも同様の措置を取るため、今年4月から適用を開始したものです。対象は、災害救助法が適用された災害で被害に遭い、住宅や事業などのローンが払えなくなった被災者。関東・東北豪雨や熊本地震の被災者も適用されています。
 しかし、共済組合員への適用については、国家公務員共済組合法や地方公務員等共済組合法で債権放棄の制限規定があることから認められていませんでした。東日本大震災では、制限の例外規定に該当するとして減免措置の適用を認めたことから、同様の措置が求められていました。
 井手よしひろ県議は、熊本地震の被災者支援に携わる中、ローン返済中の自宅が被害に遭い、返済に窮する公務員の伺いました。今年7月の参院選で初当選し、公明党茨城県本部の顧問に就任した宮崎勝参院議員と連携して、共済組合もガイドラインによる減免措置を認めるよう、政府に速やかな対応を求めました。
 宮崎参議院議員は、11月10日の参議院総務委員会で、東日本大震災の時と同様に、共済組合から借り入れがある被災者にも適用すべきだと主張し、政府側は「早急に検討していく」と回答していました。
 「地方公務員等共済組合法施行規程15条」には、「共催組合の債権は放棄することができない」とうたわれています。今回の通達では、ガイドラインによる債務整理が、その後段の「その他やむを得ない理由がある場合に」との条文に該当すると、明確に定めました。
地方公務員等共済組合法施行規程
(債権の放棄等の制限)
第15条  組合の債権は、その全部若しくは一部を放棄し、又はその効力を変更することができない。ただし、債権を行使するため必要とする費用がその債権の額をこえるとき、債権の効力の変更が明らかに組合に有利であるとき、その他やむを得ない理由がある場合において主務大臣の承認を受けたときは、この限りではない。
参考:「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインについて」総務省通達2016年12月8日付け
http://www.jsdi.or.jp/~y_ide/161208soumu.pdf