茨城県の大規模災害
 井手よしひろ県議が委員を務めた「茨城県議会大規模災害対策調査特別委員会」(細谷典幸委員長)の最終報告が、12月20日県議会本会議で報告されました。
 近年、地球規模での異常気象が頻発し、県民生活を取り巻く環境は大きく変容しています。茨城県でも、昨年9月の関東・東北豪雨災害をはじめ、台風や竜巻、ゲリラ豪雨、大雪などにより、甚大な被害を受けています。また、地震に関しても、今年度、熊本県や鳥取県などで大規模な地震が発生しており、今後、首都直下地震や南海トラフ沿いの巨大地震、さらには茨城県沖地震などが予見されています。また、それらに伴う津波の発生などの可能性もあります。
 一方、新潟県糸魚川市の大火の象徴される火災や爆発などの人為的災害についても、社会・産業の高度化、複雑化、多様化に伴い、ひとたび発生すれば、その被害は従前にも増して深刻なものになるといった懸念があります。
 このように、大規模災害発生の蓋然性が高まる状況下において、これら災害から県民の生命と財産を守るための災害対策の強化は、急務となっています。
 このような中、茨城県議会では、大規模災害発生時の被害を最小限に食い止め、県民の安全・安心を確保するため、「大規模災害対策のあり方」などについて調査・検討することを目的とし、今年(2016年)3月の第1回定例会において「大規模災害対策調査特別委員会」を設置しました。
 5月の第1回委員会で調査方針を決定して以降、計8回の委員会を開催し、現地調査や参考人からの意見聴取を行うほか、「災害対策の充実・強化」についての国への意見書の発議を決定するなどの活動を行いました。
「災害対策のあり方」について
 災害対策を考える上で、何よりも大事なのは「命を守る」ことであり、災害発生時には、県民が「逃げる」という共通認識を持ち、「自助」のための行動、避難準備や安全な場所への避難などを速やかに実行していくことが重要です。
 このことを踏まえ、「県民の生命と財産を守る」ための第一歩として、危機意識を平常時から県民すべてが共有できるよう、意識啓発を積極的に取り組み、災害に対する危機意識を共有できる環境づくりを優先的に進めていく必要があるとしました。
 さらに、災害対策では、「災害に対する危機意識の共有」を前提とした上で、「災害による被害を予め防ぐ対策」あるいは、「災害時の被害を最小限に留める対策」をそれぞれ進めていくことが重要です。
 そこで、この両方の視点に立った災害・防災対策のあり方について、8つの項目を提言しました。
  1. 「防災体制等」
    ・災害対策本部における職務遂行に配慮した役割の分化、・専門的知識や技術等をもつ職員の配置、・専門的な研修の受講推進などの人材育成のための取組、などの対策が必要です。
  2. 「情報収集・伝達、広報等」
    ・避難勧告等の発令基準策定等の支援、・収集する災害情報をフィルタリングできる体制の構築、・十分に情報発信ができない市町村への適切な支援、などの対策が必要です。
  3. 「被災者・被災地等の支援」
    ・被災者等の支援ニーズの的確な把握、・要配慮者に対応した避難所の設置、・自発的・自律的なボランティア活動のための受入体制等の充実・支援物資の円滑な供給体制の構築、・支援制度の創設・拡充等についての国への働きかけ、などの取組が必要です。
  4. 「治安維持・救助等」
    ・地域や自治体等と連携した、災害に乗じた犯罪への対応、・燃料供給拠点などの環境整備を含めた災害対応ヘリコプターの整備・充実、などの対策が必要です。
  5. 「医療救護、健康・衛生管理等」
    ・医療・救護コーディネート機能の更なる充実、・「DMAT」などの医療・リハビリ支援チームを速やかに受入れ等ができる体制の整備、・保健師等による中長期的な視点を踏まえた健康管理やこころのケア、などの対策が必要です。
  6. 「インフラ対策」
    ・災害時の拠点となる公共施設等の耐震化の推進、・さまざまな災害に備えた公共土木施設等の施設整備の推進、・災害時における速やかな代替交通手段の確保、さらには通信機能の確保、などの対策が必要です。
  7. 「地域防災力の向上」
    ・防災知識等の定期的な普及啓発、・地域のリーダーとして活躍できる人材育成への支援、・学校における、年齢や発達段階に応じた防災教育や地域と連携した防災訓練の実施、・自主防災組織や消防団の組織強化に向けた支援、などの対策です。
  8. 「市町村等関係機関との連携等」
    ・地域防災計画の見直しやリーダー的人材の育成など、市町村への適切な指導・助言、・県内における相互応援体制や国、他の都道府県との連携・協働を想定した支援体制の構築などが必要です。

「県議会としての大規模災害への取組」
 委員会では、議会としての災害対策についても併せて議論が交わされました。
 大規模災害発生時には、県議会においても、災害対応のための組織を招集又は設置し、災害時の議会活動等の調整や県災害対策本部との情報交換などを行っていく必要があり、提言の最後に、このような「県議会としての取組」についての意見を集約しました。大規模災害発生時には、県議会にも議長、副議長、会派代表、災害発生地域の議員などを中心に災害対策本部を設置することを提案しました。

「国に対する意見・要望」を取りまとめ
 また、災害対策特別委員会では、国に対して「災害対策の充実・強化を求める意見書」を、井手県議らの提案によって取りまとめ発議しました。
1.社会資本整備に係る予算措置
 災害に強い地域づくりに資する社会資本(道路、河川、水道等)の整備推進を図るとともに、地方においても計画的に防災対策に取り組めるよう、十分な公共事業予算を確保すること。特に、庁舎や学校施設を始めとする防災拠点となる公共施設等の耐震改修や建て替え等の施設整備に対しては積極的な財政支援措置を講ずること。
2.被災者・被災地支援の充実・強化
 被災者・被災地の支援に当たっては、既存の支援制度の充実・強化を図るとともに、新たな補助制度を創設するなど被災者・被災地の実情に即した十分な支援措置を講ずること。特に、以下の点については、 これまでの大規模災害対応における課題等を踏まえ、十分な措置を講じること。
(1)災害救助法関係:災害救助法に基づく住宅の応急修理について、住宅の応急修理の対象範囲を拡大するとともに、半壊世帯に係る資力要件を撤廃すること。また、被災者が自ら応急修理を発注して支払いを行った場合でも、支援の対象とできるようにすること。さらに、住宅の応急修理については、現物給付の原則を見直し、現金給付の導入を検討すること。
(2)被災者生活再建支援法関係:被災者生活再建支援制度について、以下の見直し等を実施するとともに、これらの財源を確保するため、被災者生活再建支援基金への国庫補助の拡充を図ること。一部地域が支援法の適用対象となるような自然災害が発生した場合には、全ての被災区域が支援の対象となるよう見直すこと。支援金の支給対象となる被災世帯を半壊世帯まで拡大すること。支援金の支給限度額を引き上げること。
(3)国の財政支援に係る見直し:国の財政支援について、大規模災害への迅速な対応を図るため、地方自治体の事務手続きの簡素化、資金使途や期間制限等の撤廃及び包括的な財政支援制度の設立など、必要な見直しを行うこと。
3.地域防災力強化のための財政措置
 地方が行う防災知識の普及・啓発やハザードマップの作成、地域防災の担い手となる自主防災組織や消防団等の活動の活性化に向けた様々な取組等に対し、十分な財政措置を講ずること。