広島県庁でヒアリングする井手よしひろ義弘県議
 2月6日、井手よしひろ県議は広島県庁に動物愛護の担当者を訪ね、特に犬猫の殺処分減少への取り組みについて聞き取り調査を行いました。広島県では健康福祉局食品生活衛生課乳肉水産グループが動物愛護を所管しています。
 人口規模では、広島県と茨城県とはほぼ同じですが、広島県は政令指定都市である広島市と中核市である呉市、福山市が動物愛護の担当部署をもっていますので、よりきめ細やかな対応が可能といえます。(茨城県は、中核市以上の市町村がないために、県が県内すべて市町村の動物愛護を担当しています)

 広島県は、平成23年に犬猫の殺処分頭数が8340頭と都道府県でワーストとなったために、県をあげての殺処分減少を目指した取り組みが加速しました。平成27度からは定時定点引き取りを廃止したり、市町村の啓発運動に県が補助金を出したりする政策を実施しました。
 平成27年の収容頭数は5125頭、殺処分1924頭、譲渡返還頭数が3210頭でした。
 こうした状況の中で、平成28年3月、広島県神石高原町に本部があるNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」(PWJ)が、広島県内で殺処分対象となった犬を全頭引き取ると発表しました。PWJは、平成26年9月の動物愛護週間に「1000日(今年6月15日)以内に、広島県内の犬の殺処分をゼロにする」という目標を掲げて「ピースワンコ・ジャパン」の活動を開始しました。広島県神石高原町とも連携して、犬舎の建設などの資金の募金活動を、「ふるさと納税制度」を使って展開。これまでにこの時点で1万人以上から4億円近くの寄付が寄せられました。
 PWJは、平成28年12月末現在、広島県内で収容された1045頭中650頭を保護しました。(395頭を県や市町村、その他の愛護団体が譲渡し、このままでは殺処分となる可能性があった650頭をPWJが引き取りました)

 さらに、昨年8月には、NPO法人「犬猫みなしご救援隊」が、広島県動物愛護センターに保護された殺処分対象の猫を、全て引き取ると発表しました。
 救援隊はこれまでも広島市動物管理センターや呉市動物愛護センターに収容された殺処分対象の猫を引き取り、不妊手術をして飼ってきました。昨年8月からは県動物愛護センターも対象とし、県内全域の持ち込まれた野良猫や飼われなくなった猫を引き受けています。
他に東日本大震災や熊本地震の被災地からも引き取り、救援隊には現在、約千匹以上の猫が飼われています。
 平成28年12月末で、608頭の猫が収容され、その内413頭が救援隊に引き取られました。救援隊は飼育数の増加に対応できるよう、既存の施設を改修する計画で、費用は全国の支援者からの寄付などで賄っています。

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 犬猫の殺処分をなくすためには、逃走したり、棄てられたり、飼い主が飼うことが出来なくなった犬猫を減らすこと=入り口対策。動物愛護センターに収容された犬猫を一般の市民に譲渡したり、終生飼養できる施設を設けたりする取り組み=出口対策。の両面が必要です。
 広島県では、犬猫各々に強力な出口対策を進める民間団体が名乗りを上げたわけです。結果的に、平成29年以降は、殺処分はなくなるとみられます。今後、飼い主の一層の啓発事業や犬猫の販売業者への指導、地域猫などの入り口対策への取り組みが望まれます。
 全国のモデルケースを、是非構築してもらいたいと思います。