自動運転車のイメージ
新車に義務付けめざす 、高齢運転者の事故防止に急務
 高齢ドライバーが関係した交通事故が相次ぐ中、自動ブレーキなどを搭載した安全運転サポート車の普及をめざす政府の取り組みが加速しています。
 先月、国連の作業部会で乗用車や小型貨物の自動ブレーキに関する国際基準づくりを日本政府が提唱し、今秋から議論が始まることが決まりました。
 国土交通省は国際基準ができ次第、法令を改正し、全新型車への搭載義務付けをめざす方針です。
 自動ブレーキは、既に各国で普及に向けた動きが進んでいます。アメリカでは、運輸省と自動車メーカー20社が2022年末までに標準装備とすることで合意しています。
 日本でも2015年の新車乗用車のうち、約45%が自動ブレーキを搭載。自動車メーカーの発表では、自動ブレーキの搭載で6〜7割程度の事故を減らせるという報告もあります。
 しかし、車種や製造時期によって性能にバラツキがあることが課題で、安全性や信頼性向上のために、統一的な基準を求める声が強くなっています。
 また、国際基準づくりに日本が関わることで、国内メーカーによる自動ブレーキ搭載車の海外展開にプラスになるとも期待されています。
普及策として大胆な補助金制度導入を公明党が提唱
 一方、ブレーキとアクセルの踏み間違いなど操作ミスによる交通事故の防止策も国民のニーズ(需要)が強くなっています。警察庁が15年の交通事故を分析したところ、75歳以上の高齢運転者による交通死亡事故の原因は、「操作の誤り」が最多の29%を占めています。
 こうした状況を踏まえ、政府は、高木陽介経済産業副大臣(公明党)らを共同座長として、安全運転サポート車の普及啓発に向けた関係省庁の副大臣らによる会議を1月25日にスタートさせました。自動ブレーキや操作ミス対策などをテーマに議論を進め、3月に中間取りまとめを示すことになっています。
 近年では、免許の自主返納を検討する高齢者も少なくありませんが、地方を中心に「体の衰えは感じるが、生活の足として欠かせない」との葛藤の声も聞かれます。安全運転サポート車の普及は、交通事故を減らすだけでなく、こうした高齢者の不安を和らげる効果もあります。
 公明党は、安全運転サポート車の普及を強く訴えてきました。1月24日の衆院本会議代表質問では、井上義久幹事長が推進を訴え、1月26日の衆院予算委員会では赤羽一嘉氏が、ETC普及時に講じた大胆な補助金のような施策で、自動ブレーキの普及を政府が後押しするよう求めています。
参考:自動車の先進安全技術の現状
http://www.mlit.go.jp/common/001169943.pdf