空き家のイメージ
住宅セーフティネット法改正案を国会提出
 国土交通省は、民間の空き家を高齢者や子育て世帯向けなどに賃貸住宅として活用できる、新らたな制度を創設するために、「住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進法改正案」(住宅セーフティネット法改正案)を、今国会に提出します。
 この制度は、空き家の持ち主が高齢者ら「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない物件として、都道府県などに登録(登録物件)します。高齢者や子育て世帯などに情報を提供し、円滑な入居を促す仕組みです。提供される物件は「専用住宅」と位置づけ、改修費や家賃、入居時の保証料などを補助することになります。
 国会での改正案成立後、新制度を秋ごろから実際にスタートさせたいとしています。
 登録住宅の入居対象は、高齢者や子育て世帯、低所得者、障がい者、被災者などを想定しています。空き家や空き室の持ち主は、都道府県や政令市、中核市に物件の広さや築年数といった情報を登録します。
 登録住宅や専用住宅の耐震改修やバリアフリー化工事に対して、国と地方自治体で最大200万円を補助します。
 改修費補助を受けた登録住宅が専用住宅となります。専用住宅は、入居者にも一定の要件が設けられます。
 公営住宅法に準じて、月収で原則38万7000円以下の世帯が対象となります。入居者への家賃と保証料補助は、特に収入が低い世帯が専用住宅に入居する場合に適用されます。具体的には、月収が15万8000円以下の世帯を対象として、家賃は4万円まで、保証金は6万円まで、国と自治体が半額づけ負担し補助します。
高齢者や生活保護世帯の入居を支援
 また、改正案には登録制度の創設と共に、要配慮者の入居を円滑に進めるために、支援強化策も盛り込まれました。都道府県などが入居、想談や援助に当たる「居住支援法人」として社会福祉法人やNPOを指定することが出来るようにします。居住支援法人は国が設ける家賃債務保証業者の登録制度を活用し、要援護者に適正な情報を提供することになります。
 さらに、生活保護、受給者の住宅扶助費の代理納付も推進します。改正案には、登録住宅に入居した生活保護受給者に家賃滞納などがあった場合、住宅の持ち主から連絡を受けた自治体の福祉事務所などの生活保護の実施機関は速やかに状況を確認しなければならないとする規定を設けました。自治体が生活の実態を把握した上で、代理納付が必要な受給者を速やかに判断できるようにしました。
 この法律改正により、空き家の新らたな活用が促進されることが期待されます。
 反面、事業主体が都道府県であるために、例えば茨城県がどれだけきめ細やかな運営体制を構築できるかが最大の課題となります。