IBSラジオ広報
 3月26日地元ラジオ局・茨城放送で、茨城県議会ラジオ広報・会派代表座談会「平成29年度の茨城県政を展望して」が放送されました。
 この番組は、公明党をはじめいばらき自民党、自民県政クラブ、民進党、日本共産党の県議会各会派の代表と県総務部長の菊地健太郎氏が出演し、(1)今年度を振り返っての感想、(2)第1回定例会に臨んだ基本姿勢、(3)平成29年度予算・主要事業に対する所見、(4)行財政改革への取組を踏まえた今後の抱負の4点について、語る内容です。
 公明党からは、井手よしひろ県議が出演しました。時間が限られていたために、十分に発言の趣旨が伝わらなかったかもしれません。番組での発言内容とは異なりますが、放送のために書いた原稿を掲載します。
(1)平成28年度を振り返っての感想
 平成28年度は防災・減災対策と県北地域の活性化について大きな節目の年となりました。
 近年、地球規模での異常気象が頻発し、県民生活を取り巻く環境は大きく変化しています。茨城県は、6年前の東日本大震災、一昨年9月の関東・東北豪雨災害をはじめ、台風や竜巻、ゲリラ豪雨、大雪などにより、甚大な被害を受けています。
 また、地震に関しても、今年度、熊本県や鳥取県などで大規模な地震が発生しており、今後、首都直下地震や南海トラフ沿いの巨大地震、さらには茨城県沖地震などが予想されています。
 このように、大規模災害発生の蓋然性が高まる状況下において、これら災害から県民の生命と財産を守るための災害対策の強化は、急務です。
 県議会では大規模対策調査特別委員会を立ち上げて、災害情報の伝達や災害対策本部の充実など、現実に即した具体的な提案を行いました。
 私個人も、熊本地震の被災地を2度訪れ、水戸市内のコミュニティFM局が、熊本県益城町に災害FM局を立ち上げる支援を行ったり、永年の課題であったトレーラーハウスを活用した福祉避難所の開設などをお手伝いしました。
 災害は必ず起こるものと心に定めて、万全の準備・対策を行う必要があると思います。

 県北振興に関しては、昨年9月から11月までの65日間、茨城県北芸術際が、県北の6市町で初めて開催されました。当初30万人の来場目標でスタートした県北芸術際ですが、77万6000人という多くのお客様にご来場いただきました。来場客数では、瀬戸内国際芸術祭に次いで、全国第2位の規模の地域芸術際となりました。
 県北芸術際の何よりの効果は、茨城県に住む私たち自身が、地域の素晴らしさを再確認できたということです。是非、この芸術際を継続して開催し、地域の文化や賑わいの創出を行って欲しい、との多くの県民の声を伺っています。
 私ども公明党は、6市町の市長さん、町長さんともしっかりと連携を取って、県北芸術際のトリエンナーレ形式(3年に一度開催する)での継続開催を強く、知事に求めていました。
 今回の県議会代表質問では、継続して開催する方向で早期に結論を出すとの答弁を知事からいただきましたので、県北芸術際の成果を次につなげる取組を来年度も進めていきたいと思っています。

(2)第1回定例会に臨んだ基本姿勢
 私ども公明党は昨年12月に、橋本知事に対して、185項目にわたる、平成29年度予算編成にかかわる要望書を提出しました。また、公明党は県民に一番身近な場所で活動する県議会議員として、様々な要望やご意見を伺っています。こうした、現場の声を県政に実現するために本会議での代表質問、一般質問、常任委員会や特別委員会での質問を展開しました。

 今回の定例議会の中で特に強調したのは、SDGsへの対応と東海第2原発の再稼働・運転延長問題、さらにカシマサッカースタジアムへのオリンピック誘致の3点です。
 SDGsとは、国連がさだめた2030年までに達成を目指す持続可能な開発目標のことです。SDGsでは、貧困をなくそう、飢餓をゼロに、すべての人に健康と福祉をなど具体的な17の目標が挙げられています。日本などの先進国も途上国も、同じ目標を共有して取り組むことが求められています。
 公明党は、このSDGsを茨城県議会で初めて取り上げ、代表質問では、県の様々な計画や戦略の中で活かすことや子どもの貧困対策などを訴えました。また、一般質問では田村けい子議員が、地球環境保全や生物多様性、教育の立場から県の対応を質しました。

 来年11月で40年の運転期限が切れる東海第2原発の問題では、周辺に96万人の住民が居住していること、その避難体制が整っていないこと、原子力安全協定をめぐる議論の結論が出ないことなどを指摘しました。現状での再稼働や20年の運転延長は出来ないとして、廃炉を主張しました。また、その結論を広く県民に問うために、原子力安全協定は県と東海村以外にも水戸市や日立市、ひたちなか市、那珂市など周辺自治体も加えるべきと訴えました。また、県民の声を聴くために県民世論調査の項目に再稼働や運転延長の是非を加えるべきと提案しました。

 3点目のカシマサッカースタジアムへのオリンピック誘致については、今年夏までには正式に開催が決定されるのではないかという、非常に前向きな答弁を知事より引き出しました。県民の熱き思いで、オリンピックの公式戦を茨城で、鹿島で開催していきたいと思います。

(3)平成29年度予算・主要事業に対する所見
 平成29年度予算は、少子化対策や県北振興、動物愛護などに、私ども公明党の要望を反映した予算となっています。
 例えば少子化対策です。不妊治療について、現状は1回目は30万円の補助が出るのですが、2回目からは15万円になってしまっています。かなり個人の負担が重いということが言われておりますので、県としても5万円の上乗せをして不妊治療対策に取り組んでいくことになりました。
 また、第3子の保育料の無償化に加えて、新たに第2子の保育料が半減となる対象世帯を拡充してすることになりました。
 さらに、保育体制強化の取り組み、特に認定こども園などで、保育支援者の配置支援などにも取り組むようになります。
 また、教育の分野におきましては、少人数教育を、今、小学1年生から中学1年生までやっておりますが、これを、中学2年生まで拡大します。
 さらに、入学金の減免など、私立学校の就学支援の拡充に取り組みます。
 子どもの医療費無料化については、予算特別委員会で中学卒業まで外来も含めた拡充を強く求め、知事から前向きな答弁を引き出しました。

 県北振興では、県北芸術際のフォローアップ事業に4200万円余りが計上されました。県北6市町で開催される独自の取組を応援します。
 日立市では新田次郎さんの名作「ある町の高い煙突」を映画化して、地域の素晴らしい歴史を全国にアピールしようという取組が進んでいます。こうした市民レベルの動きを県も積極的に支援できるよう取り組んでいきたいと思います。

 昨年12月には「犬猫殺処分ゼロを目指す条例」が制定されました。これを受けて、当初予算には3400万円の予算が計上されました。さらに、県議会で3000万円を増額修正、総額6400万円となりました。犬猫の殺処分を減らすためには、保護された犬猫の譲渡を進めるボランティア団体への支援や地域猫活動への支援、避妊去勢などの支援などの予算が大幅に拡充されました。まさに、殺処分ゼロへの本気度が伝わる予算編成です。
 動物愛護日本一の茨城を目指して頑張りたいと思います。

(4)行財政改革への取組を踏まえた今後の抱負
 総務部長からも説明がありましたが、茨城県は職員人件費の削減や県単独の公共事業の削減などで、徹底した行財政改革を続けてきました。
 私ども公明党も、積極的に行財政改革に取組み、様々な画期的な提案もしてきました。例えば、県が関与する公共最終処分場「エコフロンティアかさま」の再建策では、レベニュー債という取組を提案しました。この資金調達により経営が安定し、24年間での償還予定をわずか5年で償還することができました。その利息の縮減額は24億4500万円にも達しました。
 まだまだ、今後の景気自体が不透明ですので余談は許されません。特に、今年度の税収の動向は注視していかねばなりません。
 それを踏まえて、できるだけ財政的に余裕があるのであれば、基金等に積んでいざという時のことも考えておく必要があるという、そんな慎重な予算編成となっています。
 平成28年の最終補正予算でも、文化振興など各基金への積み増し105億円や一般財源基金への積立て25億円、130億円を確保しました。
 本来は、伸びた歳入財源を私どもは、基金への積立てばかりでなく、少子化対策や格差の是正、県北振興など、待ったなしの課題に有効に支出するべきと考えています。

 さらに、このような背景から予算特別委員会では、知事の予算原案に対して、2億円を増額する修正案が提出され、本会議で全会一致で認められました。
 予算の増額修正は、茨城県の県政史上初の出来事と聞いています。
 私ども公明党は、知事と県議会の二元代表制という地方自治の精神、地方自治の仕組みをより深化させるために、予算特別委員会や本会議での質疑、討論を行いました。
 地方自治法によると、地方議会には予算を編成する権限はありません。知事から提出される予算を認めるか、認めないかという判断が求められます。予算を減額修正することは認められていますが、今回の増額修正については、知事の「長の予算の提出の権限を侵す」ことがないかについて、慎重な議論を提起しました。
 今後も財政規律を維持することと、先駆的先進的な事業に投資することのバランスを重視しながら、県政の運営にあたっていきたいと思います。