障害年金の不支給判定の格差
 4月1日より、公的年金の支給業務を行っている日本年金機構は、これまで都道府県別で行ってきた障害年金の支給・不支給の判定を、全国一括して行うことになりました。
 今まで、都道府県ごとに行っていた判定は、大きなばらつきがあったことに批判が高まっていました。例えば、平成22年度から24年度の3年間の平均障害年金不支給判定が、大分県では24.4%に達していたのに対して、栃木県は3.9%でした。その差が、6倍以上に広がっていました。簡単に言うと、大分県では栃木県より6倍申請が難しいということになります。茨城県は、不支給判定率が23.2%と全国ワースト2であり、隣接する栃木、茨城両県で6倍近くの差があることになります。茨城県で障害年金の申請が通らなければ、栃木に引っ越せば障害年金がもらえるとの噂がまことしやかに流布されていました。
 こうした批判を受けての判定一元化です。今後、日本年金機構の「障害年金センター」で一括して審査が行われます。
 障害年金の申請窓口は、今まで通り市町村役場や年金事務所です。一般の人の手続きに変更はありません。
 障害年金は、原因となった病気やけがの最初の受診日に加入していた制度によって、受け取れる制度が変わります。
 今回一元化になるのは、多くの人が受け取っている「障害基礎年金」です。現在は、年金機構の都道府県事務センターから委託を受けた各地の医師(認定医)が、国からの基準をもとに独自に判定を行っています。認定医の個人の裁量や今までの実績などに左右されてしまう問題がありました。
 4月からは、都道府県別の著しい地域差は解消できるかもしれませんが、逆に「厳しい水準で揃えられてしまうと、申請者にとって厳しい結果になるのではないか」という心配の声も聞かれます。また、判定が難しいケースなどは複数の認定医が判断するとしていますが、通常は単独で判定する体制自体は変わらないため、認定ごとの差が出ないかも懸念が残ります。