4代桜
 日立市の助川小学校の校庭には、明治・大正・昭和・平成と四代に渡って咲き続けている一本の桜の木があります。今年も見事な薄いピンク色の花を咲かせました。
 今年は日立のさくら100年の節目の年。1917年(大正4年)頃、鉱山の煙害対策用として、大島桜が現在の東海村石神農場で育苗されていました。この大島桜に接ぎ木して、染井吉野の苗木が作られました。この苗木約1200本を日立鉱山の社宅であった諏訪台、杉本、大雄院、掛橋の地域に植えたのが、日立のさくらの起源となりました。
 その桜に先立つこと10数年、1905年(明治38年)に日露戦争の戦勝記念として、助川小学校(当時の高鈴尋常小学校)の校庭に数本の桜が植えられました。日露戦争が始まると新聞には「開戦記念献桜募集」の記事が載り、人々からの寄付で桜の苗木を買い、全国の神社や公園、学校に戦勝祈願のために植えられました。残念ながらナショナリズムの発露として植えられたようです。
四代桜
 この桜は、数々の台風や災害、戦災を乗り越え、100年以上に渡って子どもたちを見守ってきました。助川小学校の卒業生の多くがこの桜の思い出を共有しています。昭和44年、当時の学校関係者により「三代桜」と命名されました。その後、平成の代になり「四代桜」と改名され、現在に至っています。
 テングス病やアメリカシロヒトリの害などにより、樹勢の衰退が著しいことから、平成15年5月に助川小学校創立130周年記念事業の一環として、学校・地域・保護者が一体となり「四代桜を守る会」がつくられました。現在も、周囲の環境を整備するとともに土壌改良や病枝の切除などの樹勢の回復に努めています。