バングラデシュの著名な肖像画家・ユダ大学のシャジャハン・アハメド・ビカシ教授が描いたインド詩人であるラビンドラナート・タゴールと、日本の美術運動家・岡倉天心の肖像画が、5月21日から茨城県天心記念五浦美 術館でスタートした「アジアは一つの世界展」(〜28日)に展示され、話題を呼んでいます。
 5月24日付けの公明新聞には、この絵画展の模様が紹介されましたので、ご紹介します。
公明新聞2017/5/24
 タゴールは、アジア人として初 めてノーベル文学賞を受賞したほか、バングラデシュ国歌を作詞・作曲。アジアを代表する“詩聖”として知られている。
 岡倉天心は、東京美術学校(現・東京芸術大学)の設立準備や、海外での日本文化の発信活動など、近代日本美術の発展に貢献。40歳代に、太平洋を臨む自然豊かな北茨城市五浦に活動拠点を移し、海外を行き来しながら生活した。
 1901年にインドに渡った岡倉天心がタゴールと出会ったことを機に、芸術や思想について議論しながら交流を重ねていった。岡 倉天心の没後、タゴールは1916年に初来日した際に、天心ゆかりの六角堂(北茨城市)を訪れ、深い絆で結ばれた文化人を偲んだ。
ビガシ教授
 タゴールの来日100周年を迎えた2016年に、ビカシ氏が肖像画を制作。この作品が一般社団法人「新極美術協会」(坂本唯市会長)主催の美術展で文部科学大臣表彰を受け、同氏の意向を踏まえてタゴールとゆかりの深い北茨城市へ昨年暮れに寄贈。その後に制作された岡倉天心の肖像画も同市へ4月に贈られた。
 肖像画の寄贈について、ビカシ氏から思いを聞いた坂本会長が、岡倉天心の生涯を描いた映画「天心」を上映する会の代表で以前から交流があった城之内景子さん(元公明党取手市議)に相談。城之内さんから連絡を受けた公明党の井手義弘県議と北茨城市議会公明党の豊田弘俊、蛭田千香子の両 議員が連携して市などに掛け合った結果、実現する運びとなった。
 「アジアは一つの世界展」は入場無料で、ビカシ氏が制作した作品のほか、坂本会長が手掛けた新作なども観覧することができる。
 日立市から来場した50歳代の女性は、「岡倉天心とタゴールの遺徳を感じられる展示内容で、現代でも二人が地域の誇りとされていることが素晴らしいと思う」と話 していた。
 ビカシ氏は『日本とバングラデシュとの強い友好関係を築くため、アートの力で両国に平和と友情の“橋”を架けていきたい」と語っていた。

茨城新聞2017/5/24
バングラデシュの芸術家、雨情の孫・不二子さん表敬 北茨城、平和への思い次世代へ
 インドの詩聖ラビンドラナート・タゴールと岡倉天心の肖像画を描き、北茨城市に寄贈したバングラデシュの芸術家、シャジャハン・アハメド・ビガシ氏と関係者一行が20日、同市磯原町磯原の野口雨情生家に、雨情の孫の野口不二子さんを表敬訪問した。同年代の詩人、タゴールと雨情の共通点などを話し、平和を訴え続けた2人の思いを次の世代につないでいくことを誓い合った。
 雨情生家を訪れたのはビガシ氏やバングラデシュ保健省副長官のエムディ・サイフル・ハサン・バダル氏らで、21日に県天心記念五浦美術館で開幕する展覧会「アジアは一つの世界展」に合わせて来日。雨情の話を聞いて興味を持ったことから訪問につながった。
 不二子さんは系図や写真、自筆の屏風などを披露しながら雨情の経歴や考え方などを紹介。「2人の詩人が100年を超えてつながったことは大きい。文化が人を動かすことを実感した」と話した。
 ビガシ氏は「世界の平和を願う2人の詩人の気持ちは同じだった。不二子さんから聞いたことをバングラデシュの人たちに伝えたい」と笑顔を見せた。バダル氏も「雨情の大切な話が聞けた。人が平和のために生きていることを伝えていきたい」と感謝した。
 タゴールと天心は深い親交があり、タゴールは100年前に天心の墓参りに来市している。2人の絆を知ったユダ大芸術学部長のビガシ氏が、両国の芸術・文化の交流が長く続くことを願って、タゴールと天心の肖像画を描き、2作品を4月までに同市に寄贈。同展覧会で披露される。