発光ダイオード(LED)を使用した信号の普及を
省エネ、視認性向上、長寿命などメリットの多いLED信号機

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水戸駅南交差点に設置されたLED信号機
2003/8/17、CANON D30で撮影。PhotoShopで解像度変更後、色調調整。


 発光ダイオード(LED)とは、電流が流れると一定の光を発する半導体。電球と違って、半導体中の電子エネルギーが直接光に変わり、熱を発しないのでエネルギー効率が高く、耐用年数も長いのが特徴です。赤色の発光ダイオードが約40年前に開発され、青色を作ることは困難とされてきましたが、1993年に日本で開発され、信号機への応用も可能になりました。今、このLEDを使った信号機が話題となっています。2003年8月18付の読売新聞の編集手帳にもLED信号が取り上げられました。


 電流を流すと光を放つ半導体・発光ダイオード(LED)。炎、電球、蛍光灯に続く「第四の灯(あか)り」ともささやかれ、照明を一変する可能性を秘めた有望株だ◆半導体の材料によって様々な色を発光する。最難関とされた青色LEDを日本人が発明し、赤、緑、青の三原色がそろった。今はLEDの組み合わせで、あらゆる色を作り出せる◆粒状の半導体の固まりなので、一粒が壊れても性能が落ちず、寿命が長い。白熱電球の八分の一、蛍光灯の半分の電力で同じ明るさを出せる省エネルギー性も魅力だ◆実用化が始まっているのが信号機。東京都の石原知事は、98%までLED製にしたシンガポールを視察して、都内の信号を十年間ですべてLED化するよう指示した。銀座一帯や靖国通りの信号は、既に電球から鮮明なLED製に変わった◆全国には約百八十万灯もの信号がある。これを全部LED化すれば、一年間に原油換算で二十一万キロ・リットルの節約になるという。電力料金の負担は、都だけで二十四億円から三億円に減り、年に一回必要だった電球交換も不要になる◆良いことずくめに見える信号LED化だが、積極的な都道府県は少数にとどまる。信号機の維持補修会社は、警察官僚の貴重な再就職先。「天下りの道を自らふさぐはずがない」とは、業界関係者の証言だ。
(2003/8/18読売新聞・編 集 手 帳)

 茨城県では、平成14年度の補正予算に計上され、本年度から本格的な整備が始まりました。本年度中に590灯が整備されます。それでも、県内普及率はわずか1%でしかありません。

経産省が平成16年度より導入へ補助金

 経済産業省は平成16年度予算にLED式の信号機の普及を促進するため、地方自治体に導入費用を助成する方針を固めたと報道されています。自治体が負担する設置費用の2分の1を補助するため、来年度の概算要求に自治体の省エネ事業への助成として28億円を盛り込むというものです。

030828led 2002年6月の公表された警察庁の試算によると、LED式信号の1灯あたりの消費電力は15ワット程度であり、電球式の70ワットよりも55ワットも少ない。そのため、全国の信号機が消費する年間総電力量は、車両用の場合、LED式は電球式より4億9000万キロ・ワット少ない1億3000万キロ・ワット、歩行者用では3億500万キロ・ワット減の1億100万キロ・ワットに抑えられることがわかりました。

LED信号導入で原油21万キロリットル削減

 これを環境省のCO2排出係数で計算すると、車両用で17万5000トン、歩行者用で10万9000トン、合計で二酸化炭素(CO2)排出量を年間28万4000トン削減出来るといわれています。これは、7500万本分の樹木を植林したのと同じCO2削減効果となります。また、原油計算だと、年間21万キロ・リットルの節約になるといわれています。

 さらに、寿命も7〜10年と長いことから、毎年交換が必要な電球式よりも維持費や管理費が、格段に安く済みます。

 また発色が鮮明で、電球式のように日差しが当たって発光しているように見間違える可能性(「疑似点灯」現象)も少ない。ドライバーや歩行者にとっても安全性が高まるという利点もあります。

ディメリットは導入コストの高さ

 しかし、1台の設置価格が電球式に比べ3割ほど高いなどのデメリットもあります。1基あたりで約14万円と電球式(8万300万円)の1.7倍かかります。

 こうしたLED信号のメリットを考慮した上で、既に東京都では、都内の約1万5000か所のすべての交差点の車両用信号機を、2002年度より10年間で全てLED化する計画を進めています。

 茨城県においては、1)既存の信号を含めてのLED化を計画的に進めること、2)新規や更新の信号は全てLED信号を採用することなどを、井手よしひろ県議が県警本部に提案しています。

LED信号導入と電灯式信号のメリット・ディメリット

 LED信号電球式信号備  考
設置(導入)コスト高い(14万円)安い(8万3000円) 
エネルギー使用量少ない(310kWh)多い(904kWh)車両用6基、歩行者用8基及び矢印信号4基の場合
電気料安い(1,798円/月)高い(14,123円/月)
寿命7年〜10年1年ごとに交換 
滅灯などの事故小さなLEDの集合体のため全体が滅灯することはない電球切れの事故は防げない 
疑似点灯ない構造上なくすことは出来ない西日などの影響で信号が見えにくくなること
寒冷化対策発熱しないので霜や氷、雪などが付きやすい発熱するので雪などが自然に解ける現在の所、北海道警などではLED信号導入計画はない

 ひとつの交差点における信号灯器の構成として、車両用6基、歩行者用8基及び矢印信号4基を仮定したときの月当たり消費電力量を試算すると、従来の白熱電球の場合が904kWhであるのに比し、LED化することにより310kWhへと65.8%減少し、電力量料金は14,123円から1,798円へと87.3%低下する。
(財団法人金属系材料研究開発センターの資料から):リンク切れ

発光ダイオード、LED(Light Emitting Diode)とは?
030830led_s あたりを見回していると人工的な光はいくつも見当たるが、電気がもとになっている光にはどんなものがあるだろう?まず間違いなく、白熱灯が目に入る。蛍光灯もそうだろう。この二つに関しては、どこに行っても見ないことはない。ただ、他にも必ず見るものはないだろうか?そう、「発光ダイオード(LED,light emitting diode)」だ。

 例えば、テレビやビデオの位置指示灯にはLEDが使われている。こう言われると、LEDは脇役みたいなものかと思うかもしれないがとんでもない。90年代後半になって青色LEDが実現し、RGBの三原色がそろったということで、LEDでフルカラーを再現できるようになった。街中の大型ディスプレイはこのLEDによるものだ。その他、カラーコピー機やスキャナー、レーザープリンターなどにもLEDが使われ、テレビやオーディオのリモコンには赤外線のLEDが使われている。現在、CDよりも高密度なDVDが実現しているのは、半導体青色レーザーの基礎となる青色LEDのおかげだ。

 さらにLEDは、19世紀の終わりからずっと照明の主役だった白熱灯に取って代わる日も近いといわれている。白熱灯は熱の副産物として光を得ているわけだから、エネルギーを無駄にする部分が多い。しかし、LEDは電気を直接光に変えているので、エネルギー的にも効率がよい。電気が直接光になるこの現象を、「エレクトロルミネッセンス(EL)」という。
(ナノエレクトロニクス.jpのホームページから) :リンク切れ
最終更新日:2003/Aug/30




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