平成13年10月県議会一般質問

6.教育分野のIT戦略(教育長)
(1)情報教育の基盤整備
(2)県立図書館を核とした図書館の情報ネットワーク化

質問:井手義弘
 次に、教育分野のIT戦略についてお伺いいたします。

 県は、この九月より県立高校111校を大容量の光ファイバー網で結び、生徒一人ひとりがインターネットを活用できる基盤を整備いたしました。

 全国的に見ても、県内全域の県立学校をFTTH化したこの事業は先進的であり、県のご決断に敬意を表するものです。この県立高校への光ファイバー接続事業の概要についてご説明いただきたいと存じます。

 光ファイバーでの常時接続の恵まれた環境が整ったわけですので、インターネットの閲覧やメールのやりとりだけでなく、様々な先進的な取り組みが考えられると思います。例えば、テレビ会議やテレビ電話のシステム、複数の学校での共同授業や著名な講師を招いての遠隔授業なども可能になると思います。こうした、高速大容量の光ファイバー回線を活用した新しい教育の取り組みについてお伺いいたします。

 次に、情報機器の更新について伺います。

 現在パソコンなどの情報機器は、概ね6年のサイクルで更新されています。初期の段階で整備されたパソコンなどが、来年度以降更新時期に入ります。ご存知のようにパソコンに代表される情報機器は、その技術革新がめまぐるしく、最新機種が2、3年で陳腐化してしまいます。

 先日もある県立高校を視察させていただきましたが、ペンティアムの133メガヘルツという、最新機種の10分の1以下の処理能力のパソコンが使われていました。 ソフトも、現行のソフトより三世代前の旧版のソフトウェアを使って授業を行っておりました。これでは、折角導入された高速回線を十分使いこなすことが出来ません。6年という更新期間は、出きれば3年程度に短縮すべきであると思います。情報機器の更新期間の短縮ついての教育長のご所見をお伺いいたします。

 小中学校のインターネット環境整備も重要です。本年度中にはすべての公立小中学校がインターネットで結ばれる計画になっていると聞いておりまが、残念なことに、その大部分がISDN等による接続になっています。一教室に40台程度のパソコンが配備されても、現状の環境では、全児童・生徒がインターネットに接続しようとすると、転送速度が遅すぎて授業に支障をきたします。早期に、高速回線によるインターネット接続を実現する必要があると思います。

 そのためには、県が積極的に市町村をサポートする必要があります。財政規模の小さな市町村にとっては、専用線の確保や各学校のサーバーの保守、ウィルス対策などの負担は過重になると想像されます。こうした市町村の負担を軽減するためには、県が整備しようとする情報通信基盤『いばらき情報ブロードウェイ』との連携を図ることが最善の策だと思います。

 いくつかの課題を指摘させていただきましたが、こうした点もふまえて、今後の情報教育の基盤整備推進について、教育長のご所見をお伺いいたします。

答弁:教育長
 県立高等学校への光ファイバー接続事業の概要についてお答えいたします。

 県立高等学校につきましては、全てがインターネットに接続しておりましたが、総合デジタル回線(ISDN)による接続であり、通信回線の容量が不足しているため、コンピュータ教室において生徒一人ひとりが同時にインターネットを利用することができませんでした。

 今回、光ファイバーによる1.5メガbpsの大容量でインターネットに接続したことにより、授業で同時利用が可能となるなど、IT活用のための教育環境を整備できたところでございます。

 また、メールアドレスにつきましては、いままでは各学校に1つ設けておりましたが、全教職長及び全生徒に与えることにより、県内外の学校の生徒や地域の方々と情報交換したりすることができるようになり、さらに学習の幅が広がると考えております。

 次に、光ファイバー回線を活用した新しい教育の取組についてでございます。

 今回の光ファイバーによるインターネット接続によりまして、県立高等学校では、ホームページやメールを生徒一人一人が同時に、利用して、各自が必要とする資料や情報を検索・収集したり、学習の成果などを発信できる環境が整いました。

 具体的には、地理や理科、総合的な学習の時間等の中で、各地に設置されているライブカメラから提供される国内外の様手や気象などの映像情報等を、随時利用しております。

 また、英語などの授業において、生徒一人ひとりが持つメールアドレスを利用し、日本の文化やメッセージを画像や音声のファイルとして交換することにより、広く海外とも交流できるようになりました。

 このように、日常的にインターネットが活用できるようになりましたが、今後はテレビ会議システムを用いて、共通のテーマについて学校間で討議を行ったり、学習成果や研究成果を発表し合ったりして、学習効果を一層高める工夫もして参ります。

 また、議員ご指摘のように、光ファイバーで接続されたインターネット上に、著名人や大学教授等による講演や授業を配信し、複数の学校で同時に学べるようにすることは、生徒の興味関心を高めたり、豊かな人間性を育む上で有効な方法であると思っておサます。

 このように、インターネットの新たな活用一方法が考えられますので、今後、さらに新しい教育への活用に向けた積極的な取組をして参りたいと考えております。

 情報機器の更新期間の短縮についてお答えいたします。

 県立高等学校の情報機器の更新につきましては、これまで、文部科学省が定めている財産の処分制限期間、これは機器の耐用年数に相当するものでございますが、この期間に合わせ、6年間を基準に更新してきたところでございます。

 しかしながら、本年度、財務省において、パソコンの耐用年数を6年間から4年間に短縮するという省令改正が行われたことから、この省令を受けて定められている、文部科学省の処分制限期間についても、今後改定が想定されるところです。

 県といたしましては、その改定を受けて、情報磯器の適切な更新期間の設定に努めて参りたいと考えております。

 次に、小中学校の情報教育の基盤整備の推進についてお答えいたします。

 県といたしましては、国のミレニアムプロジェクト「教育の情報化」を踏まえまして、全ての学校へのインターネット接続、教育用コンピュータの整備、校内LANの整備を指導してきたところでございますが、より一層積極的に情報化を推進しようと、国におきましては、本年6月に「e−Japan2002プログラム」を策定いたしました。

 その中で、教育の情報化に関しましては、平成14年度から17年度までに、概ね全ての公立学校が高速インターネットに常時接続可能な環境を目指すことを新たに打ち出したところでございます。

 これを受けまして、文部科学省は、来年度から4年かけてインターネット利用のブロードバンド化を推進する「高度教育用ネットワーク利用環境整備事業」を計画し、概算要求をしているところでございます。

 県としましても、高速回線によるインターネット等の情報通信ネットワークを活用することによって、学習の対象を広げ、他の学校や地域との交流も可能になりますので、インターネットの高速大容量回線への接続を含めた基盤整備を、各市町村教育委員会に対してはたらせかけて参りたいと考えております。

 また、ご提案の情報通信基盤との連携につきましては、今後、その方向で、検討して参りたいと考えております。

質問:井手義弘
 引き続き教育長に、県立図書館の情報ネットワーク化について伺います。今年3月県立図書館は、旧県議会議事堂を全面改修してリニューアルオープンしました。広くて使いやすくなった新しい図書館に、県民の評判も高く、一日当たりの利用者も旧館の約2.5倍に増加していると伺っています。先日、実際に視察をさせていただきましたが、平日の午後にもかかわらず、多くの皆さまが、有効に活用してくださっている様子を拝見し、感動さえ覚えました。

 県立図書館にとっては、閲覧・貸出などの直接サービスとともに市町村図書館への支援・連携強化が重要な役割となっています。その意味で、次の課題となってくるのが市町村図書館との情報ネットワーク化であると思います。

 県立図書館では、平成8年度から電算化を開始し、現在では全ての蔵書データを、インターネットを活用して検索できるシステムが稼働しています。今後は、インターネットのウェッブ技術を活用して市町村図書館のデータとリンクさせるシステムを整備するなど、市町村図書館との連携、支援が大事だと思います。

 5年ほど前、私は、県議会の海外視察で東南アジアを視察させていただきました。 当時、シンガポールでは、図書館のネットワーク化が完成しており、インターネット上で国内の全図書館から欲しい本が検索できるシステムが既に出来上がっていました。

 国内の他の都道府県においても、情報ネットワーク化が進みつつあると聞いております。

 本県の県立図書館を核とした図書館の情報ネットワーク化に関する、教育長のご所見をお聞かせいただきたいと存じます。

答弁:教育長
 次に、県立図書館を核とした図書館の情報ネットワーク化について、お答えいたします。

 移転後の県立図書館については、お陰様をもちまして、まもなく入館者数が50万人に達する見込みであり、大変好評をいただいております。

 さて、県立図書館を核とした図書館の情報ネットワーク化についてでございますが、県内には、県立図書館のほかに、まもなく開館する十王町図書館を含めて、40の市町村に47の図書館が設置きれております。これらは、県民の方々の読書や調査・研究活動等に大きく貢献しており、県民の生涯学習の中核を担う施設となっております。

 このうち38市町村45館については、館内コンピュータにより資料の検索ができる状況にありますが、館外からもインターネットを利用して検索できるのは、10市町村14館のみであります。

 したがいまして、全ての県民が、それぞれの図書館で所蔵している資料をより迅速に利用するためには、全ての図書館の資料をインターネットを通じて検索できるシステムの整備が必要であると考えております。

 そのような情報ネットワークにつきましては、現在、20都府県でスタートしております。

 本県におきましては、新館オープン後、早速、どのような情報ネットワーク化が効果的であるかについて、各都府県の先進事例を調査しておるところでございます。

 今後につきましては、県内各市町村立図書館におけるシステム化の整備状況内容を見ながら、県立図書館を核とした県内図書館の情報ネット一ワーク整備について検討して参る所存でございます。

質問:井手義弘
 続いて、インキュベータ施設の整備についてお伺いたします。

 地域から創造性あふれる新たな企業を育てるためには、基本的な基盤整備や法律・制度に関してしっかりとサポートできる体制を整備する必要があります。

 情報通信分野では、日進月歩の研究開発によって、数多くのビジネスチャンスが生まれています。そこで、ベンチャー企業を支援するインキュベータ施設の整備を、県が中心になって行うことを、私は強く主張してまいりました。つくば地域に整備する方向と、お伺いいたしておりますが、その計画はどのように進んでいるのでしょうか。まずお伺いいたします。

 また、本年3月の環境商工委員会で、水戸や日立市などの市街地の空きビル対策として、まちかどインキュベータを提案させていただきました。その後のご検討の経過を、商工労働部長に、ご報告いただきたいと存じます。

答弁:教育長
 次に、インキユベーターの設置についてでございます。

 県では、主要研究機関や大学、関係団体、行政機関等で構成する「つくば連絡会」などにおいて、官民の多様なインキュベーター間の連携方策やそれらの施設におけるソフト支援の充実などについて検討を進めて心るところでございます。

 特に、つくば地域へのインキュベーターの整備につきましては、これまで、地域振興整備公団に対して要望をし、現在、その施設内容や規模等について、公団との意見調整を行っているところでございますが、今後とも、公団に対し、早期整備を要請してまいりたいと考えております。

 次に、本年第一回定例会の環境商工委員会において、ご提案いただきました水戸市や日立市の空きビルを活用したインキュベーターの整備についてでございます。

 その後、水戸市や日立市に打診をしましたところ、日立市においては、市内事業者約100社の需要動向等の調査を行い、オフィス環境の整備に対する支援方策などについて、具体的な検討を進めていただいておりますので、今後、その結果を踏まえて、市と協議してまいります。

 また、空きビル等の利活用は、中心市街地の活性化方策の重要な課題の一つでもありますので、インキュベーターなどの活用について、県といたしましても、引き続き、地元自治体と検討してまいりたいと考えております。




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