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2002年8月5日より住基ネット稼働
住基ネットは国民管理の道具ではない

 電子自治体の構築は、住民サービスの向上や行財政改革を進めるために、避けては通れない課題です。電子自治体の構築は、全国3200自治体がバラバラに進めるのは現実的ではありません。平成14年8月に稼働する住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)や、霞ケ関WAN(中央省庁のネットワーク)と全国の自治体を結ぶネットワーク(LGWAM)を効率的に早期に整備する必要があります。
 その際、大事なことは個人情報保護、特に行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律を早く整備することです。現在、個人情報保護法案が国で審議されていますが、マスコミや出版関係者から自由な言論活動が制限されるのではとの懸念が示され、成立の見込みがありません。早期に個人情報保護法案を成立させ、その後に、自治体が保有する個人情報について、個別の条例で手当てすることが必要です。
 また、電子申請等を行う際、他人による“なりすまし”などを防ぐために必要なのが、低簾で利用しやすい個人認証システムです。これはタテ割り行政の中で個々別々につくるより、政府で統一的な個人認証システムをつくった方が現実的です。これをつくり上げないと電子自治体が機能しません。
 さらに、住民基本台帳カード(ICカード)の有効活用を各市町村が、真剣に検討しなくてはならないと思います。ICカードは、各市町村が独自に展開している行政サービスをIT社会の中で有効に機能させるための重要なツールです。セキュリティー対策を十分に施した上で、希望する住民にICカードを交付して、住民サービスにつなげていく仕組みづくりが急務です。
住基ネットについて:財団法人地方自治情報センターのHPより:リンク切れ

住基ネットとは?

住基ネットは、住民基本台帳ネットワークシステムの略称です。市町村が行う各種行政の基礎である住民基本台帳のネットワーク化を図り、4情報(氏名・住所・性別・生年月日)と住民票コードと、これらの変更情報により、全国共通の本人確認を行うための地方公共団体共同のシステムです。

このシステムは、平成11年8月に公布された改正住民基本台帳法に基づき、平成14年8月5日より一部稼働することになりました。

第1次稼働:平成14年8月5日より稼働するシステムでは、許認可の申請等で住民票の添付を省略できるようになります。

平成14年8月5日より住民票の添付を省略できる許認可項目
不動産鑑定士登録、共済年金、恩給などの42事務
都道府県パスポート(記載事項変更など)、建設業許可、恩給など13事務
市町村県内に転居した選挙権の確認、消防団員退職報奨金など4事務
都道府県が独自に定める事務茨城県では、自動車税身体障害者減免、不動産取得課税標準特例、農地転用許可等、農地改良資金貸付、漁業免許・許可、漁船建造許可・登録の7事務で活用します


第2次稼働:平成15年8月5日よりは、市町村を越えた住民基本台帳事務処理がオンライン化されます。また、住民基本台帳カード(ICカード)の活用が市町村ごとの判断でできるようになります。

平成15年8月5日より可能になるサービス
(1)市町村の区域を越えた住民基本台帳事務の処理
住民票の写しの広域公布(全国どこの市町村でも住民票が取得できる)
転入転出時の住民票の届け出が一回ですむ
(2)住民基本台帳カード(ICカード)の活用
広域公布・転入転出時の際に提示(本人申請により市町村が交付)
他の用途にも活用できる(市町村が独自の判断で作成。福祉、印鑑登録、施設利用カードなどを本人申請によって市町村が交付)

住基ネットは国が管理するものではなく、このネットワークを利用し、市町村間での連絡をオンライン化したり、IT革命の時代にふさわしい新しい住民サービスを市町村が展開していくことも可能となります。全国の都道府県が地方自治情報センターに業務を委託する形をります。地方公共団体が共同で構築・運営するシステムとなります。

住民票コードについては、11桁の無作為の番号で、いつでも変更できます。平成14年8月中旬以降、郵便で住民にコードが通知されます。 また、ネット上で保有される情報は本人確認のための4情報とこれらの変更情報のみです。この住民票コードをキーとして行政機関が情報提供を受ける場合は、全て法律や条令の根拠が必要であり、目的外利用は禁止されています。(政府機関によるデータマッチング、いわゆる名寄せもできない仕組みとなっています。さらに、民間の利用も禁止されています。(1年以下の懲役50万円以下の罰金あり)

住基カードの活用

住基ネットではICカードを用いた住民基本台帳カードを交付することもできます。その管理主体は市町村です。また、あくまでも住民の申請により交付されるものであり、発行や携帯が義務付けられものではありません。

使用されるICカードは32KBの容量を標準とします。(全角文字で1万6000字が入力可能です)このうち大部分は記録を読み書きするためのカギなどセキュリティ対策に用いることになりますが、空き容量を活用して、市町村が条例で定めるところにより、独自の行政目的に活用することが可能です。

この場合でも、住民票コード等の住基ネット上の情報を格納する領域は高いセキュリティに守られ、市町村独自利用の領域とは完全に遮断されたものとなっています。このICカードは今後検討される電子政府、電子自治体構想における公的認証制度にも活用されることになります。

ICカードの利用については、従前はICカードの情報蓄積機能に着目して、1枚のカードを一つの目的に利用するいわゆる"データキャリー"としての活用方法が主でしたが、コンピュータネットワークが整備されてきた段階では、データベースにアクセスするためのいわゆる"キーデバイス"(個人情報を取り扱う場合の鍵の役目をする機能)の役割が重視されています。当然、1枚のカードを複数の目的で利用する多目的利用ということになるでしょう。

こうした住基カードの独自活用について、市町村、都道府県段階で十分な検討を進めることが必要となっています。

住基カードへの批判

現在、住基ネットに対する批判の声が上げられています。特に、ジャーナリストの櫻井よしこさんが主宰する「国民共通番号制に反対する会」が猛烈なキャンペーンを張っています。 その、反対の意見の主なものは以下の通りです。
そもそも人間一人一人に番号を付けることがいかがなものか(牛は10桁、人間は11桁の番号で管理される)
住基カードのセキュリティーが確保されていないのではないか
立ち上げ費用・維持費が膨大になるなどです。

日本弁護士連合会(日弁連)は、住基ネット導入に反対する理由を以下のように述べています。
行政機関の保有する全ての個人情報が、住民票コードで検索可能(データマッチング・名寄せが可能)となること。
日本一の巨大ネットワーク、約1万台のサーバーを24時間管理するための法制度がないこと。
区市町村のコントロール権がないことなどです。




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