納豆日本一
 レンコン、メロン、干しいもと、茨城県にはおいしいものが数々あれど、やはり茨城といえば『納豆』。それは誰もが思い浮かべる不動のイメージではないでしょうか。
 茨城県は、納豆生産メーカーで組織される『全国納豆協同組合連合会』においても全国で最も多い会員数(20団体)を誇る県であり、さらに納豆販売高第1位(日刊経済通信社調)のタカノフーズ(茨城県小美玉市)も茨城県に所在するなど、納豆愛は不動の日本一と自負しています!
 ところが、実は、ここ数年の総務省の家計調査では、水戸市の一世帯当たりの納豆購入額は低迷し、なんと2015年は全国5位にまでランクダウンしてしまいました。
 そこで、水戸市と県納豆商工業協同組合が立ち上がり、再び納豆購入額日本一奪還を目指し、納豆の無料配布など数々のイベントを展開しました。その納豆愛が功を奏し、2016年の購入額は5565円(前年比338円増)で、納豆購入額日本一に返り咲くことができました!
『納豆の発祥は?』
 納豆の発祥については諸説ありますが、茨城県内で広く伝わっているものは、源頼朝の先祖「八幡太郎義家(源義家)」が、奥州討伐へ向かう途中、現在の水戸市郊外へ立ち寄った際の話から。馬たちの餌に、蒸した大豆を与えていたところ、ある時、煮上がってすぐの熱い大豆をワラに詰めて移動したところ、数日後、煮豆が発酵し糸を引いているではありませんか!試しにひと口食べてみた家来は、その糸引き豆の味が良かったので義家に献上します。義家もその風味を気に入り、それから兵たちの食糧に採用したのだとか。
 ちなみに、大将に納めた豆、ということが「納豆」という名の由来とも言われています。
 また、もうひとつ水戸納豆が生まれた理由は、茨城の風土柄、小粒納豆が盛んに生産されていたということです。小粒大豆は早生のため、台風や洪水の被害の多かった茨城県では重宝されていました。当時は大粒の大豆が主流でしたが、小粒大豆を納豆にするとその口当たりや風味が好まれ、「水戸の納豆は小粒で美味しい」と評判になりました。

『健康食品の代表格』
 大豆を納豆菌で発酵させたものが納豆です。大豆は「畑の肉」と呼ばれるほどタンパク質が豊富。そして納豆のネバネバに含まれる「ナットウキナーゼ」という酵素は、血栓の溶解効果があります。また、納豆は大豆イソフラボンや食物繊維・ビタミン・アミノ酸など栄養素をバランス良く含み、整腸作用など多くの健康効果が期待!そして味はご飯との相性は抜群で、関東では朝食の定番です。
 ちなみに、納豆の種類は多種多様!豆や味のバリエーションに加え、パック納豆、わらつと納豆といったパッケージングの違いも。
 また、茨城独自のものとして、切り干し大根を納豆と一緒にタレで漬け込んだ「そぼろ納豆」があり、独特の食感と味付けを楽しめます。

茨城納豆の代表格『わらづと納豆』
わらづと納豆 殺菌処理をした稲わらを束にした「わらづと」に大豆と納豆菌を入れ、わらの中で発酵させて納豆を作る伝統的製造法。
 わらの香りと粘り気のある食感をお楽しみください♪
 農業の機械化や高齢化により、わら納豆の生産量は近年減少傾向にあり、本県の伝統文化とも言える「わらづと納豆」の生産継続が危機的状況にある。
 そんな状況を打開しようとわらの安定確保に向けた協議会が発足。2019年度には年間で約10万食分にあたる約12トンのわらの供給を目指します。

納豆界の大革命『豆乃香』
豆乃香 茨城県工業技術センターが開発した納豆菌を使用した糸引きの少ない納豆「豆乃香」。
 納豆独特の匂いが少なく、粘りを抑えているのが売りで、納豆文化に慣れていない外国人の方々にも受け入れられるよう工夫されています。発酵臭は「くさい」ではなく、「香り」だという日本の食文化の誇りがネーミングに込められています。新しい料理の可能性を広げる日本食材としていま大きな注目を集めています。