中学校歴史教科書の「従軍慰安婦」に関する請願審議の経過

 平成9年5月20日、県議会議長宛に潮来町の住民より『平成9年度より使用される中学社会科の全教科書(歴史分野)に掲載されている「従軍慰安婦」の記述の削除を求めることに関する請願』が提出された。(請願9年第5号)

 さらに、6月9には、「日本を守る茨城県民会議」から、『「中学校社会科教科書の錯誤の削除を要求する」決議を求める請願』(請願9年9号)も提出された。

 これらの請願に対し、『「教科書に真実と自由を」茨城連絡会』より、「従軍慰安婦の記述を削除する請願」を県議会で採択をしないように求める請願(請願9年11号)が6月10日に提出された。

 これら教科書の記述を巡る請願は、本会議での採決を前に、文教治安員会に付託され、6月9日に審議された。

 文教治安委員会では、まず、「従軍慰安婦」の記述削除を求める2つの請願(請願9年第5号と請願9年9号)を一括して審査した。

 井手県議は、採決の前に討論を求め、歴史的事実を時代に語ることの重要性と困難さを強調し、教科書に従軍慰安婦を記述する事の意義を認め、削除を求める請願には反対であることを表明した。さらに、二つの請願の問題点をあげ、採択することは県議会の歴史に汚点を残すことになると主張した。(反対討論の主旨)

 また、民主党所属の長谷川県議は、「教科書に関する問題は、一地方議会である県議会の議論になじまない」として、この二つの請願に反対の意見を述べた。

 2人の反対討論の後、その場で起立採決が行われた。

 委員長(委員会の議長)を除き、自民党の賛成6、反対2(井手、長谷川)で、従軍慰安婦の記述削除を求める両請願を採択した。

 この請願を採択しないように求めた請願(請願9年11号)は、みなし不採択となった(すでに二つの請願が採択されたので、採決の必要なしとみなされた)。

 従軍慰安婦の削除を求める請願が採択されたため、委員会では、関係機関に提出する意見書の文案検討がなされた。

 委員長より、「中学校社会科教科書の錯誤の削除に関する意見書(案)」が提出され、委員長並びに自民党の9名が提案者となり、6月19日の本会議に提出されることになった。

 19日の本会議では、委員長から常任委員会での審議経過の報告がなされ、意見書が議員提案として提出された。

 大内久美子氏(共産)の反対討論の後、請願の採決に移り、自民と保守系無所属の賛成54、公明・新進(3)、民主(3)、共産(1)の反対7で削除を求める請願(平成9年5号と9年9号)を採択した。

 委員会同様、削除に反対する請願(平成9年11号)は、みなし不採択となった。

 その後、意見書案の採決に入り、請願と同数の54対7で意見書を採択した。

 なお、一連の審議経過を地元並びに、全国紙の地方版にてご案内します。また、数々のご意見もいただきましたので、私の所感も含めて別項で紹介いたします。




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