ストップのイメージ
 7月1日、複数の民間クリニックが国に無届けで他人の臍帯血(さいたいけつ)を投与していた問題で、日本再生医療学会は、他人の細胞の移植を勧められても安易に受けず、安全性や法律上の問題がないか慎重に確認するよう国民に呼び掛ける声明を出しました。
 厚生労働省は必要な届け出をせずに他人の臍帯血を投与したとして、再生医療安全性確保法に基づき、東京都や大阪市などの12クリニックに治療の一時停止を命令しました。
 再生医療学会の声明では、これらの臍帯血移植は有効性や安全性の検討が不十分で「治療効果がなく、患者が危険にさらされる可能性がある。極めて遺憾で断固容認できない」と厳しく指摘しています。その上で、再生医療学会の認定医が勤務していない施設で他人の臍帯血や脂肪細胞の移植を勧められた場合は、かかりつけの医師らに相談し、安全性や有効性を十分確認するよう求めています。
再生医療等安全性確保法違反事案に関し
「国民の皆様へのお知らせとお願い」

 厚生労働省は2017年6月28日に、立入検査によって「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(以下、「安全性確保法」という。)に違反することが明らかになったとして、11の医療機関に対して再生医療等の提供の一時停止を命じていたことを発表しました。今回、厚生労働省の立入検査によって、これらの医療機関では安全性確保法が定める審査や届出といった手続が無視され、安全性や有効性が確認されないまま高リスクと分類されている第三者の細胞が患者に移植されていました。
  現在の科学的常識に照らせば、他人からの細胞の移植においては、有効性と安全性について慎重に検討する必要があります。そのため安全確保法では、再生医療を行う医療機関に、安全性や有効性を検討するための特別な委員会に治療計画を申請し十分な議論を経て意見を得ることを義務づけています。しかし、今回の法律違反のように、無届で実施されてしまえばその検討が不十分となり、移植を受ける患者は治療効果を得られないだけでなく不必要な危険に晒される可能性があります。治療をご検討中の皆様におかれましては、以下のような行為については、勧められても安易に受けることはせず、事前に適法性と安全性・有効性を十分に確認することをお願いいたします。
  • さい帯血や脂肪細胞のように、他人から採取した細胞を移植する行為
  • 日本再生医療学会の認定医が勤務していない機関での細胞を移植する行為
  • その他、安全性確保法に基づいて実施していることが確認できない行為
 もし不安・不明な点がある場合は、かかりつけの医師、あるいはお近くの医療安全支援センターなどにご相談されるなど、新規の治療法を受けるべきかの判断について慎重に検討されることを推奨いたします。
 これまで、安全性確保法に違反する行為が再三報告・報道されていますが、この法律は日本の再生医療を安全に実施するために極めて重要な法律です。日本再生医療学会にとってこうした法律違反が行われていることは極めて遺憾であり、断固容認できません。会員に対する教育や周知をこれまで以上に徹底し、再生医療の安全性・有効性を高めていくことを再度表明いたします。また、不誠実な行為を廃し、再生医療という新しい医療を社会とともに構築していけるよう、国民の皆様にもご理解とご協力をいただければ幸いです。
 ※さい帯血:へその緒(臍帯)に含まれる血液。
2017/7/1
一般社団法人日本再生医療学会