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衆院本会議 消費税据え置き法案を否決
行革せずに負担押し付け

syo_e2 衆議院は12月12日、税制問題特別委員会を開き、消費税率を現行3%のまま2001年3月末まで凍結する新進党提出の「消費税率据え置き法案」を審議した。採決の結果は、自民、社民、民主、共産の反対多数、新進党の賛成少数で否決された。

 趣旨説明で新進党の野田毅政策審議会長は、消費税率アップが経済に及ぼす悪影響を指摘し、税率据え置きを強く主張。さらに坂口力、倉田栄喜、鈴木淑夫の各氏が答弁に立ち、消費税率据え置き、所得税・住民税を中心にした18兆円大減税、国・地方を合わせ25兆円の行政経費の削減を可能にする行政改革など、新進党の「国民との5つの契約」の正当性を力説した。質疑では新進党から村井仁、北側一雄、山本孝史の名氏、賛成討論には前田武志氏が立った。

 更に、13日の衆院本会議で、同法案に対する記名採決が行われ、同じく賛成少数で否決された。

 趣旨説明で野田氏は、産業空洞化や金融システムの行き詰まりなど日本経済の危機的現状に触れ、「こうした時に政府は、消費税率引き上げ、特別減税打ち切り、国民年金や健康保険料の引き上げで約9兆円のツケ回しをして国民生活や経済を圧迫しようとしている」と橋本政権の姿勢を糾弾。さらに、政府の税金の無駄遣いに歯止めをかけるためにも消費税率据え置きが不可欠であると主張した。

 質疑の中で、消費税率据え置きを含む新進党の「5つの契約」に対して、自民党議員から「財政赤字の現状を無視した暴挙」「国民に耳ざわりのいい案だが、極めて非現実的であり、無責任だ」との批判が出た。

 これに対して鈴木氏は「財政赤字は一部であり、もっと多くの深刻で構造的な問題がある。それらを全部直すためには、沈滞し切っている日本経済を実力相応の3、4%の経済成長軌道に戻すことだ」と強調し、消貴税率据え置きが明確な経済戦略に立脚していると説明。財政再建のためには経済再建による税収増と行政改革による財政支出の削減が必要だと力説した。

 一方、新進党から質疑に立った村井氏は、国家公務員の人員削減で2兆円が節約できるとした同党の行革試算に言及。「国家公務員の定員である516万5千人のうち年4%程度になる自然退職者の半分を新規採用しないだけでも、10年後には10数万人になり、平年で約1.4兆円節約でき、ベースアップのカット分などを加味すると2兆円程度になる」と数字を示し、「具体的な数字の目標を立てなければ行革などできない」と強調、「新進党の行革案は非現実的」との自民党の的外れな批判に反論した。

 北側氏は、先の衆院選で自民党の党公約に反して、「行革なくして消費税率のアップはあり得ない」「消貴税率引き上げは行革が実現されてからの議論」などと公約して当選した現職閣僚を含む自民党議員の発言を示し、「消費税率据え置きに反対するのは有権者に対する背信行為だ」と厳しく追及。これに対し、橋本首相は「税に対する国民の理解を高めた」と強弁。野田氏は「選挙公約を適当にあしらう政党の姿勢こそ無責任だ」と糾弾。消費税率据え置き法案に反対するよう党議拘束する態度を批判した。

 また北側氏は、財政再建を図るには「増税ではなく景気回復を優先し、税収を増やすべきだ」と主張。鈴木氏も「税率をアップすれば、来年度の経済成長率が1%を切る恐れもある」として、消費税率引き上げが景気の腰を折るとの懸念を表明した。

 さらに、北側氏が無駄な歳出を削減することこそ先決との観点から、補助金行政の見直しを主張、野田氏は「事業ごとに各省庁が査定する方式を改め、各自治体に一括交付すべきだ」と明言したが、首相は「一括交付方式は最終目標」と述べるにとどまった。

 こうした一連の審議の結果、平成9年4月1日よりの消費税の5%が事実上確定した。

 消費税率引き上げによって、行政改革なき5兆円大増税が、庶民に深刻を影響を与えるとともに、景気回復の足を止めるという二重苦を与える危険性に直面したことになる。

参考資料−1:「公明新聞(日曜版)」12月15日付け
参考資料−2:
所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(新進党案)
所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案要綱(新進党案の概要)
地方税法等の一部を改正する法律及び地方財政法の一部を改正する法律案(新進党案)
地方税法等の一部を改正する法律及び地方財政法の一部を改正する法律案要綱(新進党案の概要)
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