介護保険料月額1,533円。日本一保険料がやすい町が、茨城県の北西部にある大子町(だいごまち)です。
 親との同居率が高く、家族で介護を賄おうとする傾向が強い地域で、措置制度の下では介護サービスの利用が低調に推移してきました。
 そのために、介護保険料が安く設定されました。介護保険施行から1年。この町の変化をレポートします。

大子町の総人口と高齢者人口(表−1:H13年4月2日現在)
 総人口高齢者人口高齢化率
11,9913,12526.06%
12,3684,34835.16%
合計24,3597,47330.68%
30%以上の高齢化率は茨城県内でもトップクラスです。

大子町の介護保険第1号被保険者の保険料(表−2)
段  階保険料
(年額)
保険料
(月額)
H12年度
年額
H13年度
年額
人 数比率
第1段階9,2007672,3006,900730.9%
第2段階13,8001,1503,50010,4002,45032.7%
第3段階18,4001,5334,60013,8003,93252.5%
第4段階23,0001,9165,80017,30077110.3%
第5段階27,6002,3006,90020,7002563.4%
基準保険料月額1533円は日本一安い保険料となっています。

要介護認定申請者数と認定者数(表−3:H13年3月末現在)
申請者数8431号被保険者2号被保険者
要支援7474 
要介護1182182 
要介護21251187
要介護385805
要介護484831
要介護583785
認定者63361518
自  立37  
死亡・転出149  
合  計819  
要介護率8.2%は茨城県の平均と同じです。認定者819人のうち149人が死亡または転出しています。

要介護認定者の内訳(表−4:H13年3月末現在)
認定者内訳認定者数
在  宅487
施  設146
合  計633

実際にサービスを受けている人の内訳(表−5:H13年3月末現在)
サービス利用者利用者数利用率
認定者の内
在  宅35773.31%
施  設146100.00%
合  計50379.46%
在宅の要介護認定者の内2割(130人)が一度もサービスを利用していません。

在宅サービス受給者の状況(表−6:H13年3月末現在)
◎認定者の数に対する人数比と支給限度額に対する金額比
受給者利用率
(認定者数)
利用額一人当りの
利用限度
利用限度額
合計
利用率
(金額)
要支援5511.29%1,444,29061,5003,382,50042.70%
要介護112024.64%6,501,660165,80019,896,00032.68%
要介護26613.55%3,685,640194,80012,856,80028.67%
要介護3418.42%2,574,090267,50010,967,50023.47%
要介護4398.01%3,078,420306,00011,934,00025.80%
要介護5367.39%2,692,550358,30012,898,80020.87%
合  計35773.31%19,976,650 71,935,60027.77%
認定者数487     
利用限度に対して27.8%しか介護サービスを利用していない実態が浮かび上がっています。要介護度が上がるに従って、金額ベースの利用率が低くなっていますので、利用者の負担の大きさが、利用率低迷の原因と思われます。

施設サービス受給者の状況(表−7:H13年3月末現在)
人数利用月額平均利用月額
特別養護老人ホーム介護老人福祉施設71  
老人保健施設介護老人保健施設71  
療養型医療施設4  
施設介護合計14649,836,000341,342

介護保険の利用状況
◎介護保険事業計画との比較(表−8:H13年3月の実績と介護保険事業計画の月平均を比較)
介護保険事業計画実績(H13年3月)計画との比較
利用者数利用額利用者数利用額人数比金額比
居宅要支援61 761,57455 1,444,2900.9021.896
要介護1139 4,648,586120 6,851,8200.8631.474
要介護268 2,665,78966 4,023,7200.9711.509
要介護335 1,892,83141 3,523,9001.1711.862
要介護426 1,615,90739 3,810,7401.5002.358
要介護520 1,439,97636 3,401,9101.8002.362
合  計3490.202%13,024,6633570.321%23,056,3801.0231.770
施設特別養護老人ホーム84 27,026,50871 22,753,7900.8450.842
老人保健施設55 20,226,90071 24,092,3501.2911.191
療養型医療施設12 53194624 1,063,7500.3330.200
合  計151 52,572,870146 47,909,8900.9670.911
居宅介護支援等  2,070,963  2,781,260 1.343
総費用合計500 67,668,496503 73,747,5301.0061.090
利用者負担  6,559,519  7,096,627 1.082
給付費合計500 61,108,977503 66,650,9031.0061.091
介護保険事業計画と実績とを比較した資料です。在宅サービスの伸びが177%と顕著です。これは計画より利用者率が大幅に上がっていることと、高額なサービスの活用が要因と思われます。
介護保険は、3年ごとに保険料を見直すことになっています。おおむね1年目は給付額が計画より下回り、2年目が計画通り、3年目が計画を上回り、3年でバランスをとるように調整されることになっています。大子町の場合、1年目でほぼ計画の給付額に達してしまい、3年目にはオーバーすることが懸念されます。


介護保険在宅サービスの利用状況比較
◎介護保険事業計画とH12年7月、H13年1月の実績を比較(表−9)
利用者数利用回数
計画H12年7月H13年1月計画比7月比計画H12年7月H13年1月計画比7月比
ホームヘルプ 8678 90.70%1,28386378260.97%90.61%
訪問看護 7479 106.76%251289299118.97%103.46%
ディサービス 104134 128.85%225571698309.76%122.24%
ディケア 8794 108.05%342698659192.50%94.41%
ショートスティー 725 357.14%11826261221.50%1003.85%
ショートスティー(療養施設) 43 75.00%85232529.35%108.70%
訪問入浴68444566.18%102.27% 119104 87.39%
福祉用具貸与 2563 252.00% 155514 331.61%
居宅療養管理指導 32 66.67% 22 100.00%
在宅サービスの給付金額が大幅に事業計画より延びている要因は、ショートスティーの利用であることがわかります。
H13年1月の実績が25人で261回の利用ということは、一人平均10日以上に達しています。老老介護などによって、施設入所が必要な高齢者がショートスティーを長期間活用している現状がうかがわれます。


このページは、茨城県議会井手よしひろの公式ホームページのアーカイブ(記録保管庫)の一部です。すでに最終更新から10年以上経過しており、現在の社会状況などと内容が一致しない場合があるかもしれません。その点をご了解下さい。