十島村の山海留学制度  過疎地域に指定された自治体は昨年、797市町村に上りました。茨城県では、大子町と常陸太田市、常陸大宮市の一部が指定されています。全体では、市町村全体の半数近くが過疎に悩んでいます。深刻な事態と言わざるを得ません。
 そこに、明るいニュースが飛び込んできました。過疎地域の11.7%に当たる93市町村が、2010年から15年までの5年間で、転入者が転出者を上回る「社会増」を達成していたと、民間の専門家らでつくる「持続可能な地域社会総合研究所」が発表したのです。
 豊かな自然などに魅力を感じ、都市部から現役世代の移住が増えたといいます。人口集中を是正し、各地で活力ある社会をめざす地方創生につなげることが必要です。
 3年前、日本全体の約半数に上る896自治体を「消滅可能性都市」と位置付けた日本創成会議の報告書は社会に衝撃を与えました。今回、社会増となった自治体のほとんどは「消滅する可能性が高い」と指摘された地域や、離島、山間部。地理的条件が厳しい地域から脱過疎化への“のろし”が上がった形です。
 増加率が全国トップの鹿児島県十島村は、就農希望者に村営住宅や空き家を格安で提供するなど、手厚い支援で移住者を増やしました。定住希望者向けの情報誌を発行し、広報活動にも力を入れています。
 第2位の新潟県粟島浦村は、小中学校に島外の児童や生徒を受け入れ、自然体験や島民との交流が特徴の「しおかぜ留学」を2013年度から実施し、人口増につなげています。
 人口の社会増を実現した過疎地の上位市町村の増加率を見ると、鹿児島県十島村が27.7%と最も高く、新潟県粟島浦村、沖縄県与那国町が続いています。[ヅ腓篁慨嵒瑤両規模町村が健闘、∪焼本が高く東日本が厳しい、市町村合併していない自治体が上位を占める――といった特徴がありました。
 いずれも、そもそも人口規模が小さく、しっかりとした政策が打てると効果が、顕著に出る傾向もあるのは事実です。ともあれ、こうした成功例を懸命に知恵を絞る他の自治体も共有し、各地の実情に合わせて展開できるようにしなくてはなりません。
鹿児島県十島村
 わが国は人口減少時代に入り、多くの過疎地域は厳しい状況に置かれています。予算や人手不足で、思うように対策が進まない自治体がほとんどです。
 8月27日投票の茨城県知事選では、井手よしひろ県議ら公明党が推薦した大井川かずひこ候補は、この人口減少の問題を今後10年間で取り組む最大の課題と指摘しています。
 今回の結果を公表した「持続可能な地域社会総合研究所」は、人口を安定化させる条件に、子ども人口の維持や高齢化率の低下を挙げています。つまり、子どもを生み育てる、現役世代の定住がカギを握っていると言えます。
 政府は、過疎地域におけるICT(情報通信技術)基盤の整備や、都市部と同じように働ける環境の実現推進など、地域活性化に向けた支援にさらに力を入れるべきです。そして、茨城県は国と連携して積極的に対応策を打っていかねばなりません。