文科省:SNSでの相談窓口、費用の3分の1補助制度を19年度以降導入検討
LINEでの活用イメージ インターネット交流サイト(SNS)を利用する中高生が増える中、自治体がいじめの相談をSNSで受け付ける動きが広がっています。いじめ対策に力を入れる文部科学省は、SNSでの相談窓口を設ける自治体に費用の3分の1を補助する制度を2019年度以降に導入する検討を始めました。
 文科省は現在、無料の電話窓口として「24時間子供SOSダイヤル」(0120ー078ー310)を開設しており、昨年度は約4万件の相談が寄せられました。しかし、総務省の昨年の調査によると、10代が平日に携帯電話で話す時間が2.7分なのに対し、LINE(ライン)などのSNSを利用する時間は平均58.9分と圧倒的に長くなっています。
 このため、文科省は自治体がSNSの相談窓口を開設するのを後押しすることでいじめの早期発見につなげる考えで、有識者会議で検討しています。また、来年度はモデル事業として10カ所の地域や学校を選び、SNSによるいじめ相談の受け付けの調査研究をする予定です。
 長野県は今月(2017年9月)から、LINEを利用した自殺・いじめ相談を全国で初めて試行するため、8月21日、LINE株式会社の出澤剛社長と連携協定を結びました。
 今後、県はLINEアカウント「ひとりで悩まないで@長野」を開設。中学・高校生らに登録を促すQRコードを学校を通じて配布します。LINEでの相談は9月10日から2週間、午後5〜9時に試行します。
 LINE上でどのようないじめを受けたかについては、その画面を写真の形で保存・送信できるスマートフォンの機能を使えば簡単に知らせることができます。

長野県では公明党がLINE活用を提案
 今回の協定締結に大きな役割を果たしたのが公明党長野県本部青年局です。昨年「青年局として『これをやった』と言える実績を築こう」と検討を開始。増加傾向にある若者の自殺をテーマにアンケートを行い、県内の10代後半から40代までの2038人から回答を得ました。
 調査結果では4人に1人が本気で自殺を考え、その時期は10代後半との回答が27%に上りました。この内容を基に今年2月、知事にLINEなどのSNSを活用した防止対策を要望しました。
 この取り組みを公明新聞が報じたところ、その読者でLINE株式会社でいじめ対策などを担当する社員が注目。公明党県本部の中川青年局長に対し「長野県の若年者の自殺対策に協力したい」との申し出があり、早速、県本部が県につなぎ今回の協定に至りました。
 協定締結式には党県本部の太田昌孝代表、清水純子副代表(ともに県議)、中川青年局長が同席。席上、知事は「公明党県議にはLINEの皆さんとの関係のきっかけをつくっていただいた。改めて感謝したい」と述べた。出澤社長も「県議会での中川議員の質問に、知事がSNS活用を検討すると答えたことを知り、われわれもそれを考えていたので、今回の提案をした」と語りました。