発達障害の状況
 「通級指導(つうきゅうしどう)」という言葉をご存知でしょうか?
 通級指導、または通級指導教室、通級教室ともいわれます。通常の学級に在籍する、比較的軽度の障害がある児童生徒に対して、障害の状態に応じて特別な指導を行うための教室のことです。教科の学習は通常の学級で行います。言語障害・自閉症・情緒障害・弱視・難聴・学習障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)・肢体不自由・病弱・身体虚弱の児童生徒が対象となります。障害の状態を改善・克服するための自立活動を中心に、必要に応じて各教科の補充指導を行います。特別支援学級・特別支援学校に在籍する児童生徒は対象外です。
 この「通級指導」について、文部科学省は2018年度から、高校の教育課程にも加える方針です。これまでは、小・中学校のみでしたが、ニーズの高まりを踏まえた公明党の主張を受け、高校でも制度化されます。初年度となる来年度は、国のモデル事業で試行している23校を含め、約40都道府県で導入が検討されています。
 これに伴い、文科省の18年度予算概算要求では、高校での通級指導の体制整備に向け、研修事業の充実などが盛り込まれています。
 通級指導を受けている児童・生徒数は年々増加し、2016年度は公立小・中学校合わせて、10年前の約2.4倍に当たる計9万8322人に上っています。義務教育終了後のほぼ全ての子どもが高校へ進学している一方で、支援が必要な子どもは、特別支援学校の高等部などに進学しない限り、困難の改善・克服に向けたサポートを受けながら高校で学ぶのは難しい現状があります。
 公明党は、高校での「通級指導」の制度化に向けて、浜田昌良参院議員が2011年2月提出の質問主意書で、「将来の制度化に向けた検討、モデル校等を活用した実践的な研究を始める必要がある」と訴え、政府から「検討していきたい」との答弁を引き出すとともに、党文部科学部会が積極的に推進してきた経緯があります。
 その結果、文科省は2014年度からモデル事業を実施し、その成果も踏まえて、16年12月、高校での通級指導を制度化するための省令などの改正を行いました。
 これらが施行される来年4月に向けて文科省は来年1月に、教育委員会の担当者や教職員に対する説明会を実施します。来年度以降は、担当教員に対し、発達障がいへの理解や通常学級の担任との連携のあり方などに関する研修を進めることにしています。
 公明党は、ようやく実現した今回の制度化を契機に、全国各地の高校で通級指導を始める動きが広がるよう、特に公立高校を所管する都道府県議員とも連携して取り組んでいく考えです。