農業のイメージ
 2019年産農産物から、農家の安定経営を支える新たなセーフティーネット(安全網)として公明党が提案してきた「収入保険制度」が、スタートすることになりました。制度の説明会が今月から全都道府県で開催されます。
 農林水産省による説明会は、11月14日の松山市を皮切りに全国51カ所で実施。希望者は、開催日の5日前までに、各都道府県の農業共済団体にファクスかメールで、氏名、住所、職業、連絡先(電話番号)を記載して、申し込む必要があります。日程は、農水省のホームページで確認できます。農水省は農家の経営安定に役立つ同制度への加入を広く呼び掛けています。
 収入保険制度は、自然災害による収量減のみならず、豊作に伴う農作物の価格下落など農業経営全体に関わる収入減を補う新たなセーフティーネットができることになります。農業共済など既存の補償制度の対象外となっている野菜や果樹、花き栽培もカバーします。農業経営の大規模化や多角的な複合農業の実現など、日本農業の成長産業化を見据え、農家が安心して生産に励めるようにする制度です。
 収入保険は、農家の収入減少時に、過去5年間の平均収入(基準収入)を基に、その8割程度を確保できるようにするものです。青色申告を行う農業者(個人と法人)による2019年産の農産物から対象となります。
 公明党は、安定的な制度運営のため、農家への加入促進の取り組みを強化するよう訴えました。特に、加入要件である青色申告を実施している農家の割合が少ない点を指摘。青色申告の実施によって、農家の経営管理向上につながることを啓発するだけでなく、最大65万円の所得控除などのメリットがあることを周知するなど、政府に対して青色申告の普及に努めるよう求めました。
 また、収入保険制度の保険金が支払われるまでの資金繰りに対応する「つなぎ融資」の実施など、可能な限り農家が利用しやすい仕組みになるよう主張しました。
 保険料負担は、農家が補償内容を選べるよう複数の選択肢があります。積立金は支払わないことも可能です。
 例えば、基準収入1000万円の農家の収入が500万円になった場合、年額7.2万円(掛け捨て)の保険料を払っていれば270万円を支給。掛け捨てでない積み立て方式で22.5万円払っていれば、さらに90万円が上乗せされます。
 保険方式による補てん額の目安は、最大で基準収入の8割まで(補償限度額)。積み立て方式も活用すれば1割の上乗せが可能です。その上で、上限9割の支払率に応じて農家への補てん額が決まります。
 公明党は、2010年以降の国政選挙で収入保険制度の創設を重点政策に掲げ、強力に推進。先の通常国会で、制度創設を盛り込んだ改正農業災害補償法が成立し、実現することになりました。

収入補償制度