こどものいじめ
 全国の小中高校と特別支援学校が2016年度に認知したいじめは、前年度比43.8%(9万8676件)増の32万3808件で、過去最多を更新したことが、文部科学省が10月26日に公表した問題行動・不登校調査の結果(速報値)で明らかになりました。3年連続の増加で、初めて30万件を超えました。
文部科学省問題行動・不登校調査の結果(速報値):http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/10/__icsFiles/afieldfile/2017/10/26/1397646_001.pdf
 こうした中、早期発見・解決へ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用する試みが注目されています。

変化する若者の交流手段
 「いじめを見逃さないよう、普段から気を遣っているが、悪ふざけなどとの見極めは難しい」。こう話すのは、近畿地方の中学校の教員です。子どもたちへの声掛けも積極的に行っていますが、「授業や学校行事の準備、保護者への対応などで、生徒一人一人と向き合うには時間が足りない」のが実情です。
 一方、文科省は、子どもの相談体制の充実へ、小中学校へのスクールカウンセラー配置を進めてきました。しかし、非常勤のカウンセラーは週1回しか学校にいないケースも多く、子どもたちが常に相談できる体制にはありえません。また、たとえカウンセラーがいたとしても、子どもたちが実際に相談するには、敷居が高いのも現実です。
 そこで文科省では、いじめに悩む子どもたちの受け皿として、電話相談窓口「24時間子供SOSダイヤル」を設けており、16年度は約4万件もの相談が寄せられました。それでも、いじめを早期に発見する対策としては、まだ十分とは言えません。
 このため、注目されているのが、多くの若者が慣れ親しむLINEなどのSNSの活用です。最近の若年層の交流手段は、音声通話よりもSNSの活用が圧倒的に多くなっているからです。総務省の調査によると、10代が平日に携帯電話で話す時間は平均で2.8分にすぎませんが、SNSを利用する時間は57.8分にも上っています。
長野県がLINEで実験/中高生から多数の相談/2週間で電話1年分上回る件数
LINE 長野県は今年9月、中高生を対象にLINEでのいじめ相談事業を試行しました。長野県は、未成年の自殺死亡率が全国で最も高くなっています。このため、いじめに悩む中高生への対策を検討していました。
 そうした中、公明党長野県本部青年局(中川宏昌局長=県議)が昨年実施した調査活動を踏まえ、今年2月に行ったいじめ相談にSNSの活用を求める提言などがきっかけとなり、県はLINE株式会社との連携協定を締結しました。
 長野県は、LINEアカウント「ひとりで悩まないで@長野」を開設。県内の全中高生約12万人に、学校を通じて案内資料を配布したところ、約3700人が登録しました。相談では、中高生が「悩んでます」などとメッセージを送ると、相談員(カウンセラー)が「どうしたの?」などの返事をし、アドバイスしました。
 9月10日〜23日の2週間、午後5〜9時の時間帯で相談を受け付けると、1579件のアクセスがあり、547件の相談に応じました。これは、16年度の県の電話相談259件を大きく上回わりました。県教育委員会心の支援課の小松容課長は「予想以上の相談件数に驚いた」と語っています。現在、その結果を分析中です。
 LINEでのいじめ相談は、滋賀県大津市でも2018年3月まで行っています。

千葉・柏市は匿名通報アプリを提供
 千葉県柏市では今年度から、匿名でいじめを通報できるアプリ「STOPit(ストップイット)」を市立中学校の全生徒に無料で提供しています。
 このアプリは、2014年に米国で開発されたもので、いじめを目撃した生徒や被害者がいじめの内容を書き込むと、匿名で市教育委員会に情報が届く仕組みです。市教委は学校と連携して問題解決につなげたい考えです。市教委によると、9月13日までに63件の相談を受けました。
 米国では中学や高校など約6000校で277万人が利用。いじめの減少が報告されています。

国も来年度、一部地域で実施
 国もSNSを活用した、いじめ相談体制の構築に取り組むことになりました。文科省は2018年度予算の概算要求で約1億円を盛り込み、一部の学校や地域で試行する方針です。
 24時間対応の可能性や個人情報の管理のあり方、相談に乗る立場の人の育成などについて検討します。
 公明党は、小中学校へのスクールカウンセラーの配置拡充や、いじめの早期発見・対応を学校に義務付けた「いじめ防止対策推進法」(13年9月施行)の成立をリードするなど、いじめ防止に一貫して取り組んできました。SNSの活用については、党文科部会の浮島智子部会長(衆院議員)が今年3月、松野博一文科相(当時)に提案するなど積極的に推進しています。