外国人実習生のイメージ
 11月から新たな「外国人技能実習制度」がスタートしました。
 この制度は途上国などの外国人が日本で働きながら技能を学び、帰国後に母国の経済発展などに生かしてもらう目的で1993年に創設されたものです。今年6月末時点で、実習生は約25万人います。
 従来の制度では、実習生に対する賃金不払いや、パスポートの取り上げなどの人権侵害のほか、実習生の失踪も相次いだことから制度に対する厳しい指摘がありました。
 このため、技能実習の適正な実施と実習生の保護を図る法律が成立。監督機関となる「外国人技能実習機構」を新設し、実習生の受け入れ窓口となる監理団体は許可制としました。また、企業など実習実施者が実習生ごとに作成する実習計画は認定制とし、機構が認定しなければ、実習生を受け入れられないようにしました。
 実習生への人権侵害には罰則を設ける一方で、優良な監理団体や実習実施者と認められれば、実習期間も従来の最長3年から最長5年まで延長されることになります。
技能実習生受入れの方式
 これまでは農漁業や製造業などが中心でしたが、今回、新たに「介護」が追加されました。
 アジア諸国では今後、高齢化が急速に進むと懸念されており、介護人材の育成が不可欠だからです。この制度を活用して日本で学んだ介護技能を、母国でも役立てることが期待されています。
 ただし、日本語によるコミュニケーション能力が求められる「介護」には固有の要件があり、入国時と2年目移行の際に、それぞれ到達すべき語学レベルが設定されました。具体的には、入国時の要件は基本的な日本語を理解できるレベルである「日本語能力試験『N4』程度」とし、2年目以降も働くには入国後、9カ月程度でさらに上級のN3程度の試験に合格する必要があります。実習生が日本語能力要件を満たせずに帰国することがないよう、政府は実習生の日本語学習環境の整備に取り組むこととしています。
 日本人の雇用環境にマイナスになるとの声もありますが、最長5年の実習後、延長滞在はできませんし、同じ在留資格での再入国もできませんので、日本人の雇用を奪うことになるとは考えられません。
 介護の質が下がらないために、実習生5人につき1人以上の技能実習指導員を選任するなど、介護の質を担保することを実習実施者に求めています。