公明党山口那津男代表の代表質問
 11月22日参議院は、本会議を開き、安倍晋三首相の所信表明演説に対する各党代表質問を行いました。公明党の山口那津男代表は、経営者の高齢化が進む中小企業・小規模事業者の事業引き継ぎ支援の抜本的な強化を主張。特に「事業承継税制」の思い切った拡充を提唱しました。介護人材の確保策や認知症対策の充実も求めました。また、北朝鮮の核・ミサイル開発断念に向けた取り組みと中韓両国との関係改善を訴え、核廃絶や国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」達成へ、日本が主導的役割を発揮するよう求めました。
 また、「人づくり革命」の重要性を強調。人への投資に力を入れ、年齢にも、経済的事情にも左右されない、希望に応じて学び働ける社会の実現こそが、わが国がとるべき道であると力説しました。
 このブログでは、子育て支援の充実、教育費負担の軽減に関する内容を中心に、山口代表の質問をまとめました。

 先進国の中でも群を抜いて高齢化が進むわが国が、さらに寿命を伸ばし、約半数の人が100歳まで生きる可能性がある時代が来る―。めざすべきは、自分らしく元気に生き生きと過ごしながら年を重ねる社会の実現であり、そのために将来世代に対し何を残していけるのか、私は今を生きるわれわれ世代の責任を強く感じています。
 「人生100年時代」への挑戦、それは、本格的な少子高齢化・人口減少社会への挑戦です。首相は“国難”と称されましたが、社会保障や教育、雇用など現在の社会システムの大転換、若者から高齢者まで誰もが安心できる「全世代型の社会保障」へのシフトチェンジ(軌道修正)は、避けては通れません。
 その重要なカギが、「人づくり革命」です。これまでも政府・与党を挙げて、人への投資に力を入れてきましたが、さらに前へ進め、年齢にも、経済的事情にも左右されない、希望に応じて学び働ける社会の実現こそが、わが国がとるべき道であると考えます。
 “すべての人が輝く”社会の実現に向けて、特に、制度と制度のはざまに陥り社会的に孤立している方、さまざまな理由でスタートラインにすら立てない方に対して最も温かな手を差し伸べるべきと、強く申し上げておきたいと思います。

新しい経済政策パッケージ
 首相は、「『少子高齢化』という最大の壁に立ち向かい、『生産性革命』と『人づくり革命』を断行するため、新しい経済政策パッケージを12月上旬に取りまとめる」とし、併せて「『人づくり革命』を力強く進めていくため、消費税率10%への引き上げに伴う増収分などを活用した2兆円規模の政策を取りまとめる」としています。
 消費税の増収分の子育てや教育などへの活用は、消費税の使途として分類されている4経費の中の「少子化対策」を拡充するものとして、社会保障と税の一体改革の趣旨に沿うものであると考えます。一方、消費税の使い道の見直しによって、財政健全化の旗を降ろすものではありません。当初の目標の2020年プライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化達成は困難とのことですが、できる限り早く健全化への道筋を示すべきです。

子ども・子育て支援
 「すべての子どもたちの笑顔が輝く社会」へ―。公明党は衆院選において、経済的な事情に関係なく、希望すれば誰もが必要な教育を受けられる社会の構築に向け、“人への投資が未来を開く”との考え方の下、幼児教育から大学までの大胆な「教育費の無償化」を主張しました。
 これまでにも、一体改革で消費税の使い道に「子育て支援」が追加され、子ども・子育て支援新制度がスタートし、保育所や幼稚園などの幼児教育の無償化も、お子さんの多い世帯や所得の少ない世帯などについて段階的に進めてきました。
 しかし待機児童については、政権発足以降、解消に向けて約53万人分の保育の受け皿を確保してきましたが、女性の社会進出が進む中、なかなか実現には至っていません。政府は、「子育て安心プラン」をさらに前倒して実施し、企業主導型保育など多様な保育の受け皿を早急に確保するとともに、それを支える人材の確保や質の向上にも取り組むべきです。併せて、放課後児童クラブの新たな整備などを盛り込んだ「放課後子ども総合プラン」の前倒しも進めるべきと考えます。
 今こそ、待機児童解消と幼児教育無償化を一気に進めてまいりましょう。

大学の奨学金拡充
 長年、公明党が訴えてきた返還不要の給付型奨学金が、今年度から先行実施されています。来年度からの本格実施に万全を期すとともに、さらに給付型奨学金の対象者や給付額を拡充し、授業料減免、無利子奨学金も含め、経済的な負担軽減策を大きく進めるべきです。 その際、多子世帯などにも配慮した制度設計を検討すべきです。