12月8日、政府は少子高齢化に立ち向かうため、2020年に向けて取り組む政策をひとまとめにした「新しい経済政策パッケージ」を閣議決定しました。公明党の主張が随所に盛り込まれた政策パッケージとなりました。

人づくり革命/衆院選公約 教育費の負担軽減が前進
新しい経済政策パッケージ 10月の衆院選では、自公連立政権の政策が信任されました。公明党が訴えていたのは、2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げによる増収分の使い道を見直し、社会保障や子育て支援の充実に充てるということでした。とりわけ、経済的な事情に関係なく、希望すれば誰もが必要な教育を受けられる社会の構築が重要との観点から、幼児教育から大学までの大胆な「教育費の無償化」に取り組むことを訴えました。
 今回の政策パッケージは、こうした教育などによる「人づくり革命」と、人手不足で悩む中小企業などの生産性を劇的に押し上げる「生産性革命」の2本柱になっています。この二つを車の両輪として、まずは2020年に向け、政府・与党を挙げて急速に進む少子高齢化に立ち向かい、安心の未来を開いていくことが重要です。

2020年度までに私立高無償化実現
 2020年度までに政府全体で安定的な財源を確保し、年収590万円未満の世帯を対象に私立高校授業料を実質無償化することが決まりました。これは公明党が衆院選公約に掲げた独自の主張であり、国民の皆さまとの約束を反映させることができました。
 また、幼児教育を無償化します。具体的には、(1)0〜2歳児は当面、住民税の非課税世帯が対象(2)3〜5歳児は幼稚園、保育所、認定こども園に通う全ての世帯が対象――となります。
 幼児教育の無償化は公明党が2006年から訴え続け、2012年の自公連立政権合意には段階的に進めることを盛り込み、着実に取り組んできました。公明党の粘り強い主張が政府全体を動かしたものと確信します。
 さらに、大学や専門学校などの高等教育の無償化も前進します。授業料の減免措置を拡充するとともに、給付型奨学金の支給額を大幅に増やし、低所得世帯への支援を手厚くします。
待機児童問題への対応
 女性の社会進出が進む中、待機児童対策は待ったなしの課題です。そこで2018〜22年度末の5年間で32万人分の保育の受け皿をつくる「子育て安心プラン」を前倒しし、2020年度末までに整備することに決めました。そのための保育士確保に向け、今年度の賃金引き上げに加え、2019年4月からさらに1%(月3000円相当)の賃金引き上げを行います。
 一方、介護人材の確保にも万全を期すため、処遇改善を進めます。介護サービス事業所における勤続10年以上を条件に、介護福祉士に対して月8万円相当の処遇改善を行うことにしました。

生産性革命/事業承継税制を抜本拡充
 人工知能(AI)やロボットなどによって生産性を高めるイノベーション(技術革新)に力を入れる一方、中小企業などの設備や人材への投資を促していきます。
 特に後者については、中小企業経営者の代替わり(事業承継)に対し、抜本的な対策を講じます。現在、黒字経営にもかかわらず、後継者がいないため廃業に追い込まれる企業が増加しており、今後さらに深刻化する恐れがあるからです。
 検討している対策としては、自社株を後継者に引き継ぐ際の相続税を100%猶予します。現行では、発行済み株式総数の3分の2を上限に、相続税の80%を納税猶予することになっており、実際に猶予されるのは53%程度(3分の2×0.8)にとどまっています。
 また、人手不足の中、経営者が事業承継をためらう要因になっているのが厳格な雇用要件です。そこで5年間で平均8割の雇用維持という納税猶予の条件を緩和します。
 さらに、国内企業の99.7%を占め、地域の経済と雇用を支える中小企業を守ることは、日本経済の基盤を守り、国際競争力を保つことに直結します。そのため、中小企業で働く従業員の賃上げを後押しする所得拡大促進税制を拡充したり、内部留保を賃上げや設備投資に回すことを後押ししたりと、あらゆる施策を総動員していきます。